ランニング言いたい放題

ケニア人のフォームやベアフットランニングについて書いてるブログです。ご依頼・お問合せはhadashi.rc@gmail.comまでどうぞ。by須合拓也

”ルディシャの振り子”

 皆さんは800m世界記録保持者のDavid Lekuta Rudisha(デイヴィッド・レクタ・ルディシャ)をご存知でしょうか。

 

ケニア人で2012年のロンドンオリンピックで800mの世界記録を樹立、金メダルを獲得しました。

その時の動画がこちら。

www.youtube.com

 

見て頂けるとわかると思いますがストライドは長いし、それでいて力強いし、まさに異次元の走りをしています。

しかもこのフォームがゴールするまで崩れないで走り切っています。

 

今回は彼の動きについて話したいと思います。

 

ちょうど動画の4分30秒あたりから2周目バックストレートを正面から撮っているシーンになりますが、Rudisha選手の頭の動きを見てください。

 

顎が振り子のように左右に振れています。

 

何故こんな動きをしているのか。

もしこの走り方に無駄があるとしたら、世界記録が出るのも、フォームが崩れないのもありえないと思います。

 

現実は彼が世界で最も速い800mの選手です。

 

それではその現実に沿ってなるべく矛盾の少ない私の仮説を書いていきます。

 

何故顎が動いているのかというと体幹部分が左右に動くことによってバランスを取っているからだと考えています。

例えば左足が地面について体を支えているときに体幹、特に胸のあたりを左側に移動させることでバランスを保っているということになります。

 

詳しく説明します。

左足で体を支えているとき、骨盤は左側が上がり右側が下がります。

骨盤が右に倒れるのに従って背骨も倒れますが、バランスを取ろうとして胸は左側に移動。

背骨は前から見てS字を描き、胸が左側に移動した反動で頭は右に振れるために、最終的に顎が振り子のように動いて見えます。

 

体で最も重さがある体幹が支点である左足の上方に乗ってくるので、バランスを崩すことが無いでしょう。

日本人によくありがちな下半身、特にふくらはぎの筋肉でバランスをとる必要がありません。

胸を左右に動かすのは、ふくらはぎで上半身のバランスをとることに比べると、ほとんど労力を必要としないため疲れにくく、効率的とも言えます。

 

図で表すと下のようになります。(手書きですみません)

f:id:akttsugou:20180423143822j:plain

 

この動きによって、ストライドが大きくてもバランスを崩すこともなく重心の軌道が安定します。

(重心の軌道については身に着けたいのはケニア人のように体幹で重心をコントロールする技術 - ランニング言いたい放題参照)

 

こうした動きが出来るのは800mのトップスピードで走っている中でも体幹が良く動くことに加え、頭の先までリラックスしていて連動しているからでしょう。

体幹が、背骨がまっすぐなまま動かない人にはできませんし、例え体幹が動かせたとしても、猛スピードで疾走中に力が抜けていないとこの動きは実現できません。

 

加速と脱力。

一見して相反する要素がうまく調和しています。

 

芸術的にも見える彼の動きに敬意を表して、私は勝手に”ルディシャの振り子”と呼んでいます。

 

この”振り子”の動きをしているのは彼だけではありません。

ケネニサ・ベケレ、モハメド・ファラー、エリウド・キプチョゲ、バーナード・ラガト…などなどの世界でもトップクラスの選手には大なり小なり見られます。

 

ベケレ、キプチョゲ、ラガト(6分10秒あたりから、ベケレがわかりやすいです)

www.youtube.com

 

ファラー(14分23秒あたりから)

www.youtube.com

 

彼らはこの”振り子”を持っているために、他の選手よりも一つ飛びぬけていられるのかもしれません。

 

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身に着けたいのはケニア人のように体幹で重心をコントロールする技術

ケニア人のようになるためのトレーニング方法を当ブログでは載せておりますが(ケニア人に近づくための体幹連動トレーニング - ランニング言いたい放題)、今回の記事ではそのトレーニングで最も身に着けたい技術について説明します。

 

ケニア人は体幹部の使い方が日本人とは全く異なり、動いている際に重心をコントロールする能力がずば抜けています。

インターロックトレーニングを通して一番身に着けたいのがこの技術です。

 

別の記事(飛ばないケニア人 - ランニング言いたい放題)でも重心については記載しましたが、重心の位置は普通に立っているときは身長に対して床から56%の位置にあります。

(※日本人の場合。ケニア人はもう少し高くなると推測してます。)

立っている状態から前に進もうとしたとき=走るときはこの重心から進んであげるともっともロスなく楽に進むことが出来ます。

ケニア人と日本人の走る仕組みは全く違う - ランニング言いたい放題を参照)

 

また、走るときは重心は前方水平方向へ移動するだけではありません。

上下にも左右にも動きます。

走っているときの重心の軌跡を目で見ることが出来たなら、おそらくそれは上下左右に波打つように見えるでしょう。

事実、バイオメカニクスでは歩行の際の重心の移動がどうなっているか説明されています。(歩行の重心移動の軌跡図参照)

 

【歩行の重心移動の軌跡図】

http://livedoor.blogimg.jp/sho1425/imgs/1/d/1d76a585.png

歩行のバイオメカニクスpart1 : PTしょーのバイメカblog

 

走るときは、この波を無理やり最小限に抑えるのではなく、うまく”乗る”ことが重要になってきます。

というのも上の図を見て頂ければわかる通り人間は厳密な意味ではまっすぐ進んではいないのです。

歩くときと同様に走るときも上下左右に”波打って”いるのです。

 

走るとき、この波が大きすぎることはもちろん駄目ですが、全くなくすることは人間の構造上不可能です。

人間は前に進む際はどちらかの足に重心を乗せざるを得ないため左右に動きますし、足はタイヤのようになっていないのでどうしても上下にも動きます。

 

むしろ波を押さえつけようとすると、その分筋肉を無駄に使うのでロスが大きくなります。

やろうと思えば出来きなくはないですが、その際に効率は犠牲になるのでお勧めしません。

 

つまり走るときは重心は波打つように動いてしまうので、その軌道に沿って上手く波乗るよう重心を導いて上げるといいということです。

 

少しわかりにくいでしょうから、別の視点から説明してみます。

 

大多数のランナーは前に一直線進むということを意識していると思いますが、それは重心の波の軌道を無視しているので、結構無駄が多いのです。

意識は一直線上に進もうとしていて力もその方向にもっていこうとしますが、人間の構造上重心は波打たざるを得ないので、そのままだとバランスを崩します。

そうすると脳が無意識化でバランスを取ろうとして筋肉に指令を出し、意識している一直線上の動きを実現するように”補助”します。

なので、とりあえず意識している通り一直線走ることは出来ますが、無意識化ではバランスをとるために少なからず力を使っています。

無意識化で行われているがために、本人の自覚はほとんどないため、大抵の人はこれに気が付きません。

 

ようはまっすぐに進むとコースアウトするので脳が勝手に修正してくれているといったところでしょうか。

 

ケニア人の場合も意識の上では恐らく日本人と大して変わらず前に進むことを考えているかもしれませんが、その動きはまったく違います。

彼らは無意識にバランスを保つ際に体幹を使います。

体幹は重心に近いので、重心を動かす際に使う力が少なくて済み、無意識化での補助につかうエネルギーが少なくて済みます。

 

日本人は体幹以外、主に手足で補助しようとしますが、重心から遠いがために補助に必要な力が多くなってしまい、ケニア人に比べてエネルギーのロスが多いです。

 

更にケニア人やアフリカ系のトップクラスランナーともなれば最小限の労力でこの波を先取りするように体幹が動きます。

 

この技術を身に着けるためには体幹が動的にありとあらゆる方向に、立体的に使えなくてはいけません。

その為の練習がインターロックトレーニングになります。

 

インターロック自体は上下前後左右の特定の方向のみの動きになりますが、その動きが無意識に、例えば人と話しながらとか、テレビを見ながら自然に出来るようになれば、走るときにも自然に出来るようになってきます。

 

ケニア人やアフリカンの専売特許ではありません。

英語を学ぶのと一緒です。

時間は確かにかかりますが、日本人でもちゃんとトレーニングすれば習得可能な技術なのです。

 

興味がありましたら是非挑戦してみてください。

 

 

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このブログで書いているケニア人の走り方を身に着けるための、動き作りだけを中心とした”走らない”ランニング教室を開催します。

 

当ブログの記事(ケニア人に近づくための体幹連動トレーニング - ランニング言いたい放題)で紹介しているインターロックトレーニングや、ランニングへの応用などやります。

 

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体幹連動トレーニング「インターロック」の注意点について

前の記事(ケニア人に近づくための体幹連動トレーニング - ランニング言いたい放題)にて体幹を連動させるためのトレーニング「インターロック」を紹介しましたが、こちらを実施する際の注意点についてまとめたいと思います。

 

インターロックトレーニングのポイントは3つあります。

  1. 最大脱力
  2. 最大振幅
  3. 最大瞬発

一行にまとめると出来る限り力を抜いた状態で可能な限り大きく、かつ素早くタイミングよく打つことです。

 

一番の障害は脱力です。

日本人の大多数が体幹を動かす習慣がないため、体幹を動かそうとして手や足が働いてしまい、結果動きは同じように見えても中身は全く違ったものになりやすいです。

 

例えば首を動かす際に肩が動いてしまって、背骨が波打つように動かないことはよく見られます。

或いは腰を前後に動かすときにお腹や背中ではなく、足で動かしてしまう人もいます。

こうなるとインターロックのトレーニングとしては効果がありません。

 

ケニア人をはじめとしてアフリカ系の人にとってはダンス、つまりインターロックの動作は習慣的日常的なものです。

あいさつとか食事とか入浴とかと同レベルだと思ってください。

なので自然な状態で力まずにやるものです。

 

日本人だと勤勉なものですからトレーニングというと、ついついやりすぎてしまう傾向にありますが、このトレーニングに関しては逆効果です。

テレビ見ながらやるくらいの気持ちで十分です。

 

最大振幅と最大瞬発も脱力が出来ていないと難しいでしょう。

大きく速く動こうとするとどうしても力みやすいですが、必要ない力があればあるほど可動域は狭くなり、スピードも落ちます。

 

良く鞭のように動くとはいいますが、まさにそのようなイメージです。

振り子やブランコでもいいです。

力を抜いて体をしならせタイミングよく勢いをつけてリズムを打つ、波に乗るように動かします。

大きく速く動かすのに大きな力は必要ありません。

 

力まずに動くことが出来れば限りなくケニア人の、アフリカ系のアスリート特有の自然で野生動物のような動作に近づいてきます。

 

併せて気をつけたいのは運動の強度です。

 

始めはすぐに筋肉痛などなりやすいと思いますが、疲れたらトレーニングはやめた方がいいです。

日本人はケニア人に比べ胴長なため体幹を動かすためには多少力が必要で、腰痛や椎間板ヘルニアになりやすいです。

 

また慣れないうちはインターロックトレーニングをした後は走らない方がいいです。

これは体幹が疲れた状態だとバランスが崩れやすく、ケガにつながりやすいうえにトレーニング効果が低いからです。
(ウエイトトレーニングで体幹を一番最後にやるのと同じですね)

なのでインターロックトレーニングをした際は走らないか、走っても軽めにとどめておくなど注意が必要だと思います。

 

最後に注意点ではありませんが、インターロックトレーニングは慣れてきたら自分の好きな曲に合わせて行うとモチベーションが上がって継続しやすいです。

リズムのある曲であればどんな曲であっても出来ると思います。

ただし演歌や盆踊りのようなリズムのない曲ではできません。

これだけは注意が必要です。

 

始めはなかなか難しいうえに疲れやすいと思いますが、慣れると好きな音楽のリズムに乗って動けるようになり非常に楽しいので、気をつけながらも取り組んでいただきたいです。

 

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ケニア人に近づくための体幹連動トレーニング

前の記事(ケニア人と日本人の走る仕組みは全く違う - ランニング言いたい放題)でケニア人の走り方は日本人と全然違うという説明をしましたが、今回はどうすればその走り方になれるのか私の考えを述べたいと思います。

 

ケニア人の走り方・体の使い方は太ももから上半身にかけての部分に特徴があります。

体幹の、背中やお尻の筋肉が連動して働くことにより背骨がまるで弓のようにしなって体を前に出しています。

 

この動きは意識したところでなかなかできることではありません。

(もし意識するだけで出来る人がいたとしたら超一流のアスリートになれるでしょう)

特に日本人の生活文化にはこうした体幹の動きをする機会が全くほとんどないため、難しいと思います。

 

これは要するにケニア人の肉体が生来から優れているという話ではなく、単に特定の生活文化環境下における身体能力に与える影響がたまたま走ることに向いていただけです。

なので日本人もトレーニングによって意図的にケニア人のような体の使い方を身に着けることは確実に可能で、その延長線上にケニア人の走り方があると私は考えています。

 

では、日本人がケニア人のように体幹を動かすためのトレーニング方法は何なのかというと、インターロックトレーニングです。

 

このトレーニングはトニー・ティーこと故七類 誠一郎氏が発案しました。

目的は黒人のリズム感や動きを身に着けることにあります。

(こちらの記事に詳しい解説があります:インターロックについて教えていただきたいです。 | BASKETBALL and LIFE UP

 

動画ですとこちらになります。

www.youtube.com

 

これを続けるだけで十分効果があります。 

 

元々はアフリカンのようにダンスが踊れるようになるために作られたトレーニング方法ですが、他のスポーツにも幅広く応用可能な、体をうまく使うための基礎的技術トレーニングになっています。

 

私もこのトレーニングをやって1ヶ月あまりでランニングフォームに変化を感じはじめ、その時点のレースではストライドが前年から5cmほど伸びていました。

(同一のランニング用GPSウォッチによる計測なので、なかなか信頼できるデータだと思います)

 

またトレイルランニングのタイム、特に下りが明らかに速くなりましたし、体つきも変わりました。

何よりランニング人生20数年の間で全くやったことのない異色のトレーニングだったので、初めは全くできませんでしたが出来るようになるととても楽しいです。

道具もいらず、自宅で手軽にできる点も高評価です。

 

皆様も試してみてはいかがでしょうか。

 

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【東京】2018.4.28(土)ケニア式”走らない”ベアフットランニング教室(渋谷)開催します。

このブログで書いているケニア人の走り方を身に着けるための、動き作りだけを中心とした”走らない”ランニング教室を開催します。

 

詳細・お申し込みは以下のページよりお願いします。

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ケニア人と日本人の走る仕組みは全く違う

前の記事(飛ばないケニア人 - ランニング言いたい放題)をより詳細に説明します。

 

ケニア人も日本人も体の構造はほとんど、全くと言っていいほど同じですが、その使い方はかなり違います。

同じ金属バットでもホームラン打てる人もいれば三振ばかりの人もいるようなものでしょうか。

 

ケニア人の体の使い方は、太ももから上半身にかけての部分をうまく使って前に進むものですが、より詳しく説明すると背中やお尻の筋肉が主に働いて弓のようにしなることにより体を前に出しています。

この時足はアンカーのような働きをします。

つまり足は地面に接地して、その位置に最低限留まるだけでよくて、足の支えの上で背中やお尻が働いて体を前に出しています。

 

ケニア人の走るときの体の使い方】

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ケニア人のこの走るときの感覚はなかなか言葉では表しづらいですが、強いて例えるなら「背中で地面を押す」が近いと思います。

彼らの臀部や体幹部分、特に背中に立派な筋肉がついているのも納得です。

 

次に日本人の場合を説明します。

 

日本人は太ももやふくらはぎが発達していることから、下半身を動力の中心として走っていると考えられますが、要するに足で地面を蹴る・大きくスイングさせることによって進んでいるということです。

まるで自動車のタイヤのようですね。

 

【日本人の走るときの体の使い方】

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足で勢いよく地面を蹴った反動で進んでいるわけですから、速く前に進もうとするにはより地面を蹴る、スイングスピードを上げなくてはいけません。

 

ここでケニア人と日本人の走り方を比較してみましょう。

 

日本人は速く走るために足のスイングを速くする必要がありますが、これは要するに地面に足を叩きつけているのと同じです。

衝撃が足に集中しやすいので、足の様々な箇所に故障を抱えやすいでしょう。

 

また、地面を強く蹴るため足を踏ん張りたくなるため、ふくらはぎを使って地面をつかむように力を入れたくなります。

このためケニア人に比べて顕著にふくらはぎに筋肉がつきますが、それによって足は先端が重くなり、スイングを速くするためにはより力が必要で筋肉がまた発達する…という悪循環に入ります。

足の先端が重いということは足への衝撃もまた強くなります。

 

さらにこれはベアフットランニングの時に差が出てきます。

地面を蹴るために足はより大きい摩擦力を必要としますが、これが裸足もしくはベアフット系のシューズでやったら足の裏の皮が捲れたり、最悪足の骨が折れたりすることになると考えられます。

このことから今の日本人の走り方は本来人間の構造的に無理がある走り方ではないかと私は考えています。

20180615訂正

構造的に無理があるのではなく、日本人がそのような走り方を選択してきて”進化”してきたという形であることに気が付きましたので訂正します。

正確には「日本人の走り方はスピードを出すことには向いていない」というところです。

詳しくは(歴史と食から見る日本人の武器は「超長距離」)を参照ください。

 

対してケニア人の走り方は背中やお尻が中心なので、足への負担は最低限で済みます。

足はあくまで上半身が動くときに支えになるだけなので、筋肉は必要ありません。

特に踏ん張る必要がないため、ふくらはぎが発達しません。

そのため足が先端にいくほど軽くなり、かえってスイングの際に必要な力も、スピードも速くなります。

 

既に裸足で生活していないケニア人が人生初裸足でクロカンレースに出ても普段と変わらずに走れる理由はここにあります。

 

ケニア人はランニングエコノミーだけでなく、足への負担についても日本人に比べて有利になっていると考えられるでしょう。

 

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ダンスはケニア人に何を与えるか

前の記事(ケニア人は踊るように走る - ランニング言いたい放題)でケニア人ならば猫も杓子もダンスができると書きましたが、それがケニア人にとって一体どのような影響があるのか、ダンスによってランニングフォームがどうなるのか、参考文献も交えつつ私の考えをまとめたいと思います。

(ページ下部にも記載しておきますが、この記事は故七類誠一郎氏著作の「黒人リズム感の秘密」を参考としております。)

 

ケニア人をはじめとするアフリカ系のダンスは体幹、より詳細に言うと背骨を波打つようにしならせて動かします。

彼らにとってダンスは生活の一部です。

日常的に何かお祝い事があれば即興で踊ります。

 

そのダンスによってケニア人は以下の能力を獲得するに至っていると考えられます。

  1. リズム感
  2. 動的柔軟性
  3. 弛緩と緊張のコントロール
  4. 動的バランス感覚
  5. 発達した体幹・小さく前後に長い頭・長い手足

 

始めにリズム感です。

背骨を波打つようにしならせて動かせる彼らは体幹でリズムをとることができ、そのリズムは乱れることがありません。

なぜなら波というのは周期が決まっており、早い遅いはあれど必ず一定の間隔を保つからです。

 

わかりにくい方はタオルで実験してみるとよいでしょう。

タオルの端を手で持って下に垂らした状態で、手を横に揺らすとタオルが波打つのがわかります。

これがエンピツだと全く波打ちません。

せいぜい振り子のように振れるだけです。


人間の背骨も構造的にはエンピツよりもタオルに近いです。

約30個の椎骨と間にある椎間板により前後左右自在にしなり、タオルのように波打つことが出来ます。

 

次は動的柔軟性です。

 

アフリカ系のダンスはリズムにのって瞬発的に大きく動く要素が強いので、その際に体の各部分の可動範囲が狭いと動いているようには見えないし、スピードも出ないのでダンスになりません。

子どもの時から習慣的にダンスしているケニア人は、動くときの体全体の可動範囲=動的柔軟性が養われるために、その能力が日本人に比べてとても高くなっています。

 

動的柔軟性は同じ柔らかいでも体操選手のように開脚して胸が地面につく、といった静的柔軟性とは性質が異なります。

静的柔軟性は要素に瞬発力を伴いませんので、ランニングなど速い動きの中では重要ではありません。

 

3つ目は弛緩と緊張のコントロールです。

 

こちらは動的柔軟性でも触れたように、ダンスでリズムにのって瞬発的な大きい動作を可能にするには、瞬間的に筋肉の緊張と弛緩をうまく繰り返さないといけないため、この能力が身につくと思われます。

つまりは必要な部位に必要なタイミングで力を出したり、逆に不要な部位は力を抜いておくという能力になります。

 

これは瞬発的なスピードを出すことを可能にするだけでなく、無駄な力を使わないために持久力の面でも有利になると考えられます。

 

4つ目は動的バランス感覚です。

 

瞬発的に大きな動きをしたときに、もしもバランス感覚が悪かったら反動を抑えきれず転倒してしまいますね。

そのためか、ケニア人は激しい動きの中で体の重心をコントロールする能力にも優れています。

これはランニングにも大きく影響してきます。

 

ランニングとは物理的に表すと重心を前に移動しつづける動作です。

動的バランス感覚が優れていると、重心をスムーズに移動できます。

より楽に走れるということです。

 

ケニア人が走るときに前傾姿勢になっているのは動的バランス感覚が優れているからでもあります。

日本人が前傾姿勢をすると倒れすぎたり逆に前傾が足りなかったりして、姿勢維持のために余計な力を使ってしまいます。

ひどい人は腰痛や椎間板ヘルニアになったりもします。

 

最後は発達した体幹・小さく前後に長い頭・長い手足ですね。

 

これは完全に私の予想ですが、ダンスを代々受け継いできたケニア人は、その体もダンスに適応したものになってくるでしょう。

先祖が体幹をよく使うのであれば、子孫は自然と体幹が発達した人になるということです。

 

同じようにダンスで頭を振るなら、頭が大きいよりも小さい方が楽に振れるのでそうなっていくでしょうし、縦に長いよりも前後に長い方が速く振れるからそうなるでしょう。

体幹で動く習性では逆に末端は使わないので手足の先の筋肉はつかないし、その分骨が成長しやすいから手足が長くなったのではないでしょうか。

 

ケニア人も日本人もルーツは同一の動物なので、現実で肉体的な差が出ている理由を想像してみましたが、なかなか矛盾の無い仮説ではないかと思います。

 

以上がダンスによってケニア人が獲得したと思われる能力でした。

一つ一つはもっと深く説明すべきだと思いますが、それをするとかなりの長文となってしまうため、そのうち個々の要素についても詳しい記事をまとめたいと思います。

 

参考文献

 

七類誠一郎「黒人リズム感の秘密」1999年

誰にでも共通するランニングの技術とは何か

皆さん日頃は何を目標にランニングをされているでしょうか。

 

サブスリーでしょうか。

或いはサブフォーでしょうか。

ウルトラマラソン完走でしょうか。

UTMFやハセツネを制覇することでしょうか。

それとも痩せたり、健康的になるためでしょうか。

 

この記事はすべてのランナーに共通するランニングの技術について考えたものです。

 

突然ですが、サブスリーという目標を達成するのは大変だと思いますか。

フルマラソンを3時間以内で完走するという目標です。

1キロ当たりのペースで言えば4分と少しといったところでしょうか。

市民ランナーであれば良く話題になる目標で、同時にあこがれの的でもあります。

 

先に答えを上げてしまうと条件さえそろえば非常に簡単です。

ある程度の身体能力を有している人が、とりあえず一定量の練習すれば達成できます。

特別な技術は全く必要ありません。

 

もう少し具体的に書きましょう。

身体能力の成長率は成長期を過ぎるとどんどん鈍化していきます。

なので、成長期の運動レベルである程度決まってきます。

学生で月間600kmほどのネットにありふれた練習メニューを走れていれば、ランニングについて技術がなくても、マラソンについて工夫しなくても、楽に3時間以内で完走することが可能です。

 

ただし、これには大きな代償を伴う場合があります。

腱鞘炎、骨膜炎、筋膜炎、肉離れ、坐骨神経痛椎間板ヘルニア、疲労骨折、オスグット、鉄欠乏性貧血、膝蓋骨軟化症…。

上に列挙しているのは私が学生の頃に経験した、あるいは周りの人が負ったケガです。

よくもまあ、ただ走るだけでこれだけのケガをするものだと思いませんか。

ケガが癖になって一目見てわかるほど足が曲がってしまった人は1人2人ではありませんでした。

 

私は、幸いながら走れなくなるような大きな後遺症はありませんが、それはただ単に運が良かっただけです。

先ほど「月間600km~走れていれば」と書いた通り、もちろん練習が出来ず、あまり成長できなかった選手も山ほどいます。

 

なので、むやみやたらにサブスリーだとかウルトラマラソン挑戦だとかそういう目標を立てて、自身の身体能力を度外視して単に練習を積むだけのランニングはお勧めできないです。

 

市民ランナーにおいては、そもそも潜在的な身体能力は大きく成長しません。

体の回復能力も成長期に比べると落ちています。

速く走るために、長く走るために、といった目標を立ててランニングの技術を磨かずに練習することは非常にリスクが高くなることがあります。

 

ではランナーが身に着けたいランニングの技術とは一体何でしょうか。

 

それは自身の限界を正確に把握すること、自身を効率的にコントロールすることだと考えます。

 

例えば5キロ走るときでわかりやすく書いてみます。

 

ランナーにとって5キロは決して長くありません。

速い人の中にはあまり疲れることなく20分以内で走れる人もいるでしょう。

 

では5キロを息も切らさず、汗もかかず、走った前と後で疲労度合がほとんど変わることなく走ることはできるでしょうか。

 

これこそ最も基礎的にして最も難しいランニングの技術だと思います。

 

ランニング初心者だと初めての5キロは走り切ることも難しい人もいるでしょう。

それでも練習を続けていればやがて楽に5キロを走ることが出来るようになってきます。

これは筋肉がついてきたり心肺機能が向上したりすることと、同時に走るという経験を通して自分の限界やペース配分を知るからです。

 

5キロ走ることがつらいランニング初心者のAさんの体力を100としましょう。

何か月か練習して5キロを楽に走れるようになったAさんの体力はどのくらい成長しているでしょうか。

いくら身体能力が上がったからと言って200や300になるわけではないでしょう。

感覚的には120とかそのぐらいではないでしょうか。

それよりもペース配分や体の動かし方を覚えることによって5キロ走るのに必要な体力が100から50に下がったとは考えられないでしょうか。

 

これは何も初心者だけに有効な考え方ではありません。

トップレベルの選手であろうが、何年も走っている市民ランナーであろうが、身体能力は既に頭打ちになっている場合が多いです。

練習を始めた当初は上がりやすいものの、練習を重ねえるごとにその上昇率は下がり続けます。

また練習を増やすことはケガというリスクに遭遇する可能性を高めるので、練習の量と質を上げるだけでは早々に限界を迎えるでしょう。

 

そこで重要になってくるのが技術です。

ペース配分もそうですが、楽に走れるようにフォームや体の使い方を模索し、調整することが、その人のランニングに良い影響をもたらすと思われます。

また、そうして自分を体をうまくコントロールできるようになると、走ること自体が非常に楽しくなってきます。

 

技術はただ単に走っているだけでは身につくとは限りません。

また速い人=技術をもっているとも限りません。

練習しなきゃ速く走れない人は身体能力に頼っているので、むしろ技術を持っていないとも考えられます。

私自身も学生の頃は速さを求めるあまり自分の肉体や精神を無視してひたすら練習に明け暮れていましたが、技術なんてものは全くなかったと断言できます。

それでも全国大会出れますし、5000m14分台は出せました。

色んな部分がボロボロでしたが。

 

この記事は何より私自身に対する自戒です。

本当の走る技術を持っている人は走る練習をガンガンしなくても走れるはずです。

 

私がケニア人の動きを分析してトレーニングを考えたり、ベアフットランニングを取り入れたりしているのも速くなるためではありません。

 

そういった技術を磨くことで、より楽に、楽しく、華麗に走れるようになることこそが本懐です。

 

速さはそのおまけです。

 

ランニングブームやオリンピックが近いこともあるからでしょうか。

どうも速さや距離といった数字に縛られている方が多いように思います。

 

スポーツの本質は楽しむことです。

自分をコントロールするということにはもちろん精神面・感情面をも上手く、穏やかにコントロールできるという意味もあります。

いたずらに自分を肉体的精神的に追い込むことから離れてもいいのではないでしょうか。

 

良きランニングライフの参考にしていただけたら幸いです。

ケニア人がフォアフット走法になる理由

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2017年にケニア・ニャフルルの裸足ランニングキャンプ(http://hadashi-world.com/)に滞在していた時にニャフルル市内の市場を撮った写真です。

見て頂ければお分かりの通り、地面は土です。

 

ケニア人をはじめとするアフリカ系のランナーがなぜ皆フォアフット走法(正確には小指球から接地する走法)であるのか、私はずっと疑問に思っていました。

 

始めは彼らが子供の時から裸足で生活しているからだと長らく思っていました。

 

私は今、ベアフットランニングに取り組んでおり、普段も裸足や極めて裸足に近いベアフット系のシューズ(VibramFiveFingers)で練習しているのですが、ベアフットで練習すると踵から接地することが痛くてできないので、割と自然な形で小指球(小指の付け根の部分)から着地せざるを得なくなります。

4年前にはじめてVibramFiveFingersを履いて歩いた時に自然にフォアフットから接地したので驚きました。

 

10数年かけて出来なかったことがこんなに簡単にできるのか、と思いました。

 

ではケニア人はどうでしょうか。

 

私の自身の経験と、ケニア人トップレベルのランナーは裸足で育ったという情報から、「彼らは裸足で育ったからみんなフォアフット走法なのだろう」と思っていました。

 

ですが、前の記事(ケニア人はもう裸足で走ってない - ランニング言いたい放題)でも書いた通り、既にケニア人で裸足で生活している人は皆無でした。

選手たちもほぼ100%シューズを履いて走っています。(かなり使い込んではいますが)

そんな選手たちももれなく大多数がフォアフット走法でした。

ということは、裸足が要因ではありません。

 

ただ、この疑問は幸いながらも、彼らと一緒にニャフルルを走ることで氷解しました。

 

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こちらはニャフルルの町から1kmくらい離れた草原の写真です。

はい、100%クロスカントリーですね。

 

こういう中をケニア人と一緒に走ったのですが地面が凸凹だらけの中、私はずっと下を向いて走っていました。

日本の登山道も比較にならないくらいに整地されていないので、そうせざるを得なかったのです。

 

ふと、一緒に走っているケニア人見ると驚きました。

彼らは全く下を向いていなかったのです。

一人二人ではなく全員です。

 

ケニアには日本のようにアスファルトで平らに整地された道はほとんどなく、車で走るとサスペンションが壊れるんじゃないかと思うほど凹凸が激しいです。

それが日常である彼らにとっては、日本人が通勤通学で下を見て歩く必要がないのと同じくらいハードな道に慣れているのです。

 

そんな道だから彼らがフォアフット走法になるのだと私は思うのです。

 

そもそも踵から着地するには、地面が平らじゃないとできません。

大小さまざまな凹凸がある場所では踵から着地してつま先から抜けるなんて方法では歩くことすらできません。

足が踵から着地してつま先から抜けるためには、その間に地面が平らであることが前提になります。

何故なら踵からつま先の間に突起物があった場合は、途中で突っかかってつま先に体重を乗せることが出来ずに止まってしまいますし、つま先の下が凹んでいた場合はつま先に体重を乗せた瞬間バランスを崩してしまします。

 

不安定な地面の上では安定した地面を前提とした走り方は出来ないのです。

 

彼らは不安定な地面の上でもスイスイ走っていきます。

ペースが上がっていないにもかかわらず、私はついていくことが出来ませんでした。

ケニア人のランナーはそういった状況に完全に順応しているのです。

 

※2018/10/12 アップデート記事を追加しました。

runner-takuya-sugo.hatenablog.com

 

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