ランニング言いたい放題

ケニア人のフォームやベアフットランニングについて書いてるブログです。ご依頼・お問合せはhadashi.rc@gmail.comまでどうぞ。by須合拓也

NHK時代ドラマ「アシガールSP」にて走り指導に携わりました

NHKの土曜時代ドラマ「アシガール」にて走り指導のコーチとして撮影協力しました。
ヒロインの走りが本当に見事ですので、興味のある方は12月24日(月)の21時から是非ご覧ください。

NHK時代ドラマ「アシガールSP」に撮影協力しました!! | メディア紹介 | 日本ベアフット・ランニング協会

www.nhk.or.jp

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アシガール | NHK 特集ドラマ – NHKオンライン



走る時に足を”引き上げる”ということ

普段道端で遭遇するランナーの方たちを見ていると本当にいろいろなフォームをしています。

同じ走る動作でも人によって体の使い方が全然違うなと思う次第です。

 

今回は走る時の足の効率的な動かし方について考察してみました。 

 

さて皆さんは走る時にどのように足を使っているでしょうか。

恐らくほとんどの方は具体的かつ明確に説明できないと思います。

 

私が見る限りでよく見るパターンとしては二つあります。

一つは足を前に振り出そう、または上げようとする使い方です。

もう一つは足で地面を強く蹴りだす、後ろの方向に力を入れる形です。

 

この両方とも私は無駄が多いと思っています。

 

まず前に振り出す、または上げる場合から説明します。

 

足を前に振り出す場合、力の向き(ベクトル)は体の重心のあたりを中心とした弧の軌道に近いものになります。

 

図1

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ちょうど野球のバットを振っているのと同じです。

 

そうやって足を前に振り出すのはかなり労力を要します。

何故なら体の重心から遠いところで、モーメントが大きい状態で動かしているからです。

上り坂や階段を走る時などは特にこのようになっている人が多いです。

つまり、重心から離れたところで足を上げたくなるのです。

 

これがどのくらいきついかというと、重いものを両手で持ち、肘を伸ばしたまま胸の高さまで上げるようなものです。

 

もう一つは足で地面を強く蹴る場合もベクトルが後ろ向きになるだけで、基本的には同じです。

どちらも重心から離れたところで力を出そうとしているので、非効率です。

 

ではどうやって足を動かせば効率的でしょうか。

 

これは、体の重心に向かって足を”引き上げる”ことだと私は考えています。

言葉だけで説明するのは難しいので、ここからは図に沿って説明します。

 

図2.足を引き付ける場合の足の動き

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走っているとき、慣性の法則によって体及び重心は一定の速度で進みますが(赤い矢印)、地面についている足(1)の速度(絶対速度)は0になります。

重心から見ると地面についている足は重心が進む速度と同じ速度で後ろに進んでいるとも言えます。(青い矢印。赤い矢印の速度=青い矢印の速度)

足が地面から離れると今度は足も体に引っ張られて重心の進む速度(赤い矢印)と同じ速度で進み始めます。(緑の矢印)

合わせて足の後ろ向きの動き(青い矢印)は足が最大限後ろに言った時点で消失します。(図中(4)のあたりから)

 

足が地面から離れるあたり(2)から足を重心に向かって引き付けるように動かす(黄色い矢印)のですが、足の軌跡は青い矢印や緑の矢印の動きが加わることにより円を描くようになります。

 

これの何が効率的かというと、まず筋力を能動的に使っているところが黄色い矢印だけである点です。

重心に向かって動かすのは先に書いた重心から離れたところで動かすことに比べたら段違いに楽です。

 

嘘だと思ったらその場でもも上げをしてみてください。

右足はももを水平まで上げて膝の角度が90度になるように10回、次に左足は踵を垂直に上げる動きを同じく10回です。

恐らく左足のほうが断然楽だと思います。

 

また、足がたたまれている点にも注目したいです。

図の(4)から(6)にかけて重心の進む力(赤い矢印)と同じ力(緑の矢印)が足にかかりますが、膝が曲がって足全体の長さが半分近く短くなるためにモーメントが小さくなり、足が前に出る速度が速くなります。

ちょうどフィギアスケートの選手が氷上で回転するときに、伸ばしていた腕を縮めると回転速度が急に上がるのと原理は同じです。

赤い矢印と緑の矢印は前に進む力は同じですが、足が畳まれてモーメントが小さくなった分だけ急加速するのです。

 

このおかげで足は体が進むよりも遥かに高速で前に勝手に出されるわけです。

ただ足を重心の方向に引いただけで。

 

こうすることによって最小限の力で足を加速し、しかもストライドも長くなるというおまけつきです

 

日本代表レベルのランナーでも世界トップクラスのランナーでも、速い選手は皆、踵がお尻につきそうなくらいまで足が畳まれています。

逆にあまり速度が速くない市民ランナーは膝が少し曲がったくらいで筋力を使って頑張って足を前に出している方が非常に多く見受けられます。

 

足が畳まれているか、そうではないかで速度と効率の良さは見た感じで多少分かります。

ただし、本当に効率が良い選手はおそらく足をうまく引き付けるだけしか力を使っていないでしょう。

 

形だけ先ほどの図2のようにはなっているものの、筋力で形だけ再現しているが故に効率的ではなく、結局すぐに減速してしまうランナーも少なくありません。

 

重要なのは頭の中でこれをきちんと理解して、実際に走る時に再現できているかどうかです。

なので、出来ていない方であればしっかりと理論を学んで動き作りを行ったほうがいいです。

 

この引き上げる動きは単に引き上げればいいわけではなく、引き上げる向きとタイミングが重要ですが、それはまた次回の記事にしたいと思います。

 

お付き合いいただきありがとうございました。 

 

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ファラーのように膝下を前傾して踵を踏む

11月も末になってようやく冬らしく寒くなってきましたね。

読者のランナーの皆様は寒さに負けずご健脚でいらっしゃるでしょうか。

それとも寒さを避けて室内でゆっくりお過ごしでしょうか。

 

今回はランニングの際の膝下の角度についての考察を書いていきたいと思います。

 

以前にも膝下の力を抜くことについて記事を書きましたが、

クロカンを走るケニア人の様に膝下の力を抜くということ その1

クロカンを走るケニア人のように膝下の力を抜くということ その2 実践編

をご参照ください)

この記事はその内容からさらに踏み込んだものです。

 

皆さんは普段走る時に、膝下が地面に対してどんな角度で接地しているか考えたことはあるでしょうか。

 

私は最早職業病の域で、視界内にランナーがいるとそのフォームを見てしまいます。

そしてランナーによってそのフォームは様々ですが、膝下の地面に対する角度もそれぞれ異なります。

そしてそれは足裏の接地や、ひいてはランニングのパフォーマンスにも少なからず影響があると考えています。

 

順に説明します。

 

まず、接地の際の膝下の角度とは何かというと、足が地面についた瞬間に膝下が垂直か、それとも後ろに倒れているか、前に倒れているか、ということです。

大まかに分けると後傾、垂直、前傾の3パターンになります。

 

下の図がわかりやすいでしょう。

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そして、このうちのどれが最も効率が良いか、つまり長距離を走るにあたってランニングエコノミーが良いかということですが、先に答えを言ってしまうと私は前傾だと考えています。

 

それぞれ解説します。

 

膝下が後傾して接地したとき、メリットとしては膝下が前に出ている分はストライドが伸びるということです。

しかし、その反面、ブレーキが大きく加速しづらいです。

ブレーキが大きい理由は、重心よりも前のほうで接地していると地面からの力、ベクトルの向きが後ろ方向になるからというのもありますが、膝の動きの軌跡に無駄があることにあります。(下図参照)

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接地時の膝下の角度が後傾でも垂直でも前傾でも、その後最大荷重時から地面と離れるまでに、膝下はより前傾していきます。

後傾接地は垂直になるまでに一度軌跡上を上に動かねばなりません。

これは車でいうなら段差に乗り上げたようなものです。

また、離地するまでの軌跡が長いために、膝関節周りの摩擦も多少大きくなることもあります。

 

結果、加速がしにくいためにかえって最終的なストライドは小さくなることが多いでしょう。

なぜならストライドというのは単純に足を開いた角度で決まるわけではないからです。

歩行の時であれば足全体の開く角度=ストライドになるため、膝から下も前に出したほうがストライドは伸びますが、ランニングは歩行と違い滞空時間もストライドに含まれます。

速度があるということは飛ぶ距離も大きくなるため、効率よく長く走ることを考えるのであれば、ブレーキを少なくして飛翔距離を稼いだほうが有利と考えます。

補足ですが、後傾ですと足裏の接地の位置は足首の可動域の関係から踵になることがほとんどです。

 

次に膝下が前傾している場合ですが、膝から下が後ろにあるため、一見ストライドは短くなるように見えます。

ただし、後傾と膝下が倒れる途中の角度にあるために設置した瞬間から倒れて=加速していきます。

足の接地は足裏全体的か、もしくは前足部からになります。

踵からはまず接地できないと思われますが、決してできないわけではありません。

 

更につま先にかけて加重され、膝下が倒れていることも相まってアキレス腱がよく伸ばされて発生する弾性エネルギー(腱が伸ばされてから縮もうとして発生するエネルギー)も加わるのでより一層加速するでしょう。

 

これは宮本武蔵五輪の書で言及されており、一本歯下駄を使われている方の間でも言われている”踵を踏む”という感覚にあたるのではないかと私は考えています。

(参考リンク:

宮本武蔵五輪書」の技を解説する」http://ncode.syosetu.com/n6168h/5/

一本歯下駄スポーツ工芸ブランドarucuto

 

最後に膝下が垂直に着いた場合ですが、後傾と前傾の中間なので、ブレーキの大きさも加速も中間です。

足裏の接地は踵でも前足部でも可能なため、ほぼ等しく分散すると推測できます。

 

この”膝下を前傾して踵を踏む”という動作はケニア人を始めとしたアフリカ系のランナーにも多く見られました。

 

世界トップレベルの選手で言うとハメド・ファラー(Mohammed Farah)にもこの動きが見られます。

下の動画はファラーの動きを解説している動画ですが、44秒付近のところで膝下の接地の角度について触れています。

youtu.be

(注意:私はお恥ずかしいことに英語はほとんどわからないので、言っていることはなんとなくしかわかっていません。もし的外れでしたらご指摘いただければ幸いです。)

 

もしこれを自分のフォームに取り入れたい場合は靴を脱いで裸足、もしくは限りなく裸足に近いベアフットランニング系のシューズで練習したほうが身につきやすいです。

通常の靴やランニングシューズでは重さで膝下を振り出してしまいやすく、膝下が後傾してしまいます。

踵から接地してもクッションのおかげで痛みを感じないことも膝下の後傾しやすさに拍車をかけます。

 

裸足で、膝下の力を抜きながら、体はゆっくりと前方向に重心移動しつつ自然と前傾した状態で歩くという動き作りをおススメします。

足だけに注目して、足の力で前に不自然に進まないように注意が必要です。

(膝下の力の抜き方についてはクロカンを走るケニア人のように膝下の力を抜くということ その2 実践編

 

それでは今回はこのあたりで。

良きランニングライフの参考にしていただければ幸いです。

 

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ケニア人とベアフットランニング

この記事を読まれている皆さんは裸足で外を歩いたことはありますか。

あるいは走ったことはありますか。

 

私は4・5年前からベアフットランニングを初めて、何度も外を裸足で走ったことがありますが、あれですよ、痛いですよ。

理論的歴史的には裸足が正しいはずですが、現実はとても厳しいです。

 

今回はケニア人とベアフットランニングについて書いていきたいと思います。

 

ケニア人ランナーが足が速い理由の一つに「子供のころに裸足で学校に走って通っていたり、裸足で練習していたから」ということがよく言われています。

(参考リンク:

なぜ、ケニア人はとてつもなく速いのか (2ページ目):日経ビジネスオンライン

デービッド・ルディシャ:「走るのはとても刺激的だ!」: 中長距離情報

 

ケニアの道は私が行ったニャフルルもそうでしたが、基本的にクロスカントリー・不整地です。

生活に使われる道路も崩れないように自然にある大きな石を敷き詰めた、ごつごつした道か、硬い土であることがほとんどです。

 

そんな環境の中で生まれた時から裸足で過ごしてきたわけですから、身体能力や技術は推して知るべし、です。

ケニア人は「Born to Run」ではなく「Bone to Run Barefoot」であったわけです。

(適当に書きましたが英語の表現はあっているでしょうか?)

 

ただし、現代のケニア人は状況が異なります。

以前の記事(ケニア人はもう裸足で走ってない - ランニング言いたい放題)でも書いた通り、今のケニア人は裸足で生活していません。

人口3万人程度の田舎であるニャフルルでも、子供もみんな靴を履いてますし、ランナーも裸足で走っている人はいませんでした。

 

ただ、それでもランナーたちを裸足でクロスカントリーを走らせると10kmを30分ほどで走れてしまいます。

全く裸足で走ったことが無いにも関わらず、です。

 

もちろん彼らも痛いとは言っていましたし、血豆ができていた選手もいました。

しかし、これがもし日本人だったら、いきなり裸足で整地されていない荒地を走れるランナーが一体どれくらい居るのか考えると、やっぱりケニア人は凄いです。

 

ケニア人が何故このようなことができてしまうのか、私なりに考察しました。

 

ケニア人のランナーの中には子供のころ裸足で育った選手もまだ存在します。

30代以上のランナーは子供の時は裸足で育っていて、まだ現役で走っている人もいるのです。

(参考リンクのデービッド・ルディシャ:「走るのはとても刺激的だ!」: 中長距離情報では800m世界記録保持者も「裸足でトレーニングしていた」とあります)

 

そしてその裸足で育った選手と今の若い選手が一緒に練習するということもあるわけです。

そうすると何が起きるのかというと裸足で育った選手のフォームに若い選手が影響を受けるのです。

 

私は便宜的にこの現象を「ランニングフォームの継承」と勝手に呼んでいます。

同文化圏内の集団はお互いに影響を受けるために、ある程度似たランニングフォームに収束します。

難しい言葉になってしまいましたが、簡単にすると一緒に走っているとフォームが似てきますよ、ということです。

 

つまり、今のケニア人ランナー達のランニングフォームは”まだ”生きているベアフットランニングフォームの一つなのです。

失われていない技術なのです。

 

日本人の場合だと、私は沢山のベアフットランナーと知っていますが、その中に子供の時、裸足で生活していた方はいません。

しかもケニアのような不整地で、という条件も加えるとおそらく大正か昭和初期生まれの方しか該当しないでしょう。

日本人が裸足でなくなってから、すでに三世代・四世代に入っているのです。

日本のベアフットランナー多くは私も含め、普段の練習に裸足を取り入れることによって裸足の技術を取り戻そうとしている方がほとんどです。

大多数の日本人からは裸足の文化および運動の技術がほぼ失われつつあります。

 

話が少しそれますが、ナンバ歩き、あるいはナンバ走りはご存知でしょうか。

日本ではまずまず有名なワードですが、私は全く信じていません。

なぜならナンバの技術は一度完全に”失伝”してしまっているからです。

技術は一度失伝してしまうと再現するのが非常に困難です。

 

裸足の技術は日本では絶滅寸前、ケニアでも今のうちにきちんと分析しないと10年後には無くなっているかもしれません。

 

だから私はケニア人の動きに注目しています。

そしてベアフットランニングの技術は残す意味のある重要なものだとも考えています。

なぜなら裸足でないと、シューズを履くと人間は退化するからです。

 

これは生物・自然の摂理ですので、誰にも覆しがたい事実です。

高機能のシューズを履けば、足の能力、ひいては身体能力は退化します。

 

私は一人のアスリートとして、身体能力が退化する選択肢をなるべく取りたくはないのです。

現代日本に生きている限り、ささやかな抵抗かもしれませんが)

 

ケニア人ランナーもほとんどがシューズを履いて走っているので、今後緩やかに弱くなってしまうのではないか、と私は予測しています。

現にケニアのコーチが「最近の選手はケガが多い」と言っていたと話には聞きました。

 

どんな高性能なシューズを作ったところで、シューズは走りません。

走るのはあくまでも人です。

アスリートであるならば、自身の身体能力を磨いて競技に挑むことが大切なのではないでしょうか。

 

少し熱がこもってしまいました。

今回はこの辺にしたいと思います。

 

お付き合いいただきありがとうございました。

 

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意識してもランニングフォームが変わらない理由

皆さんはご自身のランニングフォームについてお悩みでしょうか。

ランナーであればランニングフォームを気にされる方が多いと思います。

 

今回の記事はランニングフォームを変えることについて考察したいと思います。

 

私はこれまでのランニング経験から”ランニングフォームは走っているときに意識しても変わることはない”と考えています。

まずはそこから話していきたいと思います。

 

学生時代は毎日朝夕練習があり、合計20km程走っていました。

当然ランニングフォームのことを走る時もずっと考えながら、つまり「意識」しながら走っていました。

それは何も私だけに限った話ではありません。

 

私が所属していた陸上部では練習前に部員全員が『今日は○○を意識した走りたい』みたいなことを話してから練習をしていました。

要は周りの陸上部員も程度や方法の差はあれど、全員が何らかの意識をしながら走っていたということです。

 

その頃はこれだけ意識して走っているのだから、フォームは当然良いものになっているだろうと、自己評価は高まっていました。

頭の中ではきれいに走れている自分を想像していたのです。

 

そうやっている中で大会などで走っているところを映像で取られ、客観的にみる機会がありましたが、その時はショックでした。

想像していたフォームと映像のフォームがあまりにも違うのです。

 

次の日からまたいろいろと意識して練習し始めました。

そしてまた何かの機会に撮影されたフォームを見て、その時も何も変わってなくてガッカリしました。

同じく次の日から模索の日々です。

 

これを高校と大学通して学生時代7年間、社会人になってから3年以上も繰り返しました。

合わせて10年間、私のフォームはほとんど変わらなかったのです。

 

これは何も私だけに限った話ではありません。

 

学生時代に周りの部員も意識して走っていたと書きましたが、その中でフォームが良い方向に変わった部員は一人もいません。

合宿で毎年見てきた他校の陸上部員も含めて数百人のランナーの中でゼロです。

中には箱根駅伝に出場した選手が何人もいて、その走りを正月にテレビで見ていましたが、ほとんど変わっていませんでした。

(ただし、元々フォームが良くて変える必要の少ないランナーにとってはフォームが変わらないほうがいいので、上記に書いている誰もフォームが変わらないという経験談の中にはそういう選手も少なからずいるのですが。)

 

あまりフォームの良くはなく、おそらく本人も良い方向に変えようとしていたランナーも変化はありませんでした。

 

何故フォームを変えようと意識してもランニングフォームが変わらないのかは、一つ考えた仮説があります。

 

原因は脳にあると考えます。

人間の脳は生きていくために様々な働きを常にしており、その機能についてはまだまだ謎が多いですが、脳の構造の仮説の一つにポール・マクリーン博士の『三位一体脳モデル』があります。(脳の三層構造、など表現はいろいろとあるようです)

 

このモデルは脳の構造を以下のように捉えています。

ヒトの脳を3層で考え、一番内側は爬虫類から継承して反射をコントロールする脳、その外側に哺乳類から受け継いだ「情動脳」、一番外側の新皮質が人間が獲得した「理性脳」で構成され、相互作用で働くという説

ただし仮説としては古く、近年専門家の間では細かな部分は否定されていたりもするようですが、脳の構造を考えるにあたっては便利です。

つまり、脳は各部位ごとに機能が分化していて、それぞれ連動しながら働いているという点においては大きく間違えてはいないだろう、とした上で話を進めていきます。

 

これはつまり人が話しているときや物事を考えるとき、あるいは私が文章を書いているときも脳は働いていますが、それは私が走っているときに使われている領域とは違うということです。

 

さらに「意識」という言葉も厄介です。

 

意識する、とは言ったものの、実際に脳の中でどのように「意識」しているのかは全く分かりません。

ですが、仮に頭の中で「こうこうこう言う風にして体のあの部分を動かそう」と意識しているのであれば、ランニングフォームを変えるのは難しいでしょう。

 

なぜなら脳の領域、担当が違うからです。

 

人が論理的に言葉で思考ができるのは主に前頭前野のおかげだそうです。

前頭前野 - 脳科学辞典

つまり人は前頭前野含む外側の新皮質が発達しているから物事を考えて実行に移せるわけです。

 

しかし、ランニングは違います。

 

走るという行為は非常に原初的なものです。

なので幼い子供でも歩き、走ることはできるわけです。

脳であてはめても運動を司るのは原初の部分にあたる脳幹に近い小脳と言われています。

小脳 - 脳科学辞典

 

なので、意識のレベルの違いがランニングフォームを変えられるかどうかに影響するのではないか、と考えられます。

つまり、前頭前野でフォームを変えようと考えても、運動自体は小脳が担当しているので、小脳で変えるように働きかけないと意味が無いのではないかということです。

 

例えるなら騎手と馬です。

 

考えるのは騎手で、方向を指示したり、加減速を調整することはできます。

しかし騎手は馬のフォームを変えることはできません。

 

例えに従って、もし馬のランニングフォームを変えたいとするのであれば、騎手が馬から降り、馬の一挙手一投足を見て、手とり足とり細かく指示して動きを刷り込んでいく必要があるのではないかと私は考えます。

 

また、おそらく運動神経のよい一握りの優秀な選手たちの頭の中は、このようなことを運動している最中でも出来ているのだろうと思います。

正に人馬一体というものです。

 

しかし、大多数のランナーは馬が走っているときに馬のランニングフォームを変えることは不可能でしょう。

私も10年やって無理だったので諦めました。

 

今は手とり足とり方式で、少なくとも自分がガッカリしないくらいに良いフォームにはなりました。

 

今回のお話はこのくらいで。

 

長々とお付き合いいただきありがとうございました。

 

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ケニア人がフォアフット走法でも足を痛めない理由 その2 ~吸収局面と加速局面~

runner-takuya-sugo.hatenablog.com

こちらの記事の続きとなります。

 

前回、ケニア人がフォアフット走法でも足を痛めない理由について書きましたが、実はこれはまだ半分です。

この記事では残りのもう半分の要素を書いていきたいと思います。

 

ケニア人ランナーの走りを見ていると非常に軽やかです。

そして、物理的にも日本人より軽いのではないかと私は考えています。

体重身長が同じであれば、進むのに必要なエネルギーも本来は同じになるだろうと推測できるでしょうが、それでも日本人よりもケニア人の方が物理的に軽く進むことが出来るために、軽やかに見えるのです。

つまり、”質量は一緒でもケニア人の方が軽く進むことが出来る”という一見矛盾したようなことを言っているのですが、矛盾ではないことをきちんと説明していきたいと思います。

 

前の記事、ケニア人がフォアフット走法でも足を痛めない理由で書いた通り、ケニア人は前足部から接地していても全身を上手く使って衝撃を吸収しているので、足を痛めにくい、と書きました。

その時の姿勢は”椅子に座るときのように上半身を前に倒し、骨盤は前傾で、臀部やハムストが伸ばされて速度を調整する”という動きになります。

もう少し詳しくすると

上半身はリラックスして背骨の真ん中あたり(胸椎12番)から曲がるようにしてやや背中は丸くなり、かつ骨盤が前傾しているため、背中からお尻、裏腿、膝裏にかけて伸ばされた状態

となります。

 

つまり背中から膝裏までの長さの大きなゴムが伸びることによって衝撃を吸収しているともいえるわけです。

そしてゴムというのは伸ばされると弾性エネルギーが大きくなります。

 

ケニア人たちはこの弾性エネルギーを加速局面でタイミングよく開放して運動エネルギーに変えているために、日本人よりも軽々と進むことが出来ているのです。

 

さて、より詳しく説明していきます。

 

ランニングの際、足が地面に接地してから離れるまでの間を二つの局面に分けることが出来ます。

それは衝撃を吸収する局面と加速していく局面です。

 

まず地面に接地すると足に衝撃(荷重)がかかり始めます。

その衝撃は速度やその人の体重によって大きさは違いますが、接地してから急激に上がっていき、最大値に近くなると緩やかになる形となります。

その衝撃は最大で体重の2~3倍ほどです。

(なお、ベアフットランニングをしているランナーは2倍前後と低くなる傾向にあるそうです)

 

衝撃が最大値を過ぎると今度は急激に下がっていき、ゼロになると同時に足が地面から離れます。

 

私は便宜的に接地してから衝撃が最大値に達するまでを”吸収局面”、最大値からゼロになるまでを”加速局面”と分けています。

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※なお、シューズを使用している日本人ランナーはこのようななめらかな曲線にならないことが多いです。踵から接地するために吸収局面の途中でこぶのような山が一つつくような曲線となります。詳しくは【研究】裸足で走る技術をデータ化したのがこれ! | 吉野剛の裸足ランニング裸足ラン研究、やはり一般ランナーとは全く違う? | 吉野剛の裸足ランニングをご参照ください。

 

この図にそって説明すると吸収局面では衝撃を体幹を含め、体全体のゴムを伸ばすようにして衝撃を吸収しつつ弾性エネルギーを貯め、加速局面に入ったタイミングに合わせて背中から膝裏にかけて蓄えられた弾性エネルギーを開放し、更に筋力も加えて大きな運動エネルギーに変換して前に進んでいるということです。

 

これが日本人の場合だと、まず吸収局面は踵接地なために一度止まってしまい、かつその衝撃を下半身で受け止めがちです。

筋力を使って少し減速もしています。

前ももが疲れやすい、筋肉痛になりやすいのはそれが原因です。

 

加速局面でも下半身に頼りがちになります。

しかも減速した分も加速しなければいけないので、ケニア人の進み方に比べるとかなり足の筋力を使うことになります。

しかも重心はへそのあたりにあるにもかかわらず、重心より下の足で進むということはベクトルが上にずれやすく、そうならないように主にふくらはぎを使って微調整を強いられます。

日本人のふくらはぎが太くなるわけです。

だから重く見えますし、実際に足にかかる労力を見ると重いのです。

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上半身と下半身が連動してタイミングよく力を発揮できるケニア人は、下半身中心になりがちな日本人に比べると出力からして段違いで、仮に同じ身体条件・能力だったとしても上半身と下半身の両方でエネルギーを発揮できるケニア人のベクトルの大きさは日本人の単純に倍違うことになります。

(現実には日本人は下半身に頼る分下半身が発達してそれなりに推進力を出し、上半身と下半身の両方使うケニア人は下半身の推進力だけ見れば日本人より弱くなると推測しています)

 

しかも衝撃を弾性エネルギーに変え、その弾性エネルギーを運動エネルギーに変換するというすさまじい効率性も兼ね備えています。

 

まとめますとケニア人は吸収局面だけでなく加速局面においても足ばかりに頼っていないために負担が少なく足を痛めにくい、ということです。

 

今回は以上になります。

長々と仮説にお付き合いいただき、ありがとうございました。

 

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ケニア人がフォアフット走法でも足を痛めない理由

ケニア人を始めとしてアフリカ系ランナーと言えばフォアフット走法で有名で、実際私も昨年現地のランナーと一緒に走らせてもらうと多くのランナーが足の外側前方の、小指の付け根のあたり(小指球)から着地しているランナーが多かったです。

(そうでないランナーももちろんいましたが)

 また、世界選手権やオリンピックなどの動画で見ている限り、トップレベルのアフリカ系ランナーはほとんどフォアフット走法となっているように見えます。

 

さて、今回はケニア人にフォアフット走法が多いということを前提に、ケニア人がフォアフット走法でも足を痛めない理由について私なりの仮説をまとめていきたいと思います。

 

まずフォアフット走法、小指球あたりから着地する方法ですが、裸足かベアフット系シューズを使って走ると自然となるランナーが多いです。

(この辺りはケニア人がフォアフット走法になる理由日本人ランナーが踵接地になりやすい2つの条件に詳しく書いています)

何故かと言うと恐らくですが、単純に踵から着地すると痛いからでしょう。

 

そのためベアフットランナーはやや強制的に小指球着地するようになりますが、その時のフォームはいびつになりやすいです。

全身の動きはほとんど変わらず、着地だけ変わったのですから当然の結果です。

そうするとどうなるかというと足、特に足部やふくらはぎを痛める方が本当に多いです。

 

少なくとも踵から着地するよりも小指球から着地するほうが、足のアーチに関係する細かい多くの腱やふくらはぎにあるアキレス腱が伸びることによって衝撃を吸収してくれたり、前足部は踵に比べて面積が広いので圧力も少なかったりしますので、衝撃が少ないことは少ないのですが。

また、小指球から着地すると膝も伸びていないため、膝へ直接衝撃がかかりにくいということもあるのですが。

 

それでも今までシューズで過ごしてきて筋肉や腱が相応に発達しなかったために足、特に足部やふくらはぎを痛めてしまいがちです。

今まで全く筋力トレーニングしてこなかった人が、いきなり100kgベンチプレスをやるようなものですね。

 

つまり原因の一つ目は”やってこなかったから体が発達していない”ということです。

これはある程度時間をかけてもらうしかないです。

鍛えるときは裸足、もしくはベアフット系シューズでトレーニングすることが望ましいでしょう。

 

筋肉や腱が相応に発達するまでに時間はかかりますが、例え十分に時間を費やしてからも人によっては痛めやすいことがあります。

 

先ほどベアフットランニングを始めたばかりの頃はフォームもいびつになりがち、と書きましたが、痛める理由はここにあります。

 

日本人はケニア人と比較すると傾向として下半身を動力として走るランナーが多いです。

(参照:ケニア人と日本人の走る仕組みは全く違う, 歴史と食から見る日本人の武器は「超長距離」

決して一概に悪いことではないのですが、フォアフット走法をする上ではデメリットがあると考えます。

 

それは”衝撃を全身で上手く吸収できない”という点です。

 

上半身をあまり動かさず、骨盤が前傾にもなりにくい日本人ランナーはハムストや臀部、背骨の周りを上手く使って衝撃を吸収することが苦手なのではないか、ということです。

(参照:ケニア人の骨盤前傾の秘密はハムストリングスにある?

 

詳しく解説します。

 

小指球から着地した際に骨盤が前傾であればハムストや臀部が伸びることによって衝撃を吸収することが出来ます。

また上半身が脱力していて、背骨がS字になっていると、ちょうどスプリングのように働いて、ここでも衝撃を吸収できます。

 

これが骨盤後傾の場合はハムストは伸びず、大腿四頭筋などの太ももの前あたり筋肉が使われて膝から下で衝撃を吸収することになります。

上半身は固定している傾向にあるため、衝撃吸収にはなりません。

(下図参照)

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また骨盤前傾の場合は上半身や重心の位置も着地した点の真上近くになるので、地面からの衝撃の向きが真上に近くなり、ブレーキになりづらくなります。

 

骨盤後傾ですと重心よりも前で着地しがちで膝下のスイングで突っ張るように地面と当たるため、地面からの衝撃の向きが斜め後ろ方向になり、大きなブレーキとなりやすいのです。

 

(走っているときのケニア人の衝撃吸収の仕組みは、場面が変われば強力な推進力ともなるものではありますが、その辺りは別の記事にまとめたいと思います)

 

これが原因その2、”体の使い方が違うから体が耐えられない”ということです。

 

ただ、この体の使い方は日本人にとって決して難しいわけではありません。

日常的にこの体勢に似た動きを誰でもしています。

 

それは”イスに座るとき”です。

 

イスに座るときは誰でも上半身を前に倒し、骨盤は前傾で、臀部やハムストが伸ばされて速度を調整するという動きをしています。

先ほどの図と一緒です。

 

日本人なら誰でも毎日一回はやっているごく普通の動作にケニア人の走りと同じ動きがあるのはなんだか不思議ではないでしょうか。

 

逆に考えるとケニア人のランナーはもしかしたら走っているときも高いイスに腰かけているような感覚なのかもしれません。

実際、これが出来きたとき、私はそのような感覚を覚えました。

 

ただ、普段イスに座るという動作でやっているからと言って、ランニングの時にそれが出来るかというと、決してそうではありません。

 

「座る」と「走る」では速さも衝撃も各関節の角度もかなりかけ離れています。

感覚や形は似てはいますが、一足飛びに実現できるほど距離は近くないということです。

 

座る感覚を走るときに出すためには、走っていても上半身から脱力していることや、上半身から自然に重心を導くことが出来ないと難しいでしょう。

その辺りは別記事身に着けたいのはケニア人のように体幹で重心をコントロールする技術ケニア人に近づくための体幹連動トレーニングをご覧ください。

 

結論を述べますと日本人であってもケニア人のように筋肉や腱が相応に鍛えられて、体全体を使って衝撃を吸収できるようになれば、フォアフット走法でも足を痛めることなく走れるようになる可能性が高いのではないか、ということです。

 

次の記事→ケニア人がフォアフット走法でも足を痛めない理由 その2 ~吸収局面と加速局面~ - ランニング言いたい放題

 

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詳細・お申し込みは以下のページよりお願いします。

【東京】2018.11.23(金・祝)ランニングフォームチェック(代々木公園) | イベント | 日本ベアフット・ランニング協会

 

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上り坂を上手く走るたったひとつの走り方

ランナーの皆さん上り坂を見ると何を考えますか。

私はよほど疲れていない限り、上り坂走るのは好きです。

楽しくはありませんか?すごくきつい程追い詰められている感じがしてワクワクします。

階段はそこまで好きではないですが、上り坂はとても楽しいですね。

 

・・・。

 

あまり理解を得られなさそうな導入ですが、今回は上り坂を上手く走る方法について書いていきたいと思います。

 

題名では「たったひとつの走り方」なんて大げさ言っておりますが、本当にその通りでだと私は考えています。

もったいぶらずに言ってしまうと、上手く走る走り方とは『何もしない』です。

 

人から上り坂のコツを聞かれたときはいつもこう答えているのですが、皆さん一様に「?」といった表情をされます。

ちゃんと説明しますので、もしよければ見ていってください。

 

まず、この記事で言う上り坂とはロード或いは不整地で、階段のように段差になっていなく、角度が急すぎたりもしない坂のことです。

 

 さて、先に結論を述べてしまいましたが、上り坂を走るとき私はあえて『何もしません』

言い換えると多くの方は上り坂になると普段はやらないことをやろうとするので、無理に疲れてしまうと私は考えています。

 

まずは「姿勢」です。

私は上り坂でも平地を走るときと同じように姿勢を変えません。

特別前傾にしたり、体幹を意識したりもしません。

姿勢を変えるとそれだけで疲れるからです。

 

普段平地で普通に走っている姿勢はフォームの良し悪しに関わらず、とにかくその人にとって現状一番無理のない自然な姿勢です。

平地での姿勢の方が力が出しやすく、疲れないのです。

それが坂になると特に前傾に持っていこうとするランナーが多いですが、それはただでさえ上る分消費を強いられる上り坂において、更に燃費を悪くするだけです。

変えた姿勢を維持するのにもエネルギーは必要ですし、無理な姿勢は力が出にくい分、余計に力を出さなくてはいけなくなります。

(これは私が日頃お世話になっているベアフットランニングの第一人者、吉野剛氏から学んだ事です)

 

そもそも前傾姿勢にしても上り坂は楽になりません。

物理学の基本に倣えば体重を変えない限り、同じ上り坂において上るのに必要なエネルギー総量は変わりません。

 

次は速度の問題です。

 

上り坂では平地の時のような水平方向への移動に加え、自分の体を高い場所へと運ぶ垂直方向への移動にもエネルギーが必要になってくるため、当然その分速度は低下します。

平地の時は直進だけに使っていたエネルギーが、上り坂では垂直方向へ体を持ち上げることにもエネルギーが必要になってくるということです。

 

なので、上り坂では速度を維持することははるかに難しいです。

坂を走る身体負荷と技術①ではグラフや表で坂道に必要なエネルギーについて説明していますが、こちらによると「10%の坂道のエネルギー消費量は平地の1.5倍!」だそうです。

 

そんな上り坂ですが、多くのランナーに見られるのが無意識に速度を維持しようと頑張ってしまうことです。

そうすると先の姿勢の話にも関係してきますが、無理に足を上げてストライドを広く取ろうとするので、余計に疲れます。

ただでさえ”5%の上り坂では平地よりも25%も余分にエネルギーを消費し、10%の傾斜になると50%にも達し”てしまう坂でそんなことをすると一気にエネルギーを消費してしまって、そのあとの足が止まります。

 

私は坂では速度を維持しようとはしません。

平地を走るときと同じリズム、同じエネルギー消費になるようにします。

結果的に減速しますが、平地や下り坂で取り返すことが出来るので問題ありません。

むしろ、上り坂でエネルギーを消費しすぎて失速するランナーを抜くことも少なくありません。

 

最後は力の出し方とも言えばいいでしょうか。

 

上り坂ではまた多くのランナーが良くやっているのですが、足を勢いよく地面に叩きつけているのです。

これはランナーでなくても日常の中で、階段を歩いているときにも見られます。

皆さんも見たことはないでしょうか。

上りの階段で足音が非常に大きくなる方を。

 

この現象は足が地面につく前から力んでいるために発生します。

しかしながら、これは全てエネルギーの無駄です。

 

人間は空を飛べません。

人間の足は地面についてからでしか仕事をすることが出来ません。

なので、いくら空中で足に力を入れたところで、地面に着いた瞬間にそのエネルギーは音と衝撃と熱にしか変換されません。

これはエネルギーの全損です。

 

私はここでも平地と同じように上り坂に足をつけるだけにします。

上り坂でも平地と同じように足を回して、坂の角度の分だけ平地より少し早く地面に着地します。

多少ストライドは縮みますが、エネルギーを全損するよりはるかに効率的です。

 

こうして平地と同じように上り坂でも『何もせずに』普通に走るだけで、少なくとも姿勢を変えたり、速度を維持しようとしたり、力出したりする人よりもずっと効率的に走れるでしょう。

 

ただし、これはある程度走って練習をしていて身体能力がある方がすると有効な方法です。

間違っても万有引力の法則に逆らって、体力脚力が無くても坂道をスイスイ走れる方法ではありませんので、あしからず。

 

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ケニアの高地でのトレーニングの費用対効果考察

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私が2017年に2回行ってトレーニングしたケニアのニャフルルは赤道直下で標高は2200~2400mという紛れもない高地で、そこでの生活はカルチャーショックの連続でした。

 

今このブログでつらつらと書けているのもケニアに行ったおかげです。

 

今回はケニアの高地でトレーニングする効果について考察したいと思います。

 

まずは恐らく読者の方が一番気になる点、高地トレーニングからです。

 

先にも書いた通りケニアのニャフルルは標高2000m以上あり、高地トレーニングの条件に当てはまります。

酸素濃度が平地に比べて薄いため、実際に走るといつもは楽なペースで息切れが起きたり、疲れが取れにくかったりします。

高地トレーニングについては詳しく説明しているサイトがいくつもあるので、そちらを参照していただきたいですが、実体験としてケニアでのトレーニングはきついものでしたし、その分帰国してからも体が軽く感じました。

(参照リンク:

高地トレーニング(こうちトレーニング)とは - コトバンク

高地トレーニングによって得られる効果とは?最先端を行く新時代のトレーニング

 

ただ、高地トレーニング自体にはデメリットが存在します。

 

まず、高地トレーニングは筋トレと一緒で止めると身体能力はどんどん下がってしまう点です。高地トレーニングは実施後に確かに効果は感じますが、2・3週間もすると向上した身体能力も落ちてしまうのです。

 

高地トレーニングには移動費や滞在費など費用と3週間以上の時間を要します。

しかし、その効果が一定期間しか持たないのであれば費用対効果から見るとかなり厳しいのではないでしょうか。

効果が続く期間内に走れるレースは1つくらいでしょうし、その1レースの為に高地トレーニングを導入できるのは、一握りのトップクラスランナーだけでしょう。

 

あとは高地に移住して、レースの期間だけ平地に行く形が現実的でしょうか。

ただし、こちらもいろいろとハードルの高い選択肢でしょう。

 

また、高地では疲労が取れなかったり体調を崩しやすいので、トレーニング自体が出来ない可能性もあります。

これはその人と高地との相性もあるので、相性の悪い方にはほとんど効果はないでしょう。

 

日本人にとってケニアでトレーニングすることは、純粋に高地トレーニングという視点から見るのであれば、費用対効果は悪いです。

むしろ日本の低酸素ルームでトレーニングした方が、高地トレーニングという意味では遥かに効率的ではないかと思います。

これは世界中の、或いは日本のどの場所の高地であっても同様のことが言えます。

 

つまり、私は単に高地に移動して高地トレーニングするだけなら費用のわりに効果が伴わないと考えています。

 

だだし、『単に高地トレーニングだけするなら』です。

 

勿体ぶりましたが、ここからはケニアでのトレーニングのメリットについて話したいと思います。

散々言っておいてあれですが、私はケニアでのトレーニングは非常に価値のあるものだと思っていますし、何度でもケニアに行きたいです。

 

ケニアには日本にないトレーニング環境が揃っています。

 

まずは走る場所がほぼクロスカントリーであることです。

日本では探さないとなかなかない不整地が、ケニアでは沢山あります。

現地のケニア人ランナーがそういった環境でインターバルやファルトレクをやっている姿を何度も見ました。

それは強くなるはずです。

 

また周りのランナーが抜群に速いことも挙げられます。

時には市内のトラックを世界トップレベルの有名ランナーが走っていて、一緒に練習することすらできます。

そうでなくてもケニア人のランナーたちは皆速く、女子選手であってもついていくのが辛いくらいです。

 

そのレベルの選手たちが朝からそこら中を走っているのがニャフルルです。

ランナーであれば興奮せずにはいられないのではないでしょうか。

少なくとも私は非常に感動させられました。

 

フォームもきれいですので、少しでも一緒に走ったり、生活を見るだけでも非常に良い勉強・刺激になります。

 

他にも自然環境が豊かであることも良い点です。

日本の都市と違って緑ばかりで空気がきれいですし、食べ物も現地の市場で売っているものは無農薬だそうなので、寄生虫や食中毒にさえ気を付けていれば体に良いことは間違いないでしょう。

 

あと、日本と同じくらいの広さと規模のスーパーも普通にあるので、どうしても食べたいものがあったらそこで買えます。

日常生活用品も大抵は揃ってますし、何より値段が安いです。

 

多少デメリットがあるとすれば乾燥対策が必要なこと、娯楽が少ないこと、治安は決して良いわけではないこと、水道や電気が時々止まったりすることくらいでしょうか。

一応生活できないわけでは全然ないですが、人によっては結構ストレスに感じると思います。

陸上部時代に全く自由の無いストレスフルな合宿を何度も経験してきた私からすれば、ケニアは結構ストレスフリーでしたが。

高地で乾燥しているので、体調不良になりやすいことが唯一のストレス源でした。

 

結論をまとめますと、高地トレーニングだけを目的にするなら費用対効果は高くないが、それ以外の要素で非常に有意義な体験・経験が出来るので、私はケニアでのトレーニングには価値があり、ケニアは『ランナーの聖地』だと思っています。

 

最後は言い過ぎですかね。

そのくらいケニアでのトレーニングが素晴らしかった、と思っていただければ幸いです。

 

それではまた。

 

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