ランニング言いたい放題

ケニア人のフォームやベアフットランニングについて書いてるブログです@須合拓也

続・すべらない裸足 ~裸足ランニングのシューズ使用時の有用性~

以前の記事のすべらない裸足 - ランニング言いたい放題の続きになります。

まさかの続編です。

 

私は4年前くらいからベアフットランニングを行っていますが、奇をてらっているわけではなく、狙いがあってやっています。

今回は裸足で走ることの意義について書いていきたいと思います。

 

前の記事のすべらない裸足で裸足で脱力した方が滑りにくいという話をしました。

そして少しだけシューズを履いた時も同じようなことが考えられると書きました。

 

話をおさらいするとそもそも摩擦力というのは物理学上、物体同士の接地面積には比例しません。

もっと言うと床面に押し付ける力が強いほど摩擦力は強くなります。

ここでいう押し付ける力とは体重です。

摩擦力 ■わかりやすい高校物理の部屋■

 

いくら足の指を曲げて踏ん張ろうが体重は変わらないので、摩擦力は強くなりません。

勢いよく地面に押し付けるようにして足を振り落とせば瞬間的に摩擦力が強くはなりますが、そんなことしたらどうなるかなんて詳しく話さなくてもわかると思いますので割愛します。

 

例外はゴムです。

ゴムはしなやかに変形するので、接する地面の形に合わせてその表面の凹凸の形が変わります。

同じ面積で接しても他の物体と比べ大きな摩擦力が、しかも接する面積に比例して大きくなります。

 

なので、足の裏を脱力させ、まるでゴムのようにふるまうことが出来れば摩擦力は強くなるというお話でした。

 

このスキルはシューズを履いていても活きてきます。

 

まず前提としてシューズはどんなにサイズが合っていようが、紐をきつく締めようが、足に完全にフィットすることはありません。

 

レオナルド・ダ・ヴィンチは「足は人間工学上の最高傑作である」と言ったそうですが、残念ながら足は画一的な工業製品ではないので、個人であっても左右で長さや高さ・幅が違っていたり、その日の体調や或いは時間帯によっても変化したりします。

 

そんな足に完全に一致するシューズなんて作れるとは考えられません。

 

なので、シューズと足の間には必ず”隙間”があり、シューズと足がずれてぶつかる・擦ることによってさまざまなトラブルが起こることが多いです。

私自身、長年陸上部を続けていて、有名どころのシューズは大体履き潰していますが、どんなシューズでも多かれ少なかれ水膨れや血マメ、靴擦れ、足底筋膜炎などのトラブルに必ず遭いました。

 

例えそれがオーダーメイドシューズであっても、です。

 

シューズが悪いと言っているわけではないです。

悪いのは自身のスキルの無さです。

 

シューズを履いて足にトラブルが起きるのも足の裏が固まっていて、地面に踏ん張るか叩きつけるようにしてしか走れないからシューズと足の”隙間”を激しく行ったり来たりして、自分で自分を傷つけているのです。

ちゃんと裸足でも上手く走れるスキルがあれば、シューズを履いた時も中で足が暴れることなく、シューズのポテンシャルをも有効に発揮できるでしょう。

 

シューズはあくまで道具なので、何使うも使わないも自由だとは思いますが、道具の性能に頼ってはいけないと思います。

 

今話題のナイキ ズーム ヴェイパーフライ 4%もすごい道具だとは思いますが、それを履いてもケニア人には近づけません。

何故ならケニア人も同様にナイキ ズーム ヴェイパーフライ 4%を履くことができるからです。

 

同じ道具を使った場合は結局ポテンシャルの分、差が出るだけです。

日本人だけがうまく使えるとも考えにくいので、差は変わらないです。

 

これは私がケニアで裸足のクロスカントリーレースで思い知ってから、特に強く感じていることです。

 

体の使い方が上手く、かつ速いケニア人は人生で初めて裸足でクロスカントリー走っても速いのです。

速くない私が工夫もせず、ただ単に数年間裸足で走って備えていても全然かなわないのです。

 

ランナーには単純に走るという練習の他にも、体をうまく使う”工夫”が必要なのです。

 

これは何も競技志向のランナーだけでなく、ファンランナーがもっと楽しく走りたい時にも有効です。

 

裸足でのトレーニングはその工夫の一つです。

そしてまだまだもっと上手く走りたい私とって欠かせないトレーニングだと思っています。

 

世の中には他にも様々な工夫があるので、皆さんも自身にあったトレーニングを探してみてはいかがでしょうか。

 

 

 

トレイルランニングの下りが怖い理由とその攻略法

暖かいと山を走るのがとても気持ちいいですね。

私自身もトレーニングと気分転換もかねてたまにトレイルランニングをやります。

 

ただ、山は上りや下りがあります。

勾配によってはきつさが全然違ったり、走るのが難しかったりします。

上りは総合的な走力が重要になってきますが、急な下りはスピードが出るので怖いという方も多いと思います。

 

今回はトレイルランニングの下りが怖い理由について書きたいと思います。

 

トレイルの下りは普通のアスファルトの下りとは違います。

下りでは前に進むと高低差分の位置エネルギーが運動エネルギーに変わるためスピードがでます。

かつ足場も不安定なためバランスを崩すと一瞬で転倒してしまうこともあります。

なので、大抵の人は急な下りになるとスピードを落として自分の制御できる範囲内に収めようとします。

 

この制御というのがポイントです。

人は自分にできないことを本能的にわかっている部分があって、それ以上のことをしないようにブレーキをかけるのです。

トレイルの下りの場合だと不安定な地面の上でスピードを出すことは非常にシビアな重心の制御能力が求められます。

一歩一歩の正解がその度に異なるので、瞬時にタイミングよく重心を持ってこれないと走れないのです。

なので怖いからできないのではなく、できないから怖いというのが正確です。

 

では怖くならないためには、いえ出来るようになるためにはどういったトレーニングが必要になってくるでしょうか。

 

まず下半身で重心をコントロールするのは良くありません。

 

トレイルではアスファルトと違い地面が滑りやすいため、急な下りではふくらはぎなどで踏ん張って制御することが難しいです。

裸足の場合、ブレーキをかけようと踏ん張ると、足裏が平らに固まってしまい、地面の凹凸に合わせて変化できないので、痛いうえに滑ってバランスを崩します。

(別記事のすべらない裸足 - ランニング言いたい放題も併せてご参照ください)

 

シューズを履いていても運動方向に逆らってブレーキをかけた場合、どんなにグリップの効くシューズでも滑ることが多いです。

或いはグリップが効きすぎて急に止まってしまっても上半身は慣性により進み続けるので、これはこれで非常に危険です。

 

トラックやロードは速いけどトレイルの下りは苦手という方は大体下半身でコントロールしている方だと思われます。

 

ではどこで重心のコントロールするかというと体幹部分です。

これができるかどうかが大きな要素になってくると考えています。

 

何故そう考えるかというと私が実際に体験したからです。

私も実は例にもれずトレイルの下りが苦手で怖かったのです。

上りは脚力に物を言わせて走れますが、下りで大きくスピードダウンしてしまうことが多かったのです。

 

それがインターロックのトレーニングを通して体幹部分が自在に動かせるようになってから全く変わりました。

(トレーニングについてはケニア人に近づくための体幹連動トレーニング - ランニング言いたい放題参照)

 

自宅近くに勾配の激しい8kmほどのトレイルコースがあるのですが、去年・一昨年はキロ平均6分00秒~6分10秒かかっていました。

それが最近何回か走ったところキロ平均5分20秒前後まで上がったのです。

山によくあるような長さも段差も不規則な階段を1段・2段飛ばしで走っても全然怖くなくなりました。

 

以前ですと走っているときに体幹がほとんど使えてなかったため、足でコントロールしようとしていたのですが、それでは全然走れませんでした。

体幹が使えないでトレイルの下りを走るのは重い荷物を前に抱えて走るようなものです。

想像してみると非常に危険ですね。

 

今はそんなことはありません。

 

人の体で一番重いのは断トツで四肢を除いた体幹部分なので、体幹自体が素早く的確に動けると、瞬時に重心を一歩一歩の正解の位置に持ってくることが可能になります。

しかも足でブレーキする必要がないので、ベアフットランニングであっても足が痛くなりにくいのです。

 

これはトレーニング当初は予想もしなかった嬉しい副作用でした。

なので今はトレイルランニングが楽しくてしょうがないです。

 

トレイルランニングの下りに有効と思われるトレーニングは他にもあります。

 

スキーは非常によいトレーニングになると思われます。

スキーは重心の繊細で瞬間的なコントロールが求められるスポーツの一つです。

しかもトレイルの下りと非常にシチュエーションが似ています。

なので、スキーを通して体幹の重心コントロールを学習することはかなり有効でしょう。

スキーをしている人はトレイルランニングの下りに強いとよく聞いたことがありますが、恐らく求められるスキルに共通点があるからと最近は感じています。

 

また一本歯の下駄でのトレーニングも有効ではないかと思います。

私は少ししか体験したことはありませんが、一本歯下駄は下半身で踏ん張ることが困難なので上半身で重心をコントロールするように強制されます。

そのためトレイルの下りに必要な重心のコントロールを学ぶことが出来ると考えられます。

その昔一本歯の下駄は山の中で修行する僧侶や山伏などの修験者が山道を歩くため使ったと言われているのは、何も不思議ではないということでしょうか。

(参考:下駄 - Wikipedia

 

一本歯下駄のトレーニングは他にもいろいろと効果があるのでおススメなトレーニング方法の一つです。

(気になる方は一本歯下駄GETTAについて - 京都市・大阪市開催中 一本歯下駄親子スポーツ教室・かけっこ教室 〜先端のスポーツ科学で眠っている能力を育てる!一本歯下駄×スポーツ科学が詳しいです)

 

皆さんも是非体幹での重心コントロールスキルを身に着けて山に赴いてはいかがでしょうか。

 

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すべらない裸足

キャッチーなタイトルですが、いたって真面目な記事です。

 

今回は走るときの裸足の摩擦についてのお話です。

裸足で走らない方にも関係のあることなので、ご一読いただけたら幸いです。

 

摩擦というのは日常にあふれていて、なくてはならない力ではありますが、その実態は多くの要因が複雑に絡まるので、数字に表すのは非常に難しいです。

ただ、摩擦がないと人間は走ることはおろか、立つことすらできないことは確かです。

 

そして一般的に摩擦力が少ないよりも多い方が地面上を速く走るにあたっては有利になります。

深く考えなくても、スケートリンクの上で走るか、アスファルトの上で走るかで比較するとわかりやすいですね。

 

ただし、あまり強い摩擦力があると不利になる場合もあります。

陸上競技の短距離選手が良く使っているスパイクは長いピンにより摩擦力が強いですが、長距離で使うのは困難です。

なぜなら摩擦力が強いということはブレーキも強いということだからです。

摩擦力の大きい状態だと慣性の法則から、進み続ける力よりも足を速く回せないとその分大きなブレーキとなってしまい、効率が悪くなります。

足が速く回せなくなった瞬間に大ブレーキになるということです。

 

そのため、マラソンなどの長い距離を走るにあたってはちょうどよいくらいの摩擦力があればいいということになります。

 

では裸足で走るときの摩擦力はどうなるでしょうか。

 

足の裏には突起物はないので、スパイクのような摩擦力は出せません。

また人間の爪は地面に触れるようにはついていないので、犬や猫のような爪をスパイクのように使うこともできません。

そもそも人は他の陸生哺乳類と比べ長距離走に優れているのでそれほど大きな摩擦力を必要としないと考えます。

(参考:戎崎の科学は一つ

 

足の指を曲げて、地面をつかむことにより摩擦力を増やすこともできますが、長距離走においては非現実的です。

5000mを走るだけでも毎秒3歩の速さで2500~5000歩必要とします。

タオルギャザーのように握っては開き、を毎秒両足1回で1000回繰り返したら翌日はベッドから出られなくなるでしょう。

 

ではどのようにして摩擦力を確保すればいいでしょうか。

 

私の考える答えは”脱力”です。

 

足の骨は手と同じように細かい骨がいくつも集まって形成されています。

なので地面の形に合わせてある程度変形することが可能です。

これによって摩擦力を増やしていると推測します。

 

摩擦力は物理学上、物体同士の接地面積には比例しないのが定説ですが、これには例外があります。

それはゴムのような物体の場合です。

ゴムはしなやかに変形するので、接する地面の形に合わせてその表面の凹凸の形が変わります。

これによって同じ面積で接しても他の物体と比べて格段に大きな摩擦力が、しかも接する面積に比例して大きくなります。

 

またゴムは力をかけると変形し、元の形に戻ろうとします。

この元に戻ろうとする力摩擦力をより増幅させます。

(参考:ゴムの摩擦力の不思議 【たいややもどき】

 

人間の素足でも同じようなことが再現できます。

足だとわかりにくいので、手で解説します。

 

手の指をすべてピンと力を入れて伸ばして状態で、手のひらをテーブルやフローリングなどの上につけて前後に滑らせてみてください。

引っかかりはすると思いますが、少し力を入れれば動かせるでしょう。

 

次は手を脱力させて手のひら全体がくぼんだ状態で同じくテーブルやフローリングなどの上につけて前後に滑らせてみてください。

結構な力を入れても全然滑らないと思います。

 

これは脱力したことにより手のひらの肉が、ゴムのようになることで地面により密着していることと、変形後に元の形に戻ろうとするからだと推測できます。

筋肉に力が入ってしまうと見た目の接地面積こそ大きいものの密着はしてないし、変形もしないので、脱力しているときに比べ摩擦力が少ないのでしょう。

 

脱力があるか無いかでフローリングのような平らなところでも差が出るのであれば、不整地のような大きな凹凸がある場所ではより顕著に表れると予想できます。

 

そして構造的に手に近い足でもこのようなことが可能だと考えられます。

ただし、これは足の指が握ったり開いたりなど、きちんと動かせるくらい足に柔軟性や可動性がないといけません。

 

柔軟性や可動性がない足は板みたいなものです。

足の裏全体が板のように固いと摩擦力も少なくなるので、まさに板のように滑ってしまいます。

こうすると足を地面に押し付けることでしか摩擦力を確保できませんが、シューズを履いていたとしても押し付けたら痛いし疲れるのに、素足でそれをやったら目も当てられません。

 

これはシューズを履いていても同じです。

シューズの中で足が固まってしまっている場合も同じように中で滑ってしまいます。

こうなるといくらサイズがあっていようが紐できつく締めようが、爪がぶつかったり足がこすれたりして、マメや靴擦れの原因になるでしょう。

 

まとめますと人間の足は脱力した状態で地面にゴムの様に密着することで、スパイクがなくても力を入れなくても”すべらない”ことが可能なのです。

 

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日本人はケニア人のような細い足を獲得できるのか

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ありがたいことに知り合いよりブログに関して質問を頂きまして、その方には既に回答済みですが、せっかくなので記事にまとめてみました。

 

今回のテーマは、果たして日本人はトレーニングによってケニア人のような細い足を獲得できるのか、です。

 

結論から言うとトレーニングによって十分可能性があると考えられます。

 

まず日本人の下半身、特にふくらはぎが太い理由ですが、前の記事(平らな地面とシューズが体を歪めていく - ランニング言いたい放題)でも触れたとおり、下半身を主に使って姿勢制御など行っているためと考えています。

別の言い方をすると、日常動作におけるふくらはぎの使用頻度が高いのです。

これを是正しない限りはふくらはぎは太いままでしょう。

 

それではどうすればいいでしょうか。

 

ふくらはぎを使わないように意識するのは悪手です。

姿勢制御をはじめとする日常動作はほぼ100%無意識に行っているため、そもそも意識することが出来ない場合が多いです。

全く不可能というわけではありませんが、現実的ではないと考えます。

 

現実的に可能性があるだろうなと考えているのはやはりインターロックトレーニングによって体幹でバランスをとることを学習することでしょう。

ケニア人に近づくための体幹連動トレーニング - ランニング言いたい放題

まさにケニア人に倣うといった感じです。

日常動作において体幹の使用頻度を高くすることによって相対的にふくらはぎの使用頻度を下げるのです。

 

その為にはインターロックトレーニングで体幹の動的可動範囲を増やし、かつ無意識レベルで使用できるまで鍛える必要があります。

目安としては何も意識せずに立っているときにケニア人のような姿勢になることです。

すなわち骨盤が前傾していて腰が反り、背中が盛り上がる”S字”の形です。

この姿勢が取れると足の骨が垂直に並び、筋肉をあまり使わなくて済むようになります。

インターロックトレーニングを続けているとだんだんとこの姿勢が普通に取れるようになってきます。

 

外人モデルは皆スタイル抜群ですが、モデルたちもちょうどこの姿勢になっていることが多く見られます。

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(参考:https://www.cosme.net/beautist/article/2023796

 

この状態が持続することにより徐々にふくらはぎの筋肉は細くなっていくと考えられますが、実際にそれがどれだけの年月がかかるかはわかりません。

また、走りこんで足の筋肉が発達している人は恐らく効果が出にくいでしょう。

 

仮に成長期前の子供の時からインターロックトレーニングを行えば、その子はかなりケニア人に近い体形を獲得できるのではないでしょうか。

またランニング初心者のようにあまり筋肉がついていない人も可能性は高いでしょう。

 

体形はその人の先天的要素にも大きく影響を受けるので、どれだけ細くなるかはかなり個人差があるでしょうが、誰であってもインターロックトレーニングによって体幹を使えるようになれば、そうでない場合よりもかなり高い可能性で足が細くなると考えられるのではないでしょうか。

 

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平らな地面とシューズが体を歪めていく

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今回は姿勢について書きたいと思います。

 

ケニアに滞在していた時にふと気になったのですが、みんな姿勢がいいのです。

背筋が伸びているわけでなく、力は抜けているが猫背にもなっていないように感じました。

骨盤は前傾でお尻が出て腰は反り、背骨がS字を描くように曲がっています。

そして足のラインは垂直に立っています。

足の真上に上半身が置いてある感じです。

 

対して日本人の姿勢は骨盤は後傾し、腰や下っ腹が前に出て足は斜めになり、背中は全体的に丸くなっている方が多いで印象です。

下半身に力が入っていて、上半身を支えています。

足を広げて踏ん張っているイメージですね。

特に男性に多いです。

「立ちっぱなしだとふくらはぎがパンパンになる」とよく聞くのはこれと無関係ではないでしょう。

 

この差は何から来るのか説明してみます。

 

まず人間は何故まっすぐ立っていられるか、考えたことはあるでしょうか。

専門の分野ではいろいろな見方があり深堀するときりがないので簡単に姿勢制御を大まかなプロセスに分けると以下のようになります。

  1. 現在の体の状況を各感覚器官が知覚。
  2. 脳や脊髄が情報を統合して全身の筋肉に対して指令を出す。
  3. 指令を受け取った筋肉が働いて姿勢を矯正。

この繰り返しで姿勢を制御しています。

なので人は立っているときに微妙に揺れています。

 

感覚器官には主に

  • 視覚
  • 前庭感覚(わかりやすく言うと三半規管です)
  • 体性感覚(触覚・圧覚・温覚・冷覚・痛覚などの皮膚感覚と、手足の運動や位置を伝える深部感覚の総称)

に分けられます。

 

ようは目とか耳とか体の位置感覚や足裏などの感覚器官という各センサーが情報を出し、脳が統合・判断して、全身の筋肉に指令を出すということです。

 

こうして人は地面の上に立っていられるわけですが、ケニア人と日本人では立ち方に差があります。

 

ケニアはいまだに整地された土地が少なく、生活に使われる道路のほとんどは日本では考えられないほど凸凹になっています。

車で走るとサスペンションが壊れるのではないかと思うほど道路状況です。

アスファルトがあるのは幹線道路か、町の中心部だけです。

とにかく、ケニアでは平らな地面はほとんどありません。

 

また履いている靴も古いものである場合が多いです。

当然足を補助・保護してくれるのは期待できません。

足裏に穴が空いていることもありました。

 

こういう条件だと下半身、特にふくらはぎで地面を踏みしめて立つということが難しいです。

地面に凹凸があり滑りやすくもあるために踏ん張りにくいですし、シューズも粗末なものが多いので踏ん張ると痛いという側面もあります。

 

その為、踏ん張らないように自然と足の真上に体を持ってくるように体幹が動きます。

重力の方向に沿って素直に立っているとも言えるでしょう。

これなら地面の状況やシューズの状態に関係なくまっすぐ立つことが出来ます。

何せどんな時でもリンゴは真下に落ちますから。

 

日本人の場合はケニア人とは環境がことなります。

 

平らに舗装された滑りにくいアスファルトがほとんどで、シューズもずっといいものを履いています。

穴開いたら買い替えますしね。

 

上記の環境下では視覚が優位になりやすいです。

視覚情報は地面が平らであると認識しているため重力を感じる三半規管はあまり使われず、足裏はシューズに覆われているために情報量が少なくなりがちです。

 

これが実は非常に厄介だと考えています。

 

視覚は錯覚しやすい感覚器官です。

普段歩いている道路のほとんどが傾いていることはご存知でしょうか。

道路は雨が降ったとき水が流れやすいように傾きがあるのです。

そういった細かな水平を感じ取るのに視覚は全く向いていません。

こういうのは三半規管や足裏の仕事ですが、視覚優位であるために傾いていることに気が付きにくくなっています。

余りにも大きく傾くとようやく三半規管や足裏が信号を出すので倒れることはありませんが、ケニアの環境に比べると立っているときの揺らぎは当然大きくなります。

 

更に、平らで踏ん張りやすい地面とどんなに力を入れても痛くない高機能なシューズの組み合わせは、姿勢制御をより筋肉に頼ったものになりやすくさせます。

つまり踏ん張りやすいがために姿勢を元に戻すのに末端のふくらはぎで地面を踏みしめるようにしてしまうのです。

 

恵まれた環境では非効率であってもとりあえず立ててしまいます。

そんな環境では人間の姿勢制御のシステム全体が甘くなっていっても当然ではないでしょうか。

 

より簡潔に例えるなら重力に従って素直に立てば一番効率が良いところを、日本人は傾いたジェンガを両手で押さえるようにして立っているのです。

 

運動していない日本人でも下半身、特にふくらはぎが太くなる傾向にあるのは、環境がそうなるように促しているからともいえます。

 

感覚器官が十全に働かないため揺らぎが大きく、常に垂直に働く重力に従わずに筋肉の微妙な出力に頼って立っている日本人は姿勢が悪くなりやすく、癖もつきやすいために体の各所に歪みが出ても当然だと言えるでしょう。

 

これこそ表題にあるように「平らな地面とシューズが体を歪めていく」と言える理由になります。

 

参考文献

 

・姿勢制御のしくみとリハビリテーション

・感覚と姿勢制御のフィードバックシステム(https://www.jstage.jst.go.jp/article/sobim/39/4/39_197/_pdf

 

 

なぜマサイ族はベアフットで高く飛べるのか

https://i.ytimg.com/vi/cMQCmJweixQ/maxresdefault.jpg

引用元:https://i.ytimg.com/vi/cMQCmJweixQ/maxresdefault.jpg

 

ケニア人といったらマサイ族は有名ですね。

そしてマサイ族と言ったら”ジャンプ”ですね。

 

今回は彼らがなぜ高いジャンプが出来るのか私なりの考察を述べたいと思います。

 

まず最初に謝らねばいけないことがあります。

私はケニアに行きましたが、マサイ族には実際に会っていないです。

 

機会がなかったわけではありませんが、正直あまり興味なかったのでトレーニングを優先しました。

なので、ここで書かせて頂くのはマサイ族が高いジャンプが出来る理由をケニア人に共通する身体的能力から私が推測したものになります。

 

誠に申し訳ありません。

 

さて、マサイ族がジャンプしている動画や画像を見ると裸足や或いはサンダルのようなもので飛んでいます。

間違っても反発力のある高機能シューズは使っていないようです。

地面も土なので、陸上競技場のようなタータントラックに比べたら全く反発力はないでしょう。

 

それでも高く飛べる理由とは何でしょうか。

 

恐らくですが、これも体幹の使い方が鍵なのではないかと考えています。

私のブログでいくつも記事を書いてきた通り、ケニア人の、もっと言うとアフリカンの体幹の使い方は日本人とは全く異なります。
(参照:ケニア カテゴリーの記事一覧 - ランニング言いたい放題

これはジャンプするときも同じです。

 

ケニア人がジャンプする際は体幹、特に胸のあたりから飛び始めます。

体幹から派生し、連動して動くことによって足へとエネルギーが伝わっていって飛び上がるに至ります。

体幹、背骨とその周りの筋肉や腱がしなることによってスプリングのように働きます。

なので下半身の筋肉や腱に頼ってジャンプしているわけではありません。

 

マサイ族のジャンプの動画を見て頂ければ良くわかりますが、誰も膝をほとんど曲げていません。

彼らの下半身が細く筋肉が発達していないことから、少なくともジャンプの際に下半身の筋肉を使っていないことが推測されます。

 

では下半身の腱はどうでしょうか。

 

ケニア人のジャンプの強さはアキレス腱にあるとよく聞きますが、これには少々懐疑的です。

アキレス腱は一つの腱としては最も強力で長いものの、体の末端であるふくらはぎの部分を占めるにすぎず、言われるほど弾性エネルギーを発揮できるとは考えにくいからです。

ふくらはぎ二つよりも、体幹部分の方が圧倒的に腱も筋肉も総量が多いので、ジャンプにおいてアキレス腱も決して無視できる要素ではありませんが、体幹の方が重要だと考えています。

 

背骨がしなってスプリングのような働きをするのはちょうど動物、陸生哺乳類のジャンプにも共通します。

ここでは猫で見てみましょう。

下の動画のちょうど8秒あたりから見てください。

www.youtube.com

 

ジャンプする前に背中が丸くなってためた状態から伸び上がることによって猫の体長を上回るほどのジャンプをしています。

ケニア人も猫ほど大きくは動きませんが、体幹がしなって連動することによってスプリングのような役割をして飛ぶため、”動物的な”ジャンプが可能になります。

 

体幹を使ってジャンプすることは高く飛べる以外にもメリットがあります。

また猫の動画を8秒からみてください。

背中を丸めてから伸び上がってジャンプし、そのまま伸びた状態を保ったまま下に落ちて、着地の次の瞬間にはまた背中が丸くなっています。

これは体幹を使って着地の衝撃を吸収・分散していると推測できます。

 

体幹がスプリングのように使えるのであれば、ジャンプの推進力になるだけでなく、高いところから降りる際の衝撃吸収にも役立つでしょう。

そう考えると裸足という全く足裏の保護が無くてもジャンプできるのもうなずけます。

もし高くジャンプしたはいいものの着地が下手で当たり所が悪ければ、冗談でもなんでもなく二度とジャンプすることは出来なくなるはずです。

 

先ほどアキレス腱はそれほど重要ではないと書いた理由はここでも同じです。

いくら人体最長・最強の腱だからと言って高いところから落ちてくる全体重をアキレス腱だけで吸収することは難しいでしょう。

 

これは蛇足で完全に想像ですが、マサイ族は体幹の使い方を天敵であるライオンから学んだのではないでしょうか。

ライオンを狩るのにライオンの動きがわからないようではマサイ族が狩られてしまいますし、ライオンの強靭さを知っているであろうマサイ族ならライオンのマネをするのは全く不思議ではないと思うのです。

 

閑話休題

 

つまり、マサイ族は体幹の使い方が動物的に上手いために裸足でも或いはサンダルでも高くジャンプすることができ、また着地でも体幹で上手く衝撃吸収できると考えられるのです。

 

これはもちろん日本人であってもマネすることは十分に可能だと思います。

アキレス腱の長さだとどうしようもないですが、体幹をうまく使えるかどうかは”技術”なので日本人でもマサイ族に迫るジャンプが出来る可能性は十分にあるでしょう。

 

しかも高くジャンプできる・衝撃をうまく吸収できる能力はいってみればジャンプの連続動作であるランニングにおいて強力な武器になります。

これもマサイ族だけでなくケニア人、アフリカンがトラック種目・跳躍種目で無敵である理由の一つでしょう。

 

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ケニア人は胸で腕を振る?

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今回はケニア人やアフリカ系のランナーによく見られる腕振りについて書きたいと思います。

 

ケニア人ややアフリカ系のランナーによく見られる腕振りとしては写真にもあります通り、腕が体の前に来た時に肘をかなり曲げた状態になります。

ケニアでトレーニングしたときもかなり多くのケニア人ランナーに見られました。

この角度は生理学的に肘の曲げられる範囲ギリギリに近いです。

(肘の曲げる場合の関節可動域はまっすぐにしているときを0°とすると145°です。参照:上肢関節可動域

 

日本人ではほとんど見られません。

多くの人は腕が前に来た時、肘が90°ほど開いています。

(写真で前から4番目の私がちょうどそのくらいになっています)

 

さて、何故ケニア人はこのように腕をたたんでいるのでしょうか。

たたんでいることによるメリットから考えてみます。

 

肩を支点としてみた場合ですが腕をたたんでいる、閉じている状態は開いているときに比べ、重心が支点である肩に近くなるため、腕を振るときに必要な力が少なくて済みます。

平たく言うと楽に腕が振れるわけです。

 

【腕振りモデル図】

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長距離では効率を優先しますので、肘をたたんで走るケニア人の腕振りはここでも理にかなっていると言えます。

 

むろん、腕を開いて走った方が反動は大きく、”腕を振っている感覚”は強くなりますが、”腕を振っている”ことが必ずしも”効率良く前に進んでいる”とは限りません。

短距離を全力疾走するときであれば効率よりも最大出力を優先するので、そういう時はケニア人も肘を開き気味に走ります。

(下記動画7分55秒から)

www.youtube.com

 

更にケニア人の腕の振り方には見た目以外にも日本人と違う点があります。

 

ケニア人が腕を振るときは腕や肩、あるいは肩甲骨に意識がいっていません。

そのあたりが力んでいないのです。

 

ではどこで腕を振っているのかというと脇・胸の側面です。

筋肉で言うとちょうど前鋸筋があるあたりになります。

このあたりは肘を閉じた状態の腕の重心の位置と重なるのです。

(下の図参照)

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動かす部分=力点が、腕の重心=作用点に近いほど腕を動かすのは楽になるので、力点が脇・胸の側面にあるのは合理的だと考えられます。

 

私も体幹が使えるようになって、腕振りがこのようになってきましたが、腕を”振っている”という感じがないです。

腕が軽いのと体幹の動きについてきているだけなので、上の図にあるように胸の側面に腕がくっついて前に来る感覚です。

肩甲骨に力が入っているとこの動きを阻害しますので、肩のあたりは全く力を入れないです。

 

なので、形だけケニア人のように腕をたたんでも意味がありません。

彼らは体幹を使って走っているので腕や肩の力は必要なく、結果的にたたむような形になっているだけです。

 

また体幹の動かし方も背骨を軸に回転するというよりは、背骨が反り胸の片側だけ前に出すのに従って腕も前に振られるという感じが近いです。

 

この感覚は実際に体幹が使えていない人には全くイメージつきにくいので、是非インターロックトレーニングをされることをおすすめします。

(インターロックトレーニングはケニア人に近づくための体幹連動トレーニング - ランニング言いたい放題参照) 

 

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