ランニング言いたい放題

ケニア人のフォームやベアフットランニングについて書いてるブログです。ご依頼・お問合せはhadashi.rc@gmail.comまでどうぞ。by須合拓也

【東京】2018.10.6(土)ケニア式”走らない”ベアフットランニング教室(渋谷)開催します。

このブログで書いているケニア人の走り方を身に着けるための、動き作りだけを中心とした”走らない”ランニング教室を開催します。

 

今回は当ブログの掲載の以下のトレーニングについてやっていきたいと思います。

クロカンを走るケニア人の様に膝下の力を抜くということ その1

ケニア人に近づくための体幹連動トレーニング

速く走るために運動神経を向上させる方法その2~裸足でのトレーニング~

 

詳細・お申し込みは以下のページよりお願いします。

【東京】2018.10.6(土)ケニア式”走らない”ベアフットランニング教室(渋谷) | イベント | 日本ベアフット・ランニング協会

 

 

↓良ければ一押し頂きたいです。

にほんブログ村 その他スポーツブログ ランニングへ
にほんブログ村

 

記事が面白かったらおひねりを!

クロカンを走るケニア人の様に膝下の力を抜くということ その1

f:id:akttsugou:20180909151237j:plain

ケニア人ランナーはトラックやロードで圧倒的な強さを発揮しておりますが、それはクロカンでも例外ではありません。

私は2017年の夏にケニアのニャフルルで、身を持って体験しました。

 

今回は私のケニアでの体験を元に、私が考えるケニア人がクロカンでも強い要因の一つと、それを真似するためのトレーニングについて書いていきたいと思います。

 

別の記事ケニア人がフォアフット走法になる理由 でも書きましたが、ケニアはまだまだ不整地、クロスカントリーの環境が多いです。

道路の99%はアスファルトで舗装されていない、土と岩でできた凸凹道です。

そしてその脇は見渡す限り草原だったりすることも少なくありません。

 

その地面の上は比較的平らなところもありますが、ひどい道は拳大や頭ほどの大きさの石?岩?が並べられていて、車で走るとサスペンションが壊れるのではないかと思うくらいです。

 

そういう道をJOGしていた時の話です。

現地のケニア人ランナーと決して速くはないペースで走っていたのですが、そういう道に差し掛かると私は速度を維持できずに離れてしまうのです。

彼ら・彼女らはほとんど減速することなく、まるで地面からわずかに浮いているかの如く、スーッと走って行ってしまうのです。

 

私は離されないように必死にペースを上げようとするのですが、石に足を取られて思うように進めないのです。

岩が足にあたって痛いことと、足を取られてバランスを崩してしまうことが原因でした。

結果ペースを保つことは叶わず、なだらかな道に出てから追いつくことしかできませんでした。

 

この場合、問題なのはランニングの技術です。

ペース自体は速くなく、なだらかな道なら私はついていけていたので、明らかに私の技術不足で、ケニア人は何らかの技術を持っていることになります。

 

ケニア人は生活環境が基本不整地なので、そこで活動するように適応していると考えられます。

ケニアではまだまだ車を所持している人は多くないので、徒歩が移動手段のメインになりますが、歩き方からして日本人とは違うように見えます。

 

ケニア人ランナー達の歩き方はゆったりとしていてリラックスしており、なめらかで野生動物的な柔らかさがあり、それでいて歩くスピードは見た目ほど遅くはありませんでした。

その歩き方についていくだけでも少々骨でした。

 

何故このような違いがでるか、先に書いた通り要因はいろいろとありえますが、そのうちの一つに膝下の力が抜けていることがあると思います。

では何故膝下の力が抜けているとクロカンで走りやすいのでしょうか。

 

これはクロカンなど不整地を走っているときの膝下の動きに注目し、力が抜けているときとそうでない時を思考実験的に比較するとわかりやすいでしょう。

 

まずは走っているときに膝下の力が抜けていない場合で、足が地面に接地する直前に突起物があり、つま先が当たったしまうときを考えます。

 

膝下の力が抜けていないということは、ちょうど足が骨盤の付け根からつま先にかけて一本の棒のようになっていることと同じです。

なので、つま先が突起物にあたってしまうと足全体が止まってしまいますが、慣性の法則により骨盤から上の上半身は進み続けます。

よって上半身が前のめりに出てしまいバランスを崩します。

要するに躓いて足を取られ、転びそうになるということです。

f:id:akttsugou:20180910200903j:plain

では今度は膝下の力が抜けている場合で、上記と同条件で考えてみます。

 

膝下の力が抜けていると、膝は自由に曲がることができます。

この状態で、つま先が突起物にあたっても膝が曲がってくれるために膝から上は影響を受けにくく、そのまま進むことが出来ます。

イメージはのれんに腕押しですね。

つま先が当たっても膝から下が衝撃を逃がしてくれます。

f:id:akttsugou:20180910220937j:plain

また、このような動きが出来ることはクロカンだけでなく、ロードやトラックなどの平らな場所で走る際にも有効です。

 

膝下の力が抜けない人はクロカンだけでなく、平らなところを走っているときも同じ事をしています。

速い速度で走っているときは地面も同じ速度で足に向かってきますが、足が一本の棒となっている人は、足を動かす速さが地面の向かってくる速度を下回ると接地の瞬間に止まるのです。

 

つまり平らな地面の上でも”躓いて”いるのです。

 

平らな地面の上で加速もすぐに出来るためクロカンに比べて目立たないだけで、膝下の力が抜けているランナーと比べると効率では分が悪いです。

何せ一歩ごとに細かくブレーキを踏んでいるようなものです。

短時間ではわかりにくいものの、長距離になればその差は大きく現れてくるでしょう。

 

クロカンでも強いケニア人がトラックやロードでも無敵の強さを誇っているのもうなずける話です。

 

さて、この技術ですが私は日本人でも比較的簡単に取り入れられると考えています。

理由は2つあります。

 

まず1つ目は昔の日本人は確実に出来ていただろうという推測です。

 

昔の日本人とは草鞋や、場合によっては素足で生活していたころの日本人のことです。

そんなに昔の話ではありません。

 

下記参照リンクによりますと「1950年代中ごろから男性を中心に革靴を履くことが一般化」したそうです。

人と靴の歴史 | 靴と足の話 | シューズセンターいづみ

 

また、日本の道路も現在のような平らなアスファルトの舗装路が本格的に広まったのは1960年代後半のモータリゼーションからです。(「舗装」-Wikipedia

 

この二つの事実から、これ以前の日本人は生活の移動をほぼ徒歩で行っていて、環境条件ではケニア人とほぼ同じであり、故に同じような技術を有していても不思議ではないと考えられます。

 

理由のもう1つは現代の日本のベアフットランナーです。

 

私の周りには多くのベアフットランナーがいますが、実はその中には明らかにこの技術を有しているランナーが複数存在します。

その彼ら・彼女らは日本の急こう配の多いトレイルを裸足で足裏をほぼ傷つけることなく、平地とあまり変わらぬ速度で走ることができています。

 

定期的に裸足で走っているからか元からそのような素質があるからか、一概には言えませんが、確実に言えることは膝下の力を抜けないランナーは足裏に衝撃が集中しやすく、凸凹だらけのトレイルを裸足で走ることは出来ないでしょう。

 

以上から、膝下の力を抜くのはケニア人の専売特許ではないことがわかるでしょう。

 

では今度はどうしたら膝下の力を抜くことができるのか、ですが…その話は長いので次回の記事に書きたいと思います。

 

お付き合いいただき、どうもありがとうございました。

 

 

次回「クロカンを走るケニア人のように膝下の力を抜くということ その2 実践編

お楽しみに。

 

↓良ければ一押し頂きたいです。

にほんブログ村 その他スポーツブログ ランニングへ
にほんブログ村

 

記事が面白かったらおひねりを!

 

速く走るために運動神経を向上させる方法その2~裸足でのトレーニング~

前の記事(速く走るために運動神経を向上させる方法について)で運動神経についてとその能力を向上させる方法を書きましたが、その続編です。

 

運動神経とは「多種多様で複雑な動きが脳内でパターン化されており、瞬時に組み合わせて実行できる能力」とも言えることを説明しましたが、運動神経の構成要素にはもう一つ重要な面があると考えています。

今回は運動神経のもう一つの構成要素とそのトレーニング方法について書いていきたいと思います。

 

運動神経の意味は「スポーツや技能などを巧みにこなす能力」ですが、あらゆるスポーツで技能を巧みにこなすには多種多様な動きができるだけではありません。

あらゆる動作を目的とするところにそって正確に出来るという面もあります。

以降、「運動の正確性」と呼称します。

 

テニスの試合でライン上にスマッシュを何度も決めることが出来る選手もいますが、もし運動の正確性が無かったら狙ったところから外れるし、そもそもボールがラケットにあたらないしと、目も当てられないことになりますね。

 

通常、正確性も運動に求められるスピードや労力が上がれば上がるほど落ちていきます。

走るときも速度が速い時や距離が長くなってくるとフォームが崩れてきやすいと思います。

ランニングにも言えることなのです。

 

もう少し運動の正確性について説明していきます。

 

正確性の差が出る要因の一つに、脳内でどこまで身体を正確に認識出来ているかがあります。

専門的にはボディイメージだとか、ボディマップといった用語がありますが、それに近いことだと思います。

 

要はまっすぐ歩こうと思ったときに、本当にまっすぐ歩けているかという問題です。

簡単な話に思えるかもしれませんが、おそらくほとんどの方には出来ていないことだと思います。

 

リングワンデリングという言葉をご存知でしょうか。

開けた広い平らな場所で霧など視界が悪い時に歩くと、いつの間にか元の場所に戻ってしまったり、同じところをぐるぐる回ってしまったりする現象のことを言います。

 

人はまっすぐ進んでいるようで大抵はそうではありません。

なので目標物や現在地を視覚的に認識できない状況になると曲がって歩いてしまうのです。

 

これは例え目が見えていても影響があります。

真正面に進むことについて誤差が大きい人、例えば1歩で右に1度ずれてしまう人は一歩ごとに、半ば無意識的に軌道を修正しているのです。

これは誤差が少なければ修正する必要のないものです。

その分余計に労力を使うことになります。

 

一歩ごとに1度ずれる人はなかなかいないとは思いますが、これが0.1度だとしても、軌道修正しなければ、たった3600歩で人は360度回ってしまいます。

 

脳内に描いた運動のイメージと現実の運動との誤差は完全に無くすることは不可能ですが、極力少ない方がランニングでも有利に働くでしょう。

 

それではどのようにして運動の正確性を身につけるか、練習方法を書いていきたいと思います。

 

練習方法は基本的には非常にシンプルです。

目を開いているときと閉じているときとで同じ動作が出来るかどうかを確認する形になります。

 

例えば前ならえです。

1.目を開いている状態で前ならえをする

2.両手の位置を覚えておく

3.手を下す

4.目を閉じて1.と同じ位置と思われるところまで前ならえをする

5.目を開けて位置に差が無いか、両手が揃っているか確認する

 

これだけです。

これが手だと結構簡単ですが、問題は足です。

 

例えばまっすぐ立っている状態で足から30cmほど前にコインを置き、目を閉じてコインの上に右足の”親指”を置けるかどうか、という練習です。

あとは1mくらいの細い紐の上を目を閉じて継ぎ足歩行(タンデム歩行とも)などもあります。

 

やっていただくとわかると思いますが、結構難しいです。

これらの練習は当然裸足でやったほうが効果が高いです。

足裏は非常に多くのセンサーが密集しており、体が今どのような状況かを知る良い手掛かりになります。

 

この練習はもっと言うと目に頼らないで、他の感覚器官により体の動きを制御する練習でもあります。

 

ランニングするときに自分の体の動きを見ながら走る人はいません。

目は進行方向や地面の状況を知ることに使われます。

 

なのでランニングフォームを映像で見た時に自分のイメージとは違った、あまり良くないものになってしまうこともあります。

原因は、脳のイメージと実際の動きに誤差があるからです。

 

運動の正確性が無いと、方向を修正する必要が出てくるだけでなく、体の各部位の動きレベルでも非効率を生じることもあるのです。

 

なので自分の体の動きを目で見なくても把握するという練習は有用なトレーニングだと私は考えています。

特にこのような練習を裸足でやることは、自身の体の重心や動きをつかみやすく、トレーニング効果という点でシューズを履いているよりも遥かに効率的です。

 

室内でいつでも出来ますし、体も疲れないのでアクティブレストでの練習としても可能です。

またバリエーションも豊富に考えられます。

毎日同じことをやるよりは、少しずつ変化を加えた方がより正確性を磨くことができるでしょう。

ただし難しくしすぎて物にぶつかったり、転倒したりしないように気を付けてください。

 

みなさんも是非裸足で、目を閉じて自分のイメージ通り体を動かせるかどうか試してみてください。

 

↓良ければ一押し頂きたいです。

にほんブログ村 その他スポーツブログ ランニングへ
にほんブログ村

 

記事が面白かったらおひねりを!

他のスポーツにはないエリートランナー特有の走り方

テレビなどで大きなマラソンのレースを見ていると、トップレベルのエリートランナーは凄い速さで42kmを走っていて、超人の様に感じますよね。

今回は他のスポーツにはない陸上競技のエリートランナー特有の走り方について書いていきたいと思います。

 

野球やサッカーなどの球技をはじめとしたスポーツと走ることを専門とするランナーの走り方は異なります。

それは何故かと言うと、陸上競技の競技特性から話す必要があります。

 

皆さんはサッカーのフィールドの長さをご存知でしょうか。

国際大会のレギュレーションでは最大110mとなっています。

サッカー競技規則リンク

 

ではラグビーはどうでしょうか。

ワールドラグビー競技規則によるとラグビー場の長さは100m以内と決まっているそうです。

World Rugby Laws - World Rugby's Law Education Web Site: Law 1: The ground

 

次はバスケットボールにしましょうか。

バスケットボールのコートは競技規則で長さ28mと決まっています。

競技規則 - バスケットボール | molten モルテンスポーツ事業本部

 

最後に野球で見てみましょう。

野球の塁間、各ベースからベースの間は約27.4mで、1周すると約109.6mほどになる計算になります。

野球のルール【グラウンドと用具】

 

各スポーツのフィールドの大きさをあげましたが、長くて100m少しとなり、選手たちはこのフィールドの中で動きます。

つまりそれ以上選手たちは走ることはありません。

実際の試合の中ではより短いでしょう。

 

サッカーの試合で全力疾走する距離は長くてもフィールド半分の距離、せいぜい50mほどでしょう。

野球であればたまに2塁までの距離、約54m。

ごく稀に3塁まで、約82m。

ラグビーであってもハーフウェイラインから走って50mほどになります。

バスケットボールはコート自体が短いので、長く走っても30mいかないですね。

 

どの競技でも50m以下のダッシュと言えるような距離がほとんどです。

 

それに比べると陸上競技のトラック種目は最も短い距離であっても100mあり、他のスポーツから見るとずいぶん長い距離を疾走しています。

短距離選手ですら、他のスポーツから見ると長距離なのです。

 

陸上競技のランナーは高速の状態を維持して走ることが重要になってきます。

それは短距離選手であっても長距離選手であっても共通していることです。

 

(長距離専門の私の目から見ても短距離選手と走り方は雲泥の差があり、恐らく短距離専門の方も同じように考えていらっしゃるでしょうが、ここでは他競技と比較した、かなり大雑把な共通点のみ上げていますので、その点ご容赦ください)

 

この高速状態を維持して走ることに対して、専門の用語が無いので、便宜的に自動車やバイクでおなじみの”ギア”を使って説明したいと思います。

 

他のスポーツでは50m以下のダッシュがほとんどで、この距離で重要になってくるのは加速力です。

そうなってくるとストライドは短く、高回転である方が断然に有利です。

車で言うところの低速の軽いギアがメインとなります。

低速ギアのメリットは加速に優れるだけでなく、方向転換もしやすいことにあります。

常に相手やボールがあり、状況によって前後左右上下に目まぐるしく動く必要がある球技では必要なことでしょう。

 

また、陸上選手に比べて体重のある他のスポーツ選手にとっては加速力が無いと動けません。

体重があり、加速力があることが大きな武器となることでしょう。

 

では陸上選手の場合はどうなるでしょうか。

短距離選手は加速力も重要な能力ですが、先ほど書いた高速を維持する能力も同じくらい重要です。

つまり高速の重いギアです。

 

高速ギアは加速力はありませんが、少ない力でも大きく進むことができ、効率的にスピードを維持できます。

他のスポーツと比べピッチは少なめでその分ストライドが長いことが特徴です。

 

長距離選手であればこの能力が特に重要です。

そのためダッシュが遅い=足が速いとは言えない選手が活躍できる要因になります。

 

フルマラソンの世界トップクラスの平均速度が時速約20km、50m換算で約9秒になります。

50mをこれよりも速く走れる人は一般の方でもたくさんいますが、そのほとんどはこの速度を1km維持することも難しいでしょう。

(ちなみに上記は1km3分ペースになります)

陸上選手のエリートランナーとは、優れた高速ギアを持つ選手と言えます。

 

陸上選手がどのようにしてこの能力を身に着けるのかというと、一つは練習の中です。

長距離選手であれば1000m以上のインターバルやペース走、快調走などが高いギアの感覚を掴むのに最適な練習と考えます。

要するに、速いペースを長時間維持しているなかで、足を軽く大きく長く飛ばす感覚を掴み、効率的な高いギアの動きを自然獲得させているということです。

(逆に低速ギアのイメージは自転車のペダルを回しているようなものです)

 

或いはもともとこの動きが出来ている適性の高いランナーと一緒に走ることでその動きをコピーするような形で身に着けることも多いでしょう。

多くの場合、集団で長い時間練習する陸上競技部だからこそ可能なことだとは思いますが。

 

また身体が軽いということも条件の一つです。

重い体では高速ギアの加速度で進むこと、速度を維持することの両方が難しいです。

 

あとは生まれつきの要素になってしまいますが足が長いことです。

同じ体重でも足が長い方がエネルギー当たりのストライドが長くなるため、当然この高速ギアの動きを身に着けやすいです。

 

この高速ギアの概念を他のスポーツ選手や市民ランナーの大多数はもっていません。

なので、走りを見れば陸上競技部出身のランナーかどうか大体分かります。

 

そしてこの高速ギアを持たないランナーは、持っているランナーに比べて、ポテンシャルで優っていてもレースでは負けてしまうことも少なくないでしょう。

 

これこそ陸上競技ランナー特有の、もっと言うとギアの能力こそトップクラスのエリートランナーがエリートたる所以だと私は考えています。

 

↓良ければ一押し頂きたいです。

にほんブログ村 その他スポーツブログ ランニングへ
にほんブログ村

 

記事が面白かったらおひねりを!

ピッチ走法とストライド走法のウソ

ランナー同士の話題はいろいろありますが、その中にピッチ走法・ストライド走法についてもよく聞きます。

ピッチがいいとかストライドが大事とかランナーであれば誰もが、一度は話したことがあるのではないでしょうか。

 

今回はそのピッチとストライドについて私の意見を書いていきたいと思います。

 

まず初めに、ピッチ走法とストライド走法というものは現時点でこの世に存在しません。

 

嘘ではありません、本当のことです。

根拠を説明します。

 

このピッチ走法とストライド走法ですが、どこまでピッチが高ければピッチ走法で、どれだけストライドが長ければストライド走法であるという客観的で明確な基準が存在しないことが理由です。

 

他の例で話すとフォアフット走法やヒールストライク走法は存在すると言えます。

何故ならフォアフットや踵で着地するという明確な基準があるので、カメラでランニングフォームを撮影するか、床反動計など使って着地している場所がセンサーで判別すれば、どの人はフォアフット走法でどの人はヒールストライク走法でということがかなり明確に見分けられます。

これが客観的で明確な基準が存在するということです。

 

ではピッチ走法とストライド走法はどうでしょうか。

 

ピッチ走法とストライド走法にはこういった明確な基準は存在していなく、あくまで見た人の感覚で、この人はピッチが速いからピッチ走法、この人はストライドが長いからストライド走法、といったレベルの話でしかありません。

ヒトの体は基本的に同じ作りをしているので、多くのランナーを測定すれば、平均的なピッチとストライドがわかり、平均値からピッチが早ければピッチ走法で、ストライドが長ければストライド走法だ、ということは言えると思いますが、そのような基準があるということは聞いたことがありませんし、現に存在しません。

 

つまりピッチ走法やストライド走法という論理的な根拠が説明されていないために存在しないと言いたいのです。

 

もし今後どこかの機関が多くのランナーからデータを取って平均ピッチとストライドを出し、その人の体格に対応したピッチ走法とストライド走法の基準を導き出したのであれば、晴れてピッチ走法とストライド走法が存在することになります。

それまでは、私はあくまでピッチ走法とストライド走法はないものとして考えます。

 

また、ピッチ走法とストライド走法についてもう一つ言えることがあります。

 

仮に多数のランナーの平均値を取り、平均よりピッチが早ければピッチ走法でストライドが長ければストライド走法とすると、それはどちらかというと直さなければいけない悪い走法であると考えられます。

 

先にも書いた通り人間は骨や筋肉、内臓など基本的に同じ構造をしているため、走る距離と目標とする速さ、ランナーの体格を決めていれば、それに対応する理想的なピッチとストライドはある程度決まってくるはずです。

極端にピッチが早かったり、ストライドが長いというのは非効率でしかありませんので、理想値はピッチが早すぎず、ストライドも長すぎないものとなるでしょう。

 

そもそもピッチとストライドはランニングの結果を表す指標です。

ピッチ×ストライドがスピードとなりますが、ピッチを上げればストライドが下がり、ストライドが上がればピッチが下がるという疑似的に負の相関関係にあると言えます。

 

一個人のランナーで考えると、ピッチやストライド以外の要素の変化がないままに、ピッチやストライドをいじっても、そのランナーの潜在的なスピードは上がることはありません。

ランナーの潜在的なスピードが上がるための要件は心肺能力や筋力といった身体能力が上がるか、運動に関する技術が向上するかの二つです。

ピッチやストライドを調整することは、ピッチが早すぎる人やストライドが長すぎる人が本来得られるはずのスピードを出せるようにする意味でしか効果がないと思います。

そしてそれはランニングを始めたばかりで走ることに不慣れなランナーにしか当てはまらないと考えられます。

 

通常は走り込むうちに、その過程で個人の体格に見合った、ある程度効率的な走り方=ピッチとストライドに自然と落ち着いていきます。

極端なランナーを除いて、初めてしばらくたったランナーには基本的にピッチとストライドを調整する必要性は少ないでしょう。

 

もちろんピッチやストライドから自身の能力を把握すること自体は良いことです。

ただ、だからと言ってピッチやストライドをいきなりどうにかしようというのは順番が間違っています。

 

速いランナーはある程度高いピッチとストライドで走れるのは、それを実現するだけの身体能力や技術を有しているからです。

速いランナーのピッチとストライドに近づきたいのであれば、自身の身体能力の向上や、技術を身に着けることを目標としたトレーニングを組むことが大切でしょう。

 

ある程度走り込んできた多くのランナーにとって、ピッチやストライドをあれこれいじるのは小手先の誤魔化しだと私は考えます。

 

以上がピッチやストライドに関しての私の意見です。ちょっとでも参考にしていただければ幸いです。

 

↓良ければ一押し頂きたいです。

にほんブログ村 その他スポーツブログ ランニングへ
にほんブログ村

 

記事が面白かったらおひねりを!

 

速く走るために運動神経を向上させる方法について

今回は速く走れるようになるために運動神経を良くする方法について考えてみたいと思います。

 

スポーツではよく運動神経、運動神経と使いますが、そもそも運動神経とは何でしょうか。

ネットでとりあえず運動神経と調べると、

デジタル大辞泉の解説

うんどう‐しんけい【運動神経】
1 意識的な運動をつかさどる末梢神経。骨格筋を収縮させる興奮を身体の末端まで伝え、随意運動を起こさせる。→感覚神経
2 スポーツや技能などを巧みにこなす能力。

上記の様に出てきました。

今回のテーマの運動神経は「2 スポーツや技能などを巧みにこなす能力」のことですね。

 

1の意味の末梢神経を良くする方法なんでありません。

全身手術してサイボーグになるくらいしか方法はないでしょう。

(それはそれでSFチックな感じがして魅力的ですが)

 

閑話休題

 

運動神経、つまりスポーツや技能などを巧みにこなす能力とは何なのかと、それがランニングにどう影響するのか説明していきたいと思います。

 

運動神経がいい人はどういう人なのかというと、どんな種類のスポーツをやっても他の人よりも速く上手くできる人のことを指して言うと思います。

野球をやればホームランが打てるし、サッカーで鋭いシュートを放てるし、走っても速い、ということですね。

文字通り巧みにこなす能力ではあるのですが、別の言い方をすると「多種多様で複雑な動きが脳内でパターン化されており、瞬時に組み合わせて実行できる能力」ともいえます。

 

より詳しく説明していきます。

 

野球のバッティングで例えてみましょう。

イチローのバッティングフォームはきれいですが、それを他人が形だけでもマネすることは可能でしょうか。

これはスピードを問わなければ可能だと思います。

イチローのフォームをスロー再生したときのようにマネすることは誰でもできるでしょう。

イチローのバッティングフォームに限らず、どんな一流の選手の動きであっても、ゆっくりであったり、或いは一部だけマネするのはさほど難しいことではありません。

ただ、これを実際のスポーツの場面で出来る人と出来ない人に分かれてしまうのは、体の問題というよりもむしろ脳の方に問題があります。

 

つまり脳内で体全身の多種多様で複雑な動き方がパターン化されていて、必要な時に必要な速さと組み合わせを、脳から体へ瞬時に命令できるかどうかにかかっています。

 

これこそ一流のスポーツ選手が、または運動の得意な人が運動神経が良いと言われる所以です。

 

人間の体は基本的には同じにできていて、その体の性能の伸びしろには限界があります。

筋トレをすれば誰でも大抵筋力はつきますが、かといってスーパーマンにはなれません。

しかも筋力があったとしても誰でもイチロー選手になれるわけでもありません。

 

ある意味、スポーツにおいて大半の問題はハードではなくソフトにあるといえるのではないでしょうか。

 

では、俗にいう運動神経を良くするためには何をすれば良いでしょうか。

 

これは単純に様々なタイプの運動をして、頭の中に多様な運動パターンを”学習”するに限ると思います。

具体的にはサッカーの選手であっても野球をやってみたり、テニスをやってみたり、ボルダリングをしてみたりなどにあたります。

専門種目以外の運動をトレーニングに取り入れることをクロストレーニングと言いますが、今回の話がまさにそれにあたります。

 

クロストレーニングはケガの予防に効果的であると言われていますが、運動神経が良くなる効果もあり、それによってランニングの能力向上にも影響があると私は考えています。

 

何故運動神経が良くなるとランニングにいい影響があるのかというと、人間の走る動き自体が複雑な運動だからです。

 

多くの陸生哺乳類の様な四足歩行と比べると人間の直立二足歩行は動作中に転倒しないようにバランスをとることが非常に難しい運動です。

走るとなるとそれに輪をかけてバランスを取ることが困難になります。

 

しかも本来人間が走る環境は平らではない不整地なので、その環境を倒れずに直立二足で疾走するというのは、一歩ずつ微妙に違う動きが瞬時に必要な運動なのです。

ただ単純な動作の繰り返しではないため、運動神経の良し悪しがケガのしにくさだけでなく、ランニングのパフォーマンスにも少なからず影響を与えるでしょう。

 

ランナーが運動神経を鍛える方法としてはランニングのトレーニングではなかなかしない動きのあるスポーツをするといいと思われます。

ランニングは基本的に前方向に進む動きなので、横方向や後ろ、上などに動くスポーツがいいでしょう。

 

具体的にはサッカー(+フットサル)、テニス、バドミントン、バスケット、ボルダリングあたりがランニングにない動きが多く、普段のトレーニングにも導入しやすいと思います。

 

ただ、球技系のスポーツは利き腕や利き足ばかり使ってしまい、左右のバランスが悪くなりやすいので注意が必要です。

クロストレーニングを考えるなら利き腕利き足以外も使う必要があるでしょう。

 

また、あくまでクロストレーニングとして他のスポーツをするのであれば、単純に勝敗や記録を気にするのではなく、上手くきれいに動けているかが目標になると思います。

 

皆さんもクロストレーニングを通して運動神経を鍛えてみてはいかがでしょうか。

 

↓良ければ一押し頂きたいです。

にほんブログ村 その他スポーツブログ ランニングへ
にほんブログ村

 

記事が面白かったらおひねりを!

ケニアの食事情から見る、食とランナーの関係性についてのある仮説

食事はアスリートにとって大切なものだと広く信じられています。

通常、食事では栄養をバランスよく、かつトレーニング量に見合ったカロリーを摂取することが推奨されます。

ただし、食事と人間の肉体、運動パフォーマンスとの関係性はメカニズムの部分においてまだまだ未知の部分が多く、科学的な検証と証明が待たれている分野です。

 

なので素人が簡単に口出ししてよいものではありませんが、今回はケニアでの経験から思いついたことを反論は承知の上で書いていきたいと思います。

 

まずはケニアでの食事についての経験から始めます。

 

ケニアに滞在したときの食べ物の話は別の記事(歴史と食から見る日本人の武器は「超長距離」)でも触れましたが、ケニアは基本的には大地が豊かな場所が多く、農業にむいています。

生産される食物も栄養が十分に含まれており、かつ農薬が使われていないことが多いので、実際に食べたところ野菜や果物、穀物は非常においしかったです。

あくまで栄養素の含有率とか調べたわけではなく、あくまで人の感覚でしかありませんが、同行した他の日本人の方からも同じ感想を伺ったので、それほど的外れではないと思います。

 

ただ、これがケニアのランナーに限ると話は違ってきます。

 

前回の記事(ケニア人の骨盤前傾の秘密はハムストリングスにある?)で少し書きましたが、ケニア人でランナーを目指す人は元々決して豊かではありません。

日本の様に子供の時からずっとお腹いっぱい食べてきたわけではないのです。

そしてケニアにあるトレーニングキャンプでも所属している選手は十分に食事がとれているとは言えないのが現状です。

(参考:Running with Kenyans 〜トレーニングキャンプに潜入!! | 吉野剛の裸足ランニング

 

穀物や野菜や果物は比較的多めですが、肉や魚を食べる機会は週1・2回とかなり少ないそうです。

もしかするとタンパク質の摂取は不足しているのかもしれません。

また、これはキャンプの地元選手の話ですが、黙っているとパスタやチャパティ、ウガリばかりを食べることが多いそうです。

(この辺りは食育が十分ではない可能性もあります)

 

更に、ケニア人のランナーは摂取するカロリーよりも消費カロリーの方が多い、すなわちネガティブエナジーバランスであることが指摘されています。

(参考:2008-12-17 - ひとり学融日記

実際に会ったケニア人選手の中にはかなり小食な選手もいて、あまりにも食べないので驚きました。

平均的にみても日本人と比べるとあまり食べる量は多くないように感じました。

理由の一つにそういう環境になかったのではないかと考えられます。

 

つまり、栄養事情は決して恵まれたものではないということです。

 

現在世界で活躍しているケニア人ランナーや、アフリカ系のランナーも大差ない環境で育ったと仮定すると、一つの仮説が考えられます。

 

それは”ある程度の貧食はランナーの成長にとってプラスに働く”という可能性です。

 

これは単に体重を落として軽くすればランナーにとって都合がいい、という話ではなく、その先にある話です。

 

少し視点をずらして日本の食事情から考えましょう。

 

日本の場合、子供の頃から3食きっちり食べることがここ半世紀ほどは当たり前で栄養状況は非常に恵まれていると言えます。

むしろ栄養の過剰摂取気味という状況にあります。

(参考:栄養面から見た日本的特質:農林水産省

 

そんな中で運動するというのはどういった影響があるでしょうか。

 

一つ目に効率を考えなくてよいということが挙げられます。

 

トレーニングが終わったら必ず腹一杯、栄養豊富な食事をとることが出来るので、そのような環境条件で運動することは例え長距離走であっても効率が優先されにくいです。

そのため、がむしゃらで非効率的な運動パターンが身につきやすいでしょう。

一言で表すと「効率が悪いフォームになりやすい」と考えられるのです。

 

二つ目は身体の過剰な発達が促されやすいかもしれないということです。

 

栄養が過剰に体に供給されるということは本来優先されない四肢の末端の部位も運動の刺激により筋肉や脂肪が発達しやすくなる、つまり無駄に筋肉がつきやすいのではないかということです。

ケニア人に比べて、日本人のランナーのふくらはぎが太い理由の一つかもしれません。

 

筋肉の発達というのは場合によっては意外と厄介なものです。

一度ついた筋肉は運動を継続している限り落ちたりしません。

筋肉を落とすためには運動を長期間減らすorやめるか、断食に近い食事制限により意図的に壊すしかありません。

ランナーにとっては余計な筋肉は重りでしかなく、また効率が悪くなりますね。

 

日本人の状況に比較してケニア人の場合は少ない食事量の中で高いパフォーマンスが要求されるため、動きも効率的になりやすく、かつ体も無駄のないものになるのではないかということです。

 

ただし、この仮説には重大な欠陥がいくつかあります。

 

まず仮説自体が生存者バイアスである可能性があります。

 

ケニアの食事情では洒落でもなんでもなく、栄養失調に陥りやすく、時には命に関わることがあります。

(参考:ケニア/干ばつ:深刻な食糧不足と栄養危機 37万人の子どもが急性栄養不良

ケニアの食生活環境下でトレーニングすることはかなりリスクが高いのですが、その厳しい環境で生き延びるほど強いポテンシャルを持っていたから世界で活躍できただけかもしれないという話です。

もしデニス・キメットが子供の時から日本で適度な食事と、同等のトレーニングをした場合、マラソンの世界記録はもっと伸びていたかもしれません。

 

また、人は個人によって食事との相性が存在します。

食べ物によってアレルギーになってしまうレベルから、吸収しやすい・しにくい、好き嫌いまで人それぞれ個体差があります。

 

これは食事の相性や好き嫌いなど個体差の多様性があった方が人間という生物が環境の変化(=摂取可能な食物の変化)に対応して生存しやすいからです。

全人類が米しか食べれない生物だった場合に米がなくなった絶滅してしまうので、その危険性を種として回避しているのです。

 

そのためケニアの食事情では栄養の吸収能力が弱い個人はもちろん、肉や魚と相性の良い個人にとっても不利になります。

 

だから決して安易にケニアの食事情に倣って食生活を変えようとはしないでください。

今回の仮説はデメリットも大きく、下手に取り入れることはおすすめできません。

 

あくまで一つの仮説としてもしかしたらある程度の貧食はランナーの成長にとってプラスに働く、かもしれないと頭の片隅にでも留めていただけると幸いです。

 

↓良ければ一押し頂きたいです。

にほんブログ村 その他スポーツブログ ランニングへ
にほんブログ村

 

記事が面白かったらおひねりを!

ケニア人の骨盤前傾の秘密はハムストリングスにある?

当ブログではケニア人と日本人を比較して、その相違点からランニングについて考えた記事を度々書いておりますが(ケニア カテゴリーの記事一覧 - ランニング言いたい放題)、今回はケニア人の生活で身につくある特殊能力から考えたことをまとめたいと思います。

 

まずケニア人でプロのランナーになる人がどういう人達かというところから始めます。

 

ケニアは日本と比べると発展途上国であり、そのせいか若者の失業率も高いです。

国際労働機関(ILO)で算出された15~24才の失業率でみるとケニアは17%、日本は7.9%となっています。

(2012年、世界・若者の失業率(ILO基準)ランキング - 世界ランキング

特にケニアの農村部の失業率はかなり深刻だそうで、私が滞在したニャフルルでも市街地で昼間からぶらぶらしている失業者らしき若者も多かったです。

 

ケニアでランナーを目指すのはそういう農村部の若者です。

現在、世界でトップクラスのケニア人ランナー、もしくはアフリカ系のランナーも幼少時代は農村部で決して豊かではない生活をしていた選手がほとんどです。

 

アフリカ系のランナーで有名な2世選手は聞いたことがありません。

それは親が成功すると子供は高等教育を受けて普通に就職できるからだとか、そもそも親のお金で十分生活できるので走る必要がなくなるからです。

 

若者の失業率の高さはケニアにとって大きな問題ではありますが、それはここでは取り上げません。

 

つまりケニア人のランナーはほとんどが農家の若者だということです。

 

農家というのは肉体労働者なので、彼らは走るのが速いだけでなく、重いものは担ぐし、マッチの火は指で消すし、とにかく頑丈です。

そんな彼らは学校であることを教わるそうです。

 

それは「腰のかがめ方」です。

ケニアの地方の学校は農家の子供がほとんどなので、恐らくこういうことを習うのでしょう。

その作業姿勢がこちらです。

f:id:akttsugou:20180806185857p:plain

(引用:Kenya: No jobs in the city, so tech-savvy youth head back to the farm (Trust)

 

膝はほとんど伸び、腰をあまり曲げずに作業します。

 

これが日本人の場合だと下の様になりがちです。

f:id:akttsugou:20180806185621j:plain

(引用:ケニア人の作業姿勢: 月輪のブログ

 

腰の部分、背骨の腰椎がかなり強く湾曲しています。

そして骨盤は後傾気味です。

 

ケニア人と日本人の作業姿勢の違いは実は骨盤とハムストリングス(大腿裏側の筋肉)にあります。

 

ほとんどの日本人はハムストが硬いため、骨盤が前傾できず、その分を腰椎を湾曲させることによって前かがみの姿勢を取ります。

これが原因となって腰痛になる人も多いでしょう。

 

一方、ケニア人はハムストの動的柔軟性が高いので、ハムストで上半身を支えることができます。

そのため腰を曲げる必要が無く、骨盤から前傾することが出来るのです。

これは単にハムストが「柔らかい」ということではなく、伸び縮みをちゃんとコントロール出来て、かつ上半身をある程度支えられる力があるからこそできる姿勢です。

 

日本人のハムストが「硬い=使えていない」ということが推測できます。

 

これはランニングの時にも関係してくると考えています。

ハムストが硬い場合は骨盤前傾は出来ないため、ランニングの際もケニア人のような骨盤前傾を含んだランニングフォームは出来ないでしょう。

ランニングフォームは様々な要素・要件があって実現されているので、一つでも要素を満たさないと違うものになってしまうでしょう。

 

また、骨盤前傾が出来ていないということはハムストが十分に伸びず、その能力が十分に発揮されていない可能性が高いです。

一つ一つの筋肉は縮む方向にしか力を出せない”部品”です。

その筋肉が十分に伸びないということは力を発揮しにくいということになります。

 

ハムストが硬いことによるメリットはあまり考えられないので、ハムストの動的柔軟性はある程度高い方がいいでしょう。

 

そしてこれは日本人にはできない、というわけではありません。

 

ケニア人の作業姿勢: 月輪のブログ』の記事ではこう書かれています。

それぞれ作業の内容も違うので一概に比較できませんが、ケニア・マサイ族の腰の使い方は彼らの専売ではないようです。

(中略)

腰の使い方は学習された文化だとは思われますが、前掲写真を比較してみるとアフリカ系の人たちの股関節の曲がり方は見事ですので、体型体質の遺伝的要素も無視できないのかもしれません(生活習慣全般の問題かもしれませんが)。

ケニア・アフリカ系の民族の遺伝的要素は確かにあると思いますが、決して彼らだけにしかできないわけでなく、世界中の民族で多数見られる姿勢ということです。

(詳しくは参照元をご覧ください)

 

実際に日本人で腰を曲げずに骨盤・上半身を前傾させることができる人は存在します。

特にダンス経験のある方には多いようです。

 

ケニア人もダンスは達者ですし、やはりダンスはランニングにおいて有効である可能性が高いのかもしれません。

 

ハムストを動的に使えるようになるためのトレーニングは調べればいろいろとありますので、是非挑戦してみてはいかがでしょうか。

 

↓面白かったら一押し頂きたいです。

にほんブログ村 その他スポーツブログ ランニングへ
にほんブログ村

 

記事が面白かったらおひねりを!

【寄付フォーム】『ランニング言いたい放題』にご支援ください。

当ブログ『ランニング言いたい放題』の記事をご覧になっていただいた方、ありがとうございます。

 

私、須合拓也は拙いながらも日々ランニングについて考え、ケニアに行ったり、様々なことに挑戦したりして、速くなるための記事を書いております。

記事が少しでも”面白い” ”役に立った”と思って頂けたら、大変嬉しく思います。

 

また、当ブログや記事に対して"価値があるな"と感じて頂けましたら少額でも結構ですので下記Amazonギフト券(Eメールタイプ) よりご支援いただけたら幸いです。

 

 

Amasonギフト券(Eメールタイプ)で寄付をする

 

 

受取人のEメールに「akttsugou@yahoo.co.jp」とご入力下さい。

15円から寄付が可能です。

※クレジットカードが必要です。

 

頂きましたご寄付は『ランニング言いたい放題』の運営資金とさせていただきます。

 

ご支援のほどよろしくお願いいたします。

 

ランニングにおけるリラックス②~ケニア人の動きの中のリラックス~

前回の記事(ランニングにおけるリラックスと、リラックスする具体的な方法)でランニングの際のリラックスについて一応の定義づけと走るときのリラックスについて触れましたが、その続編にあたります。

 

前の記事ではランニングのリラックスについてかなり簡略化して筋肉だけを見て話を進めましたが、それを更に深堀していきたいと思います。

 

走るときの筋肉の動きをかなり簡略して、前進するときに使う筋肉群と止まるときに使う筋肉群の差によって前進すると考えるえましたが、運動の際にもう一つ外してはならない要素が肉体には存在します。

 

それは『腱』です。

腱とは筋肉が骨に付着する部分にある、筋肉と骨を結合させている繊維です。

きわめて強靭で弾力性の高い繊維なので、簡単に超強力ゴムバンドみたいなものだと思ってください。

(参考リンク:腱 - Wikipedia

 

アキレス腱なんかはわかりやすいと思うのですが、走ったりジャンプしたりするときに伸び縮みして運動エネルギーに変わります。

腱は筋肉の両端についているものなので、人間は全身ゴムバンドでくるまれているようなものです。

ただし、普通のゴムと違い筋肉によって自在に伸び縮み、ゴムでいう弾性の強弱がコントロールできます。

なのでスムーズに運動することが出来るのです。

(本当に全身強力なゴムバンドでくるまれていたら全く動けなくなるでしょう)

 

筋肉の部分で伸び縮みの強弱をコントロールできるという点が今回のポイントです。

 

前回、姿勢を維持しているときに前後方向だけを考えて、前側と後ろ側の筋肉が強く働いて釣り合ってしまっていると、動くときもアクセルとブレーキを同時に踏んでいるように無駄が多いと書きました。

実際その通りなのですが、それに腱の要素も加えて考えていきます。

 

下の図を見てください。

f:id:akttsugou:20180728200520j:plain

簡単に腕の運動を模した図です。

丸い部分が肘で上の方が上腕、先の方が前腕です。

オレンジ色が腱と筋肉です。

腕をゆっくり曲げ伸ばしするときは単純に筋肉が伸びたり縮んだりするだけです。

 

曲げ伸ばしを速くやるときが腱が関わってきます。

 

肘を曲げた状態(A)から肘を伸ばし切った状態(C)にした後すぐにまた肘を曲げた状態(A)に戻すことを考えます。(A→B→C→B→A)

 

肘を素早く伸ばすときは筋肉が脱力しますが、曲げた状態と伸ばした状態の中間(B)に筋肉に少し力が入れて縮む方向に働くと、その分腱が多少伸びはじめます。

そして肘を伸ばし切った状態(C)になったときは腱も伸ばされています。

ちょうどゴムを伸ばした状態と同じで、腱は強力に縮もうとします。

同時に筋肉も力が入り縮むので相乗効果により一瞬で肘を曲げた状態(C→B→A)に戻ることができるのです。

 

これは肘の曲げ伸ばしのスピードが速く、ある程度の反動が腱にかからないと腱は働きません。

そして、筋肉の働くタイミングもずれてしまうと速く、スムーズに動くことは出来ません。

 

もし、肘を曲げた状態(A)から動き始めてすぐに筋肉を働かせてしまうと肘を伸ばし切る(C)前に止まってしまうでしょう。

逆に筋肉に力を入れるタイミングが遅いと肘を伸ばし切った状態で腱が働かず、素早く帰ってくることが出来ないでしょう。

 

また、腱の伸び縮みのエネルギーを利用せず筋肉だけで素早く肘の曲げ伸ばしすることも可能ですが、その場合は肘を曲げて伸ばして曲げる、の一連の動作の間中筋肉が働いていなければならず、非常に効率が悪いです。

腱を利用することのもう一つのメリットが腱自体は伸び縮みしてもエネルギーを消費しないことです。

 

つまり腱の特性とその働きも含めてタイミングよく絶妙に筋肉を働かせることが素早く効率的な動作につながるということです。

 

これが動きの中におけるリラックスです。

腱も上手く使うことによって力はいれているように見えないのに素早く動くことが出来、結果効率も良いというものです。

 

これを普段の動作の中で非常によくできているのがケニア人です。

 

彼らは日常的にダンスをしていることからリズム感だとかタイミングを上手くつかむことが得意です。

彼らのダンスでやる動きは力が入っているようには見えないのに、リズミカルかつ変則的・アクロバティックでまるで体がゴムまりの様に跳ねるので、日本人にはなかなかマネできません。

また肉体労働が多いこと、高地で道が悪く食糧事情も決して良くないことから、体中の腱を上手く使って効率よく動けないと生きていけなかったからとも考えられます。

 

ケニアに滞在していた時に水道が切れ(よくあることです)、水をタンクから直接汲まないといけなかったことがありましたが、彼らは私より細い手足で重いバケツを素早く、軽々と持ち上げてました。

今思えば肉体労働に慣れているだけでなく、腱の使い方が日本人とは比較にならないほど上手いのでしょう。

いや、日本人も食料事情の良くなかった昔の肉体労働者は出来ていたのかもしれません。

 

ケニア人は腱が強いということで知られていますが、これは日常的にそのような動きをしているから腱が発達したのだと推測できます。

腱の発達には運動が必要とのデータもあるので、日本人でもそのようにトレーニングを行えば再現は出来ると思います。

(参考リンク:腱の発達には運動が必要だと解明 遺伝子レベルで解明

 

これはジムでよくやる重りを単純に持ち上げるトレーニングではなかなか鍛えられない感覚です。

どちらかというとダンスのようなリズムと瞬発力が求められる動作やボックスジャンプのようなプライオメトリクストレーニングによって鍛えられるのではないかと考えられます。


腱が伸びたり縮んだりする感覚は恐らく一般的な日本人の生活ではあまり使わないので、初めはわからないと思いますが、この感覚を覚えることはランニングに決してマイナスではないと思います。

 

興味を持たれましたら一度チャレンジしてみてはいかがでしょうか。