ランニング言いたい放題

日本ベアフットランニング協会公認コーチ、Vibram FiveFingers トータルアドバイザー。6歳からランナー、ケガに悩む→2014年靴を捨て裸足になる→2017年ケニアに行く 楽で速い=究極のランニング目指してます。お問合せ:hadashi.rc@gmail.com。by須合拓也

ケニア人とララムリに学ぶ、ランニングの原点

f:id:akttsugou:20190219131841j:plain

ランニングと聞いて何を思い浮かべるかは人それぞれだと思います。

例えばスポーツだとか、健康だとか、ダイエットだとか、はたまた修行だとか。

 

今回はケニア人やララムリなど調べているうちに気が付いた、ランニングの原点について書いていきたいと思います。

 

一般的であれプロであれ、ランナーは皆さんそれぞれ違った目標・目的をもってランニングをしていると思います。

なので「あなたにとってランニングとは何か?」という質問への答えは十人十色でしょう。

ただし、そのさまざまな答えの中には今回のテーマである「ランニングの原点」と重なる回答は恐らくないと思います。

そしてこれは、題名で上げたケニア人とララムリ(タラフマラ族) は両者とも共通している要素でもあります。

 

勿体ぶってもしょうがないので、先に答えを言ってしまうとケニア人とララムリに共通するランニングの原点とは「移動手段」であるということです。

 

ケニア人もララムリも交通網が発達していなかったり、経済的な事情から日常の大部分について、移動手段が自分の足であることがあげられます。

歩いたり、走ったりすることが彼らにとって主要な交通手段ということです。

 

比べて日本人は移動手段として歩くことはありますが、それは1日数分や長くて数十分程度の非常に短い時間です。

特にランニングになると私たち日本人にとっては”非”日常なのです。

 

移動手段に求められる要素としては快適であること、信頼性が高いこと、効率的であること、なるべく速いことなどがあげられると思います。

上記の条件で見ると、日本人のランニングは移動手段に足りえないのです。

 

まず、走る時に自分を追い込むことはしていても、快適に、言い換えると不快に思わない、全く疲れを感じない速度で走る人はかなり少数でしょう。

移動するだけなのに肉体的にだけでなく精神的にも苦痛であれば日常的な移動手段となりません。

 

効率的かどうかもそうです。

日本人のランニングはとにかく速いことばかりに目が向けられているので、効率的かどうかをそこまで重視されていません。

 

信頼性、という点に至ってはほとんどの日本人が脱落するでしょう。

移動している途中で足が痛くなって動けなくなっては移動になりません。

年中移動したいとき、その距離だけいつでも動けることが重要です。

 

これらを満たしたうえでなるべく速く移動するとなると、歩くよりはほんの少し速いペースで走ることになります。

これが本来、ランニングにおいて基本のペース・走り方なのではないかと私は考えます。

 

例えば私がケニアでのトレーニングで、特にきつい練習ではない”抜き”の練習の日のJOGに同行させてもらったときは、JOGのペースの遅さに驚きました。

あまりにも遅くて時計を見たらペースはキロ8分になっていました。

私は今も昔もキロ8分ペースで走ることは例えLSDLong Slow Distance、危ない薬じゃないよ)でもなかったので、私より速いランナーがこのペースで走るのが不思議でなりませんでした。

今思えば、こういったゆったりとしたペースは彼らが日常でちょっと急ぎたいときにこんなペースで走っていたのでしょう。

 

ケニアのニャフルルでは車やバイクではなく、歩いて移動する人が多かったです。

特にランナーになるような裕福ではない農家であればなおさらです。

毎日1時間や2時間以上アスファルトではない不整地を移動するのは珍しくないのです。

 

そしてララムリの場合ですが、調べた限りだと彼らは特にランニングの練習をするわけではありません。

ララヒッパリという伝統行事で走る以外は、山の上で日常生活を過ごしているだけで世界が注目するほど走れるようになるのです。

 

下のリンクの動画に出演しているララムリのアルヌルフォ・キマーレは子供のころから水くみで急斜面を往復したり、100キロのレースに出るために2日間夜通しで移動したりしています。

www.youtube.com

 

つまり、両者に共通することしては足・体を一つの道具、移動手段として使う点です。

 

移動手段として足を使うのと、非日常的にスポーツとしてランニングするのでは体の使い方が絶妙に違ってくると私は考えています。

そして体の使い方が異なるのであれば、体のつくり、筋肉とか腱、骨、心肺機能の発達具合も違ってくると想像できます。

 

なので、非日常的な走り方しかできないランナーよりも、あくまで移動手段として長時間・疲労しない・ケガしないレベルで体を使うという、本来あるべき段階を踏んできたランナーのほうが優れているのはある種当然のことではないでしょうか。

 

子供の時からそういった経験の少ない日本人が一足飛びにスポーツとして走るのは、何らかの不具合が生じてもおかしくないのではないでしょうか。

 

もちろん原点を通っていなくとも原点の要素を自然と身に着けているランナーもいます。

ただ、それはかなり少数で、少なくとも1年の間で1回以上ケガ(外傷を除く)をしている人は身についてないと言えます。

 

現代の日本人にとって、この条件をクリアすることは非常に厳しいと思います。

先に挙げた移動手段としての条件である快適性・信頼性・効率性・速さで考えるなら車や電車、自転車など優れた移動手段が沢山あるからです。

 

ただ、ケガで悩んであるのであれば、こういった体の使い方を身に着けるようなトレーニングを取り入れてみるのはアリだと思います。

 

長い時間、できれば不整地で決して疲れないレベルのゆっくりなペースで走るのです。

あくまでただ移動するためのように走るので、例えば車を運転しているかのように。

ランニング初心者はもちろんのこと、上級者であっても有効な練習になると考えています。

この練習には特別な道具もコツも必要ありません。

 

興味がありましたら試してみてはいかがでしょうか。

 

 

↓面白かったら一押し頂きたいです。

にほんブログ村 その他スポーツブログ ランニングへ
にほんブログ村

 

【寄付フォーム】『ランニング言いたい放題』にご支援ください。

ケニア人は胸も前傾して走る

f:id:akttsugou:20190216125109j:plain

2 Races, 2 Records, 1 Athlete - Kenenisa Bekele | Olympic Records - YouTube

 

アフリカ系のランナーの姿勢は前傾していることが特徴の一つですが、今回の記事はケニア人を始めとしたアフリカ系ランナーの走る時の姿勢の話です。

 

さて前傾姿勢と言ったら骨盤の前傾が良く注目されます。

骨盤が前傾しているから上半身が前傾しているということです。

 

しかし、実は前傾しているのは骨盤だけではありません。

胸、正確に言うと胸郭も彼らは前傾しています。

写真を交えて詳しく説明していきます。

 

f:id:akttsugou:20190216142133j:plain

 

トップ画像の拡大ですが、一番前の選手が日本人の竹澤健介選手、2番目がベケレ選手です。

比べるとベケレ選手は腕を後ろに振った時にかなり大きく開いています。

単に上半身が前傾している以上に腕が後ろに開いているように見えます。

 

解剖学的には腕を後ろに振る時(肩関節の伸展)の可動域は、通常50°と言われています。

(参考リンク:肩関節に関節可動域制限が起こる原因はなにか - rehatora.net

 

竹澤選手はそれに近いように見えますが、ベケレ選手は明らかにそれ以上に動いていますね。

日本人と比べてケニア人のランナーが(ベケレ、エチオピア人ですが)肩関節の可動域に特に差があるということはあまり考えられないので、答えは一つ。

 

それが胸部、胸郭の前傾です。

 

胸部が前傾していると肩関節自体の可動域が変わらなくとも、腕は後ろにより高く上げられます。

写真の前から三番目、ケニア人の選手は水平近くまで上がっていますが、ちょうどよい例だと思います。

 

もちろんこれは他のアフリカ系ランナーにも見られます。

 

例えば800m現世界記録保持者のルディシャ選手(先頭)。

f:id:akttsugou:20190216144020j:plain

Rudisha Breaks World Record - Men's 800m Final | London 2012 Olympics - YouTube

 

フルマラソン現世界記録保持者のキプチョゲ選手(中央赤いユニフォーム)。

f:id:akttsugou:20190216144234j:plain

Sub 2 Hour Marathon – NIKE #BREAKING2 Attempt - YouTube

 

つまり、ケニア人を始めとしたアフリカ系ランナーの姿勢を説明すると骨盤は前傾し、腰(腰椎)は起き上がるように反りつつ、胸(胸椎)は後方に丸い、S字のアライメントになっているのです。

(そして頸椎は後ろに沿っています)

f:id:akttsugou:20190216150006j:plain

要するに前傾しているのは骨盤だけでなく、胸郭も前傾しており、胸にあたる背骨(胸椎)は丸くなるということです。

なので腕も後ろに高く上がります。

 

見た目は胸を張っているようにも見えますが、これは単純に体幹の筋肉が発達しているからでしょう。

実際は胸を張っていないのです。

 

これは走っているときの背中を見てもわかります。

彼らの背中は肩甲骨が飛び出るように盛り上がって見えます。

胸郭が前傾しているため、なだらかに斜めになった背中の肋骨部分に肩甲骨が乗っかっているのです。

f:id:akttsugou:20190216150853j:plain

 

日本人で走っているときに肩甲骨が盛り上がって見える人はほとんどいません。

これは胸を張る=背骨が真っすぐに近いために、肩甲骨が落ちないよう背中にぴったり張り付いているからです。

骨の支えのない肩甲骨を常に筋肉や腱が引っ張って維持しているので、背中が平らになります。

(そしてこの姿勢は常に姿勢維持に筋肉を使うために疲れやすいとも考えられます)

 

また、ケニア人などアフリカ系ランナーの体形を前から見ると首の横の筋肉である僧帽筋が盛り上がって見えますが、これも胸郭が前傾している証拠です。

 

ケニア人が何故この姿勢になっているのかというと、恐らく生活環境に要因があると思います。

 

ケニア人でランナーになるのは大抵裕福ではない農家の子供です。

彼らは子供の時から家の手伝いや通学など、物を手で持って長い距離を徒歩、あるいは走って移動する機会が多いです。

肩甲骨が肋骨によってある程度支えられていると長い時間、手で物を持つのが楽になります。

 

その他にも要因は考えられますが、一番大きいのはこれでしょう。

 

さて、この胸の前傾ですが日本人の多くの方はすぐにマネをするのはやめたほうがいいと思います。

何故なら日本人の大多数は背骨の可動域(特に動的な)が狭いです。

背骨を波打つように動かす習慣がないので、単に背骨全体を前屈したり、反ったりすることは出来ても、S字の形には出来ません。

日本人は背骨、体幹を真っすぐ固めるものという認識を意識的にも無意識的にも強く持っている方が多いので、形だけこの姿勢をマネすると腰や背中を痛めるでしょう。

 

再現するためには背骨を複雑に動かす練習が必要です。

色々とトレーニング方法はあると思いますが、個人的には当ブログにも書いているインターロックトレーニングをおススメします。

ケニア人に近づくための体幹連動トレーニング - ランニング言いたい放題

このトレーニングがきちんとできて、背骨回りの動きの緩急をコントロール方であれば、恐らく体を痛めることなくケニア人の姿勢をかなり近い形で再現できるのではないでしょうか。


この背骨のS字姿勢、胸の前傾が上手くできると背骨全体が1つの大きなバネのように動いてくれるようになり、バランスのコントロールから衝撃吸収、はたまた加速・跳躍まで非常に使い勝手の良い武器になってくれます。

(詳しくは以前の記事ケニア人のようにストライドを長くするたった1つの方法 - ランニング言いたい放題などをご参照ください)

 

もっと楽に走りたい方、速くなりたい方は是非チャレンジしてみてはいかがでしょうか。

 

 

↓面白かったら一押し頂きたいです。

にほんブログ村 その他スポーツブログ ランニングへ
にほんブログ村

 

【寄付フォーム】『ランニング言いたい放題』にご支援ください。

自分の体を忘れているランナーたち

自分の体を頭に思い描いた通りに動かすということは簡単なように思えて結構難しいです。

頭の中ではキプチョゲのつもりで動かしても、現実は残念ながら平々凡々なランナーにしか見えません。

 

今回はランナー全体の身体の認識の傾向について思うところを書いていきたいと思います。

 

今は健康のためだったり、又は大会のために走る市民ランナーの方は本当に多く、日常的に街中でも多く見ますが、良いフォームの方を見かけることが非常に少ないです。

 

皆さん頑張って走っているのですが、どうしても力任せというか、最適な動きをしているようには感じません。

控えめにいって本当に良いフォームの方は1割もいません。

 

これはレベルを問いません。

テレビに出るような有名で速いランナーでも本当に綺麗なフォームをしている方は少数です。

 

これは私がずっと陸上競技をしていて評価が厳しいというのもあるでしょうが、ランニングというスポーツがもっている特色が関係してくると考えています。

 

ラソン陸上競技長距離種目は走る速さ”のみ”を競うスポーツです。

何がどうあれ速ければいい種目です。

 

その為日本のランナーはプロアマ関わらず、その大多数はとにかく練習すること、心肺機能や筋持久力といった体を鍛えることしかしていません。

そういった練習メニューは豊富ですが、技術的な練習が圧倒的に不足しています。

違う言い方をすると感覚を磨く類のトレーニングが足りません。

 

他のスポーツで言えば、例えば野球選手であれば野手でも投手でも自身のフォームをチェックして調整したり、バットやボールをコントロールする練習を大抵はやります。

 

サッカーであれば正確なパスやシュート、ドリブルの練習を。

テニスなら正確なサーブやリターンの練習を。

正確性を養うための練習が必ずあるのです。

 

しかし、ランナーにはありません。

筋トレ、ストレッチ、JOG、インターバル、ペース走、LSD、ウィンドスプリント…いずれも正確性を重視し、身に着ける練習ではありません。

(しかも、体を鍛えるハードな練習をやればやるほど感覚は雑になりがちです。身体能力は身についてもその分感覚は落ちるので、練習しても強くなりません)

 

更に、高性能のランニングシューズがこれに拍車をかけます。

前の記事(本当は怖い現代人が裸足で走れなくなったワケ - ランニング言いたい放題)でも書いた通り、ランナーによくみられるシューズの紐をきつく絞める行為は、足の感覚がマヒしている証拠です。

しかも性能がいいので、適当に走っても走れてしまうという状態になってしまいます。

そんな状態ではフォームは良くなりにくいでしょう。

 

これらのことから、ランナーは自分の体の動きに鈍い傾向があります。
一言で言うと感覚が悪いです。

 

ある意味仕方がないことです。

条件的に悪くなりやすい要素が揃っています。

走るだけなら正確性は不要で、短期的に見れば綺麗に走れなくても速くは走れます。

必要のない能力は退化するのが必然です。

 

ただし、そのツケは確実に支払わなければいけません。

 

多くの方はそのツケをケガとして支払っています。

当然です。

効率が悪い上に、感覚が鈍っているので取り返しがつかないくらいに患部が悪くならないと認識できないのですから。

ランナーは何にぶつかるわけでなく、ただ走っているだけなのに異常なくらいの頻度でケガをしています。

誰でもほぼ必ず1年に1回はケガしています。

野生動物だったら絶滅しているレベルのヤバさです。

感覚が悪ければ悪いほどケガの確率は高まるでしょう。

 

その他にも競技レベルにも関わってきます。

綺麗なフォームのランナー、つまり感覚の良いランナーとそうでないランナーは伸びしろが全然違います。

感覚の悪いランナーはいくら走る練習をしても効率が悪いためにそれほど速くなりません。

F1カーのエンジンだけを軽トラックに積んでも、F1カーには勝てないのと同じです。

 

だから感覚を養う練習は重要で必要ですが、その重要性をほとんどの方が認識していません。

雑誌でも書籍でも正確な、あるいは厳密な感覚の練習について取り扱っているものは決して多くありません。

またランナー ー特に長距離の分野でー ではそういった練習を取り入れている個人、集団は珍しいと言っても過言ではないでしょう。

 

もしきちんと健全なランニング能力の向上を目指すのであれば、身体の感覚を養う練習をすべきです。

要するに体の使い方、コントロールという他のスポーツであれば当たり前の技術を磨く当然の努力をすべきということです。

身体の単純なスペックに頼った走りは不健全で短絡的です。

 

このような走りをしていると遠からぬうちに後悔する可能性が高いです。

恥を承知で話せば私自身がそうです。

学生時代の時など、もっと早いうちから感覚を大切にしつつトレーニングが出来ていれば、もっと良く走れていたと思うと非常に悔やまれます。

 

感覚を養う練習は様々な方法があります。

このブログでも度々言及しているので、ご参考にしていただければ幸いです。

速く走るために運動神経を向上させる方法について - ランニング言いたい放題

速く走るために運動神経を向上させる方法その2~裸足でのトレーニング~ - ランニング言いたい放題

 

「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」とは孫子の言葉ですが、まずは己を十分に知る必要があるというのが私の失敗を通して至った見解です。

 

凄く説教臭い話となってしまいました。

この辺で終わりにしたいと思います。

お付き合いいただきありがとうございました。

 

 

↓面白かったら一押し頂きたいです。

にほんブログ村 その他スポーツブログ ランニングへ
にほんブログ村

 

【寄付フォーム】『ランニング言いたい放題』にご支援ください。

本当は怖い現代人が裸足で走れなくなったワケ

「あなたは裸足で走れますか?」

こう質問されたら、ほとんどの方は「No!」と答えるでしょう。

 

この記事では現代人が何故裸足で走れなくなったのか、どんな能力が失われつつあるのかまとめてみました。

 

全ての人類は元々、裸足で生活していました。

これは歴史からみて間違いない事実です。

 

日本人も明治時代は裸足で生活している人がまだまだ多く居たようです。

1901年(明治34年)には警視庁からペスト予防のために屋外で裸足禁止令が出されました。

(リンク:新聞集成明治編年史. 第十一卷 - 国立国会図書館デジタルコレクション

裸足の人がいないならそもそも禁止令を出す必要もないので、その頃はまだ裸足で生活している人が多かったことが想像できます。

 

 

もっと遡れば原始時代は皆裸足でした。

今でも裸足の狩猟民族は現存しているので、まず間違いないでしょう。

 

つまり、人間の体は基本的に不整地を裸足で走ることができる能力・機能を有しているということです

もし人間が能力的に不整地で裸足で自由自在に走れないならば、種として絶滅しているでしょう。

 

では現代人はどうでしょうか。

 

日本人の例で言えば生まれて歩き始めたころからもうシューズを履いてしまうために、いろいろな機能が退化していることが考えられます。

現に今の日本人で野山を裸足で自由に駆け回れる人はほぼ皆無でしょう。

 

普段裸足でのトレーニングをしている私自身も裸足でトレイルランニングをするときはかなりの注意と集中力を必要としていますし、尖った石を踏んでしまって痛いときもあります。

その都度、私たちの祖先たちはガレ場も藪の中も歩いたり走ったりして本当に平気だったのか疑問に思うくらいです。

ただ、祖先たちがそのようなところを裸足で行動していたことは間違いない事実なので、やはり現代人の能力が落ちているという結論になります。

 

どんな能力が失われつつあるかというと、まずは足の部分にその多くがあるでしょう。

 

人間の足、足首から先は手と同じくらい骨や筋肉が多くあり、それだけ機能的には複雑な動きができるはずですが、現代人の足はシューズで筋肉も健も固まってしまっていて動けなくなっています。

それでは尖ったものを踏んだ時に圧力が集中してしまうので痛いのは当然です。

 

足裏がシューズや靴下で常に保護されているので、足裏の皮や肉が薄いということもあります。

常に裸足である犬や猫は肉球がとても発達していますが、恐らく人も裸足だった頃は肉球のように足裏が厚かったでしょう。

これは私も裸足で走る前より足裏が多少厚くなっているので、自然と想像できました。

 

上記に挙げた足の機能が落ちるとともに感覚も鈍くなっていると推測できます。

足裏は圧力を感じるセンサーが多く存在すると言われていますが、シューズはそれをシャットアウトしてしまうので、感度が落ちて当然です。

 

また一般的なランナーによくみられるのですが、皆さんシューズの紐をきつく絞めてしまうのです。

これは足の感覚がマヒしているからこそできることです。

例えば手に手袋をして紐できつく縛ったら非常にストレスなはずですが、足は何も感じないということはそれだけ感覚が鈍っているのです。

 

現代のランナーにケガが多いのも当然な気もします。

 

人間を一種の動物として考えるなら、単に走っているだけでケガをするというのは本来はありえないのです。

肉食動物に襲われたわけでもなく、何等かの災害に巻き込まれたわけでもなく、ただ走るだけでケガして走れなくなるようなお粗末な動物だったら何百年万年前のアフリカで、私たちの祖先の運命は途絶えていたでしょう。

 

こう考えるとシューズを履くことが大前提となっている現代人のほうが、動物としてはよほど可笑しい存在とも見えてきます。

 

確かにシューズは直接的な寒さを防いだり、伝染病や破傷風を防いだりといったメリットもありますし、文化的な側面は否定しがたいですが、デメリットも決して少なくないというのが私の思うところです。

 

今の日本で生活するにはシューズを履かざるを得ない状況が沢山ありますし、いきなり明日から裸足で生活するのは色々な機能が落ちているので無理だと知っています。

なので裸足を安易に勧めることはしません。

 

ただ、もしここまで記事を読んでいただいて興味を持てる方には少しでも日常に裸足を取り入れて、健康だったりトレーニングに活かしていただければ幸いです。

 

↓面白かったら一押し頂きたいです。

にほんブログ村 その他スポーツブログ ランニングへ
にほんブログ村

 

【寄付フォーム】『ランニング言いたい放題』にご支援ください。

何故ケニア人ランナーは前傾姿勢なのか

ケニア人をはじめとするアフリカ系ランナーと言ったら前傾姿勢の選手がほとんどですが、今回は何故ケニア人ランナーは前傾姿勢になるのか、それを再現するためにはどうすればよいか考えてみました。

 

私のブログでも以前ケニア人の前傾姿勢の理由について触れていますが(ケニア人の骨盤前傾の秘密はハムストリングスにある? - ランニング言いたい放題)、この記事ではもう少し別の視点から見ていきます。

 

読者の皆さんも不思議に思ったことはないでしょうか。

ケニア人ランナー、アフリカ系ランナーは皆前傾姿勢になっています。

対して日本人のランナーを見ているとほとんどの方は上半身の姿勢が垂直に近く、中には前傾姿勢の方もいますが、ケニア人と比べるとその角度は浅いです。

 

ケニア人の骨格や体形がそうさせるかというと、それは違います。

何故ならケニア人も日本人もホモサピエンス種の動物で祖先は同一だからです。

生物学的に見れば高々十数万年前にアフリカで一緒に過ごしていたケニア人と日本人の差はほとんど全くありません。

 

そもそも順番が逆です。

体形が違うから体の使い方が違うのではなく、体の使い方が違うから体形が変わるのです。

ケニア人だろうが日本人だろうが動物としての元々のポテンシャルは同じです。

 

だとすれば原因は環境の影響による体の使い方の違いにあると思います。

何故かというと同じランナーであってもケニア人の集団と日本人の集団で明らかに傾向が異なるからです。

(今回はその傾向の違いのうち、前傾姿勢に焦点を当てているわけです)

同じ種の動物のそれぞれの集団で何らかの違いがあるのであれば、その要因は環境にあります。

 

ではその環境の違いのうち、最も影響のある要素は何かと考えると、それは『地面』でしょう。

 

以前の記事(ケニア人がフォアフット走法になる理由 - ランニング言いたい放題)でケニア人は不整地で生活して走っているからフォアフットになりやすいのではないか、と言う考察を書きました。

そして前傾姿勢もクロスカントリーによってもたらされるのではないかと考えています。

 

ここからは日本人がおかれている環境と比較しながら説明していきたいと思います。

 

日本人ランナーが走る地面状況としては、ほとんどがアスファルトか或いはタータンなど平坦にならされた、とても滑りにくい環境にあります。

対してケニア人の置かれている環境であるクロスカントリーは、整地されていなく細かい起伏の連続であり、かつ摩擦の少ない地面状況です。

 

両者の違いは姿勢に大きく影響します。

これは坂で考えるとわかりやすいです。

 

アスファルトの場合だと地面の摩擦力が高いので、足で踏ん張ることにより坂で重力の方向に沿って垂直にまっすぐの姿勢を取ることができます。

これが極端に摩擦力の少ない凍った坂道の上で同じく垂直にまっすぐの姿勢を取ろうすると転倒してしまいます。

嘘だと思ったら是非凍った坂道で試してみてください。

私は雪国育ちなので何回も自分の体で体験済みです。

けっこう痛い目に合うのであまりお勧めしませんが、体で覚えられるという点では良いかもしれません。

f:id:akttsugou:20190124190537j:plain

凍った地面の上のように摩擦力がほとんどなく、足で踏ん張って姿勢を制御できない状況ではスキーのように前傾姿勢を取らざるを得ないのです。

滑る速度、つまり進む速度に合わせて重心を前に持っていく=前傾姿勢を取ることで姿勢を維持できるのです。

f:id:akttsugou:20190124190313j:plain

さて、クロスカントリーは凍った地面ほどではありませんが、アスファルトに比べると摩擦力は大きくなく、足で踏ん張って姿勢を制御するというのはそれほど上手くいきません。

特に走って勢いよく進んでいるときに下り坂で垂直にまっすぐな姿勢を取るとバランスを崩しやすいです。

トレイルランニングの下りが苦手な人によくありがちな失敗です。

 

トレイルランニングクロスカントリーなどの不整地での下り坂はスキーのように前傾姿勢かつ重心を落とし、下半身を柔らかくして回した方が安定して走りやすいです。

 

では地面が平らな場合ではどうでしょうか。

 

これも基本的には下りの時と同じです。

進む速度に合わせてちょうどいい位置に重心を持ってきたほうが、つまり前傾姿勢のほうが姿勢を維持するのに余計な力を使わなくて済みます。

逆に進んでいるのに重心を前に持ってこない姿勢だと、上半身に対して後ろ向きの力が働いてしまいます。

倒れないためには後ろ向きの力を打ち消すだけの力をかけ続けなければいけません。

これは本来なら必要のない力なので、ランニングエコノミーの低下要因となりえます。

 

図で表すとちょうど下のような形になります。 

f:id:akttsugou:20190124204343p:plain

姿勢維持に必要な力はあまりスピードが出ていない状態では無視していいくらいのものですが、前に進む力が大きければ大きいほど比例して姿勢維持に必要な力も大きくなります。

なので日本人であってもレベルの高いランナーは前傾姿勢の人が多く、それよりもさらにレベルの高いケニア人ランナーはほとんど全員前傾姿勢になっています。

 

つまり、ランニングにおいて前傾姿勢であるほうが有利ということにはなりますが、だからと言って無理に前傾姿勢にしてはいけません。

 

ケニア人がちょうどよく前傾姿勢にできるのは

体幹の可動性が高く、体幹で重心のコントロールがしやすい

②速度に対して重心をどこに持ってくれば良いか感覚的に知っている

この二つがあります。

 

体幹の可動性が低く、重心の感覚もない人が形だけ前傾姿勢をするとケガにつながりますので注意が必要です。

 

ケニア人のような前傾姿勢を身に着けるためには体幹の可動性を鍛え、重心の感覚を養えば、自ずと近づいていくでしょう。

 

その為の方法としては、体幹については当ブログの過去記事「ケニア人に近づくための体幹連動トレーニング - ランニング言いたい放題」にあるので参考にしてください。

 

重心の感覚を養う方法は、先にも挙げたスキーのほかにローラースケート、アイススケートなどが有効でしょう。

次点にスノーボードスケートボードなども姿勢は似通っているのでいいと思います。

 

また裸足、もしくはベアフット系のシューズでクロスカントリーやトレイルなど不整地でランニングをすることも非常に効果的です。

こちらはスキーなど違い、ランニング時の前傾姿勢の動きを身に着けるのに非常に直結しているのでかなりおススメです。

初めての方は足裏が痛いためにいきなり長い時間、速い速度は難しいでしょうが、興味がありましたら是非ウォーキングからでもいいのでやってみてください。

くれぐれもケガにはお気をつけて。

 

今回はこのあたりで筆を置きたいと思います。

お付き合いいただきどうもありがとうございました。

 

↓面白かったら一押し頂きたいです。

にほんブログ村 その他スポーツブログ ランニングへ
にほんブログ村

 

【寄付フォーム】『ランニング言いたい放題』にご支援ください。

ケニア人に学ぶ休み方

レーニングにおいて欠かすことのできない要素である「休息」。

今回はケニア人の普段の生活から学んだ休息の取り方について書いていきます。

 

速く強くなるためには単に体を鍛えたり、技を磨くだけではダメです。

要所要所で休息を取らなければいけません。

これは肉体面だけでなく、精神面においても言えることです。

 

 

休息にどういった効果があるのか、改めて書く必要もないかもしれませんが、一応上げていくと、

・運動による肉体損傷から回復、更に強化

・運動技術の学習

・精神的疲労の回復によるパフォーマンス向上

などが上げられます。

 

つまり、アスリートはきちんと休むことによって強くなります。

逆にいうと休めないアスリートは強くなりません。

なので、優れたアスリートは休み方においても上手い可能性が高いです。

 

では優れたランナーであるケニア人達の休み方は?

ここからは私が2017年にケニアのニャフルルでトレーニングした時に見た、彼らの休み方の話です。

 

キャンプから4km離れたニャフルル市内の陸上競技場(土のトラック)でインターバルの練習をした時のことです。

練習前はトラックまで荷物をもって小走りして向かい、着いてからアップしてインターバルに臨みました。

ここまでは日本人と大して変わらないでしょうが、違うのはインターバルが終わってからです。

 

私はインターバルが終わった後はキャンプまで走って帰ろうと思ったのですが、ケニア人の選手達は市内の市場を歩いて回りながらゆっくりキャンプに帰りました。

日本人の感覚で言うとウィンドウショッピングに近いでしょうか。

選手同士、あるいは道すがら出会った地元の友人と会話しながら歩いて帰る様子は非常にリラックスしていました。

私の学生時代、陸上部では月間走行距離を伸ばすためにインターバルが終わった後の移動も練習を兼ねて走っていたので、なかなか新鮮に見えました。

比較すれば私の学生時代はオーバートレーニング気味でしょう。

 

その他にも彼らの生活は非常にリラックスしていることが多いです。

例えばランチの時もそうです。

 

キャンプは、選手が生活する宿舎の目の前は走り回れるくらいに広い芝生になっています。

そしてニャフルルは赤道直下にもかかわらず、標高が高いため昼間でも過ごしやすいくらいにしか気温は上がりません。

なので晴れた日は選手たちはお皿をもって外の芝生に(何も敷物もなく!)寝そべって会話しながら食べるのです。

f:id:akttsugou:20190119203944j:plain

 

ケニア人はよくしゃべりますが、何気ない日常的な会話は人間にとってかなり原始的なため、脳にそれほど負担を与えません。

また気の知れた他人と会話することは通常リラックスにつながるでしょう。

 

食べ終わった後はそのまま話しているか、眠くなったら芝生の上で寝てしまいます。

もちろんマネしましたが、非常にリラックス出来ました。

日本では色々な面から、こういうことをするのは難しいでしょう。

 

これが彼らの日常です。

よく話し、自由でゆったりしています。

休むということが非常に上手です。

私なんかはケニアでトレーニング後にパソコンで仕事をしていたら、ケニア人の選手に「タク、リラーーックス!」と怒られ(?)ました。

 

日本人はケニア人に比べると全然リラックスしていません。

休むのが下手で、オーバートレーニングになりやすいし、例え体を休めているときでも頭が休めていないことも少なくないでしょう。

 

環境的にリラックスしにくいとも言えます。

光や音・文字情報など人工的な刺激に溢れていて、脳が休まりにくいです。

脳は酸素もエネルギーも大量に消費する部位の一つです。

脳が休まらないと体もなかなか回復しません。

 

ケニア人をマネしてきちんとリラックスすることはアスリートでなくても非常に良いことでしょう。

天気の良い休日にはスマホを家において、近くの公園まで歩いて芝生でゆったりするだけでも非常に良いリフレッシュになると思います。

 

皆さんも偶にはケニア人に倣って、頭の中からゆったりしてみてはいかがでしょうか。

 

 

↓良ければ一押し頂きたいです。

にほんブログ村 その他スポーツブログ ランニングへ
にほんブログ村

 

記事が面白かったらおひねりを! 

 

文化放送「‪市橋有里 ENJOY!ヘルシーライフ 」に出演します!

日本ベアフットランニング協会コーチとしてラジオの文化放送に出演します。‬
‪放送は来年1/8(火)〜11(金)20:40〜20:50の4回。‬
‪題名は「裸足ランニングの世界」です!‬


市橋有里 ENJOY!ヘルシーライフ 
http://www.joqr.co.jp/shiba/healthcare/

f:id:akttsugou:20181228165604j:plain

 

【東京】2018.1.27(日)ケニア式”走らない”ベアフットランニング教室(渋谷)開催します。

このブログで書いているケニア人の走り方を身に着けるための、動き作りだけを中心とした”走らない”ベアフットランニング教室を開催します。

ビブラムファイブフィンガーズの試し履きも可能です。

(モデル:V-ALPHA

 

今回は当ブログの掲載の以下のトレーニングについてやっていきたいと思います。

クロカンを走るケニア人の様に膝下の力を抜くということ その1

ケニア人に近づくための体幹連動トレーニング

走る時に足を”引き上げる”ということ - ランニング言いたい放題

 

詳細・お申し込みは以下のページよりお願いします。

【東京】2019.1.27(日)ケニア式”走らない”ベアフットランニング教室(渋谷) | イベント | 日本ベアフット・ランニング協会

 

 

↓良ければ一押し頂きたいです。

にほんブログ村 その他スポーツブログ ランニングへ
にほんブログ村

 

記事が面白かったらおひねりを!

足を引く③~ケニア人ランナーはスーパーボール!?~

runner-takuya-sugo.hatenablog.com

こちらの記事の続きになります。

 

足を引く、3回目の記事のテーマは何故足を引くのか、というところを説明していきたいと思います。

 

ランニングでスピードを維持しようとすると、人は何らかの力を出さねばいけません。

何故なら前方方向に進む力は一歩ごとに減衰するからです。

なので一歩ごとに加速しなければ速度を維持することはできません。

 

ではどうやって加速するかですが、位置エネルギーや筋力によるエネルギー、弾性エネルギーなどを使います。

 

前回上げた人の走るサイクル【宙→着地→最大荷重→離地→宙】にあてはめると

【宙→着地→最大荷重】:位置エネルギー、筋力

【最大荷重→離地→宙】:弾性エネルギー、筋力

 となります。

 

順に説明していきたいと思います。

 

まず注意していただきたいことですが、ここで上げている弾性エネルギーは地面から力をもらうことではないです。

よく地面から力をもらうという表現を聞きますが、これ自体は物理的にありえない現象です。

 

地面を押すとそれと同じだけ反作用として床反力は発生しますが、これによって推進力を生むことは不可能です。

何故なら押す力と必ず相殺されるからです。

 

実際は地面から力をもらっているのではなく、人間の体が持つ弾性によって弾んでいるだけです。

 

例えて話すとわかりやすいでしょう。

 

バスケットボールを高さ1mから地面(地面の弾性は0と仮定)に落とすと弾みます。

これが同じくらいの大きさの重いコンクリートのブロックなら全く跳ね返りません。

 

地面に落ちた時に地面を押す力=床反力はバスケットボールよりもコンクリートのほうが遥かに大きいですが、コンクリートは弾性がほとんどないため、弾まないのです。

もし地面から力をもらう、という現象を実現するのであればシーソーのような上にある物体を跳ね上げる仕掛けを地面に設置しなければいけません。

 

よほど特殊な環境でない限り、地面は物理的な仕事をしません。

その為地面から力をもらうことは考えられません。

 

人間にはバスケットボールと同じように弾性が存在するため、弾みます。

そして重心の位置をうまく前方向にずらして、弾む力を推進力に変えています。

 

ただし、ここで注意したいのはどんなに弾性があったとしても、元の位置の高さには帰ってこない、と言うことです。

手を離したらずっと元の位置の高さで弾み続けるバスケットボールが存在しないのと同じです。

つまり、下記の式が成り立ちます。

位置エネルギー > 弾性エネルギー

なので、全く何も力を加えないと人は止まります。

だんだん加速力がなくなってくるからです。

バスケットボールも弾む高さがだんだん低くなって、最後は止まってしまうように。

 

では加速力、この場合は高さを保つためにはどうしたらいいでしょうか。

バスケットボールを例にして考えてみましょう。

 

バスケットボールの弾む高さを保つ方法には2通りあります。

 

一つは勢いよく地面にたたきつける方法です。

これはよく見るドリブルのやり方ですね。

落とすときの高さは同じであっても、落ちる速さを上げれば同じ高さに戻ってきます。

 

先のサイクルであげるところの

【宙→着地→最大荷重】:位置エネルギー、筋力

にあたります。

 

叩きつけるパターンの加速方法の利点は加速のしやすさと、大きく加速できるところにあります。

 

落ちるものを上から叩けばいいのですからそれほど難しいことはありません。

また、落ちているということは既に重力加速度で加速されているのですから、そこに力を加えれば加えるほど更により大きく加速できるでしょう。

 

デメリットとしては衝撃が強いことと、速く強く力を加えなければいけないところです。

 

衝撃が強いことは説明が要らないかもしれませんね。

バスケットボールは丈夫にできてますし、痛みも感じなければ骨折もしないので思う存分地面に叩きつけられますが、これが足だったら無理ですよね。

 

速く強く力を加えなければいけない、とは『落ちる速度=重力加速度よりも遅く押しても加速されない』ということです。

弱くゆっくり押してたらドリブルできないよ、と言ったらわかりやすいでしょうか。

だから短距離が速い人は筋肉隆々で速筋が発達しているのでしょうね。

 

以上から、叩きつけるパターンの加速の仕方は短距離向けです。

長距離では衝撃面でも速度面でも無理があります。

 

バスケットボールの弾む高さを保つ2つ目の方法は『引き上げる』ことです。

最もわかりやすいイメージだとバスケットボールに釣り糸をつけて竿で引っ張る形、でしょうか。

 

この方法がサイクルの

【最大荷重→離地→宙】:弾性エネルギー、筋力

にあたります。

 

メリットは衝撃の少なさと労力の少なさにあります。

衝撃については自然落下による必要最低限の衝撃になりますので、叩きつけることに比べたらかなり少ないでしょう。

また、弾性エネルギーでは不足してしまう高さの分だけ引き上げればいいだけなので、多く引く必要もなく、速度も叩きつけるよりは遅くてもかまいません。

 

デメリットとしてはあまり加速できないことにあります。

人が上げられる足の高さは決まっています。

なので引き上げる方式ではその人の引き上げられる足の高さが加速の上限となります。

(高さと加速度は正比例関係にあるためです)

足の長い人が特に長距離で有利な理由も、一つはこのためでしょうね。

叩きつける方式も筋力と速度の限界という上限がありますが、それは引き上げる方式よりもずっと上にあるでしょう。

 

話をまとめますと長距離においては引き上げる方式の方が衝撃も労力も少なくて済むので向いているということと、体がより弾性があり、その弾性をうまく発揮できるほうが筋力をあまり使わなくて済むということです。

 

筋力で進むこともできなくはないですが、弾性に優れていて弾性エネルギーをうまく使ったほうがどちらの方式であっても有利です。

空気が抜けたバスケットボールより空気が入ったバスケットボールのほうがよく弾むしドリブルも楽です。

あとせっかく弾むバスケットボールでも地面についた瞬間に地面に押し付けてはダメです。

弾性の無駄遣いです。

だから地面を押しても蹴ってもいけないのです。

 

要するに全身がバネの塊でスーパーボールのように弾んで、うまく活かせるのだったら長距離は凄い有利なのです。

ケニア人は本当にバネの塊でよく弾みます。

ケニア人に縄跳びをする時のように小刻みにジャンプをしてもらって、後ろから肩を下向きに押したとき、つまりバスケットボールをドリブルするようにしたときは、びっくりするくらい大きく跳ね返ってきました。

日本人でも跳ね返ってくることは跳ね返ってくるのですが(こない人もいましたが)、比べるまでもないです。

 

最後はやや強引にケニア人の話をしてしまいましたが、結論としては体にある弾性をうまく使って走っていただけるとより楽に、速く走れるだろうということです。

 

是非参考にしてみてください。

 

 

↓良ければ一押し頂きたいです。

にほんブログ村 その他スポーツブログ ランニングへ
にほんブログ村

 

記事が面白かったらおひねりを!

足を引く②~足がついた瞬間から引き始める~

runner-takuya-sugo.hatenablog.com

前回記事では足を引き上げることにより効率的に走ることができることの説明を行いましたが、その続きの記事になります。

 

今回は足を引くタイミングについて説明したいと思います。

 

足を引くタイミングを説明するに当たって、まず人が走っているときにどういったサイクルになっているかを時間毎に見ていく必要があると思います。

 

人の走るサイクルは停止状態から始まります。

 

停止状態から前に体を倒すと同時に左右どちらかの足が上がります。

上がった足が前方の地面に着地しようとしますが、着地する前にもう片方の足も地面から離れるので、一瞬体が空中に浮かんでいる状態になります。

先に上げたほうの足が着地してからは【着地 → 最大荷重 → 離地】と体から見て足が後ろのほうに行くサイクルに入ります。

足が後ろに行き切って離地してからはまた一瞬宙に浮き、今度は逆の足が着地します。

 

単純にすると【宙→着地→最大荷重→離地→宙】のサイクルを持続させるのがランニングという動作ですが、この1サイクルにかかる時間はどれくらいだと思いますか。

 

大抵の方はそこそこのペースで走る時、1分間に180回前後のピッチになります。

つまり1分間で180サイクルです。

1秒にすると3サイクル。

つまり1サイクルは約0.3秒。

 

いかがでしょうか。

思ったよりも早いでしょうか、それとも遅いでしょうか。

1サイクルでこの時間なので、サイクルの各場面、接地や最大荷重・離地などにかかる時間は本当に一瞬のことです。

 

この約0.3秒の中のどのタイミングで引けばよいかが今回のメインテーマになるわけですが、ここでもう一つ、考えなければいけない要素があります。

それは人間の反射神経、つまり人間が何かの刺激に対して動き出すまでにかかる時間です。

 

反射神経、あるいは専門的にいうと反応時間ですが、これは状況や刺激によってさまざまな数値で出るため一概に言えませんが、参考として単純で平均的な反応時間は、視覚刺激(ランプが光ったらボタンを押す、など)では0.18から0.2秒、聴覚刺激(音が聞こえたらボタンを押す、など)では0.14-0.16秒だそうです。

(参考リンク:反応時間 - Wikipedia、より詳しい説明は反応時間 - 脳科学辞典

 

非常に簡単に考えると何かの刺激を感じて動き出すまでには単純な動作でも約0.15秒かかる、ということです。

 

ここまでをまとめると1サイクルにかかる時間が0.3秒で、反応時間が0.15秒。

この数字を覚えておいてください。

 

さて、1サイクルにかかる時間は0.3秒ですが、今度はそれを各場面で分けていきます。

まず地面に足がついている時間と、宙に浮いている時間です。

 

ランナーの接地時間について分析している記事によりますと、地面に足がついている時間は以下のようになっています。

野口みずき選手:0.150ミリ秒
高橋尚子選手:0.167ミリ秒
男子学生選手:0.169ミリ秒

Garminは、レベルの異なる多くのランナーに関してリサーチを行いました。一般的に、経験豊富なランナーは、接地時間が短い傾向にあります。優れたランナーの接地時間は大抵200ms以下です。

(参考リンク:上級者は接地時間が短い!けど、接地時間を無理に短くするのはよくない![ランニング独自分析]

 

仮に、一般的なランナーのそこそこ速いペースの接地時間を0.2秒、宙に浮いている時間を0.1秒としましょう。

つまり、足を引くタイミングは【接地→最大荷重→離地】の間の0.2秒のうちのいずれかになります。

 

この0.2秒の中で足を引くのに最も良いのは地面についている足よりも体の重心が前にある最大荷重→離地の間です。

前回記事参照

 

ただし、先ほどの反応時間の0.15秒を考えると、足が地面についた瞬間、その感触を反応開始のスイッチとして足を引くとちょうど良いタイミングになります。

 

【接地→最大荷重→離地】を0.2秒とし、【接地→最大荷重】と【最大荷重→離地】を等しいと仮定して0.1秒ずつと考えると、接地を起点とする反応時間の0.15秒後はちょうど【最大荷重→離地】の中間となります。

つまり、足を着いた瞬間から上げようと動くと、最大荷重を過ぎて足が後ろに流れ始めたタイミングで実際に上がるということです。

 

この例は一般ランナーのそこそこ速いペースでの想定になっていますが、レベルの高いランナーであれば接地時間が短いだけでなく、反応時間も恐らくより短いでしょう。

(或いは反応時間が短いからこそ接地時間も短いのかもしれません)

 

その根拠は反応時間は繰り返し学習している動作についてはより短い時間で反応できるという報告があること、目や耳の感覚よりも触感を刺激とする反応時間のほうが生物として原始的な感覚なためにもっと早いだろうということが上げられます。

(触感を刺激とする反応時間は実験のデータがないのが残念ですが)

 

もしかしたら人間の足の速さは反応時間に比例するのかもしれません。

 

足を引くタイミングは足裏の接地の触感・皮膚感覚を起点とする、というのが今回の結論ですが、この感覚をトレーニングする際は当然裸足のほうが有利です。

 

シューズではソールにクッションがあるために足裏の感覚が鈍りやすく、かつ接地の衝撃が足に伝わるまでにほんの僅かな時間ですがロスが生じます。

反応時間は感覚への刺激が強いほうが短くなります。

そのためこのロスは確実に足を引くタイミングを遅くし、結果接地時間が長くなり、本来発揮できるはずの速度よりも遅い動きを学習してしまいます。

 

これは長距離であっても短距離であっても無視できない差になるのではないかと思います。

 

現代のランナーはほとんど大多数の選手がシューズを日常的に使っているためあまり考える必要はないかと思われがちですが、裸足でそういった感覚を身に着けているアスリートとそうでないアスリートが同じシューズでレースに出た場合は話が違います。

 

事実、現在の世界記録クラスのランナーは短距離でも長距離でも幼少期に裸足で生活していた選手が散見されます。

 

もしより足を速く引く、つまり速くなることを考えたら裸足で動きを学ぶというトレーニングは必要なのではないかと思われます。

 

もう少し足を引くことについて説明することがありますが、また長くなるので今回はこれでお終いにします。

 また次回をお楽しみください。

 

↓次回記事です。

足を引く③~ケニア人ランナーはスーパーボール!?~ - ランニング言いたい放題

 

↓良ければ一押し頂きたいです。

にほんブログ村 その他スポーツブログ ランニングへ
にほんブログ村

 

記事が面白かったらおひねりを!