ランニング言いたい放題

日本ベアフットランニング協会公認コーチ、Vibram FiveFingers トータルアドバイザー。6歳からランナー、ケガに悩む→2014年靴を捨て裸足になる→2017年ケニアに行く|ケガしやすい自分のためにも楽で速い=究極のランニング目指してブログ配信中。記録やケガにお悩みのランナーにおススメです。お問合せ:hadashi.rc@gmail.com。by須合拓也

【東京】2018.1.27(日)ケニア式”走らない”ベアフットランニング教室(渋谷)開催します。

このブログで書いているケニア人の走り方を身に着けるための、動き作りだけを中心とした”走らない”ベアフットランニング教室を開催します。

ビブラムファイブフィンガーズの試し履きも可能です。

(モデル:V-ALPHA

 

今回は当ブログの掲載の以下のトレーニングについてやっていきたいと思います。

クロカンを走るケニア人の様に膝下の力を抜くということ その1

ケニア人に近づくための体幹連動トレーニング

走る時に足を”引き上げる”ということ - ランニング言いたい放題

 

詳細・お申し込みは以下のページよりお願いします。

【東京】2019.1.27(日)ケニア式”走らない”ベアフットランニング教室(渋谷) | イベント | 日本ベアフット・ランニング協会

 

 

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足を引く③~ケニア人ランナーはスーパーボール!?~

runner-takuya-sugo.hatenablog.com

こちらの記事の続きになります。

 

足を引く、3回目の記事のテーマは何故足を引くのか、というところを説明していきたいと思います。

 

ランニングでスピードを維持しようとすると、人は何らかの力を出さねばいけません。

何故なら前方方向に進む力は一歩ごとに減衰するからです。

なので一歩ごとに加速しなければ速度を維持することはできません。

 

ではどうやって加速するかですが、位置エネルギーや筋力によるエネルギー、弾性エネルギーなどを使います。

 

前回上げた人の走るサイクル【宙→着地→最大荷重→離地→宙】にあてはめると

【宙→着地→最大荷重】:位置エネルギー、筋力

【最大荷重→離地→宙】:弾性エネルギー、筋力

 となります。

 

順に説明していきたいと思います。

 

まず注意していただきたいことですが、ここで上げている弾性エネルギーは地面から力をもらうことではないです。

よく地面から力をもらうという表現を聞きますが、これ自体は物理的にありえない現象です。

 

地面を押すとそれと同じだけ反作用として床反力は発生しますが、これによって推進力を生むことは不可能です。

何故なら押す力と必ず相殺されるからです。

 

実際は地面から力をもらっているのではなく、人間の体が持つ弾性によって弾んでいるだけです。

 

例えて話すとわかりやすいでしょう。

 

バスケットボールを高さ1mから地面(地面の弾性は0と仮定)に落とすと弾みます。

これが同じくらいの大きさの重いコンクリートのブロックなら全く跳ね返りません。

 

地面に落ちた時に地面を押す力=床反力はバスケットボールよりもコンクリートのほうが遥かに大きいですが、コンクリートは弾性がほとんどないため、弾まないのです。

もし地面から力をもらう、という現象を実現するのであればシーソーのような上にある物体を跳ね上げる仕掛けを地面に設置しなければいけません。

 

よほど特殊な環境でない限り、地面は物理的な仕事をしません。

その為地面から力をもらうことは考えられません。

 

人間にはバスケットボールと同じように弾性が存在するため、弾みます。

そして重心の位置をうまく前方向にずらして、弾む力を推進力に変えています。

 

ただし、ここで注意したいのはどんなに弾性があったとしても、元の位置の高さには帰ってこない、と言うことです。

手を離したらずっと元の位置の高さで弾み続けるバスケットボールが存在しないのと同じです。

つまり、下記の式が成り立ちます。

位置エネルギー > 弾性エネルギー

なので、全く何も力を加えないと人は止まります。

だんだん加速力がなくなってくるからです。

バスケットボールも弾む高さがだんだん低くなって、最後は止まってしまうように。

 

では加速力、この場合は高さを保つためにはどうしたらいいでしょうか。

バスケットボールを例にして考えてみましょう。

 

バスケットボールの弾む高さを保つ方法には2通りあります。

 

一つは勢いよく地面にたたきつける方法です。

これはよく見るドリブルのやり方ですね。

落とすときの高さは同じであっても、落ちる速さを上げれば同じ高さに戻ってきます。

 

先のサイクルであげるところの

【宙→着地→最大荷重】:位置エネルギー、筋力

にあたります。

 

叩きつけるパターンの加速方法の利点は加速のしやすさと、大きく加速できるところにあります。

 

落ちるものを上から叩けばいいのですからそれほど難しいことはありません。

また、落ちているということは既に重力加速度で加速されているのですから、そこに力を加えれば加えるほど更により大きく加速できるでしょう。

 

デメリットとしては衝撃が強いことと、速く強く力を加えなければいけないところです。

 

衝撃が強いことは説明が要らないかもしれませんね。

バスケットボールは丈夫にできてますし、痛みも感じなければ骨折もしないので思う存分地面に叩きつけられますが、これが足だったら無理ですよね。

 

速く強く力を加えなければいけない、とは『落ちる速度=重力加速度よりも遅く押しても加速されない』ということです。

弱くゆっくり押してたらドリブルできないよ、と言ったらわかりやすいでしょうか。

だから短距離が速い人は筋肉隆々で速筋が発達しているのでしょうね。

 

以上から、叩きつけるパターンの加速の仕方は短距離向けです。

長距離では衝撃面でも速度面でも無理があります。

 

バスケットボールの弾む高さを保つ2つ目の方法は『引き上げる』ことです。

最もわかりやすいイメージだとバスケットボールに釣り糸をつけて竿で引っ張る形、でしょうか。

 

この方法がサイクルの

【最大荷重→離地→宙】:弾性エネルギー、筋力

にあたります。

 

メリットは衝撃の少なさと労力の少なさにあります。

衝撃については自然落下による必要最低限の衝撃になりますので、叩きつけることに比べたらかなり少ないでしょう。

また、弾性エネルギーでは不足してしまう高さの分だけ引き上げればいいだけなので、多く引く必要もなく、速度も叩きつけるよりは遅くてもかまいません。

 

デメリットとしてはあまり加速できないことにあります。

人が上げられる足の高さは決まっています。

なので引き上げる方式ではその人の引き上げられる足の高さが加速の上限となります。

(高さと加速度は正比例関係にあるためです)

足の長い人が特に長距離で有利な理由も、一つはこのためでしょうね。

叩きつける方式も筋力と速度の限界という上限がありますが、それは引き上げる方式よりもずっと上にあるでしょう。

 

話をまとめますと長距離においては引き上げる方式の方が衝撃も労力も少なくて済むので向いているということと、体がより弾性があり、その弾性をうまく発揮できるほうが筋力をあまり使わなくて済むということです。

 

筋力で進むこともできなくはないですが、弾性に優れていて弾性エネルギーをうまく使ったほうがどちらの方式であっても有利です。

空気が抜けたバスケットボールより空気が入ったバスケットボールのほうがよく弾むしドリブルも楽です。

あとせっかく弾むバスケットボールでも地面についた瞬間に地面に押し付けてはダメです。

弾性の無駄遣いです。

だから地面を押しても蹴ってもいけないのです。

 

要するに全身がバネの塊でスーパーボールのように弾んで、うまく活かせるのだったら長距離は凄い有利なのです。

ケニア人は本当にバネの塊でよく弾みます。

ケニア人に縄跳びをする時のように小刻みにジャンプをしてもらって、後ろから肩を下向きに押したとき、つまりバスケットボールをドリブルするようにしたときは、びっくりするくらい大きく跳ね返ってきました。

日本人でも跳ね返ってくることは跳ね返ってくるのですが(こない人もいましたが)、比べるまでもないです。

 

最後はやや強引にケニア人の話をしてしまいましたが、結論としては体にある弾性をうまく使って走っていただけるとより楽に、速く走れるだろうということです。

 

是非参考にしてみてください。

 

 

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足を引く②~足がついた瞬間から引き始める~

runner-takuya-sugo.hatenablog.com

前回記事では足を引き上げることにより効率的に走ることができることの説明を行いましたが、その続きの記事になります。

 

今回は足を引くタイミングについて説明したいと思います。

 

足を引くタイミングを説明するに当たって、まず人が走っているときにどういったサイクルになっているかを時間毎に見ていく必要があると思います。

 

人の走るサイクルは停止状態から始まります。

 

停止状態から前に体を倒すと同時に左右どちらかの足が上がります。

上がった足が前方の地面に着地しようとしますが、着地する前にもう片方の足も地面から離れるので、一瞬体が空中に浮かんでいる状態になります。

先に上げたほうの足が着地してからは【着地 → 最大荷重 → 離地】と体から見て足が後ろのほうに行くサイクルに入ります。

足が後ろに行き切って離地してからはまた一瞬宙に浮き、今度は逆の足が着地します。

 

単純にすると【宙→着地→最大荷重→離地→宙】のサイクルを持続させるのがランニングという動作ですが、この1サイクルにかかる時間はどれくらいだと思いますか。

 

大抵の方はそこそこのペースで走る時、1分間に180回前後のピッチになります。

つまり1分間で180サイクルです。

1秒にすると3サイクル。

つまり1サイクルは約0.3秒。

 

いかがでしょうか。

思ったよりも早いでしょうか、それとも遅いでしょうか。

1サイクルでこの時間なので、サイクルの各場面、接地や最大荷重・離地などにかかる時間は本当に一瞬のことです。

 

この約0.3秒の中のどのタイミングで引けばよいかが今回のメインテーマになるわけですが、ここでもう一つ、考えなければいけない要素があります。

それは人間の反射神経、つまり人間が何かの刺激に対して動き出すまでにかかる時間です。

 

反射神経、あるいは専門的にいうと反応時間ですが、これは状況や刺激によってさまざまな数値で出るため一概に言えませんが、参考として単純で平均的な反応時間は、視覚刺激(ランプが光ったらボタンを押す、など)では0.18から0.2秒、聴覚刺激(音が聞こえたらボタンを押す、など)では0.14-0.16秒だそうです。

(参考リンク:反応時間 - Wikipedia、より詳しい説明は反応時間 - 脳科学辞典

 

非常に簡単に考えると何かの刺激を感じて動き出すまでには単純な動作でも約0.15秒かかる、ということです。

 

ここまでをまとめると1サイクルにかかる時間が0.3秒で、反応時間が0.15秒。

この数字を覚えておいてください。

 

さて、1サイクルにかかる時間は0.3秒ですが、今度はそれを各場面で分けていきます。

まず地面に足がついている時間と、宙に浮いている時間です。

 

ランナーの接地時間について分析している記事によりますと、地面に足がついている時間は以下のようになっています。

野口みずき選手:0.150ミリ秒
高橋尚子選手:0.167ミリ秒
男子学生選手:0.169ミリ秒

Garminは、レベルの異なる多くのランナーに関してリサーチを行いました。一般的に、経験豊富なランナーは、接地時間が短い傾向にあります。優れたランナーの接地時間は大抵200ms以下です。

(参考リンク:上級者は接地時間が短い!けど、接地時間を無理に短くするのはよくない![ランニング独自分析]

 

仮に、一般的なランナーのそこそこ速いペースの接地時間を0.2秒、宙に浮いている時間を0.1秒としましょう。

つまり、足を引くタイミングは【接地→最大荷重→離地】の間の0.2秒のうちのいずれかになります。

 

この0.2秒の中で足を引くのに最も良いのは地面についている足よりも体の重心が前にある最大荷重→離地の間です。

前回記事参照

 

ただし、先ほどの反応時間の0.15秒を考えると、足が地面についた瞬間、その感触を反応開始のスイッチとして足を引くとちょうど良いタイミングになります。

 

【接地→最大荷重→離地】を0.2秒とし、【接地→最大荷重】と【最大荷重→離地】を等しいと仮定して0.1秒ずつと考えると、接地を起点とする反応時間の0.15秒後はちょうど【最大荷重→離地】の中間となります。

つまり、足を着いた瞬間から上げようと動くと、最大荷重を過ぎて足が後ろに流れ始めたタイミングで実際に上がるということです。

 

この例は一般ランナーのそこそこ速いペースでの想定になっていますが、レベルの高いランナーであれば接地時間が短いだけでなく、反応時間も恐らくより短いでしょう。

(或いは反応時間が短いからこそ接地時間も短いのかもしれません)

 

その根拠は反応時間は繰り返し学習している動作についてはより短い時間で反応できるという報告があること、目や耳の感覚よりも触感を刺激とする反応時間のほうが生物として原始的な感覚なためにもっと早いだろうということが上げられます。

(触感を刺激とする反応時間は実験のデータがないのが残念ですが)

 

もしかしたら人間の足の速さは反応時間に比例するのかもしれません。

 

足を引くタイミングは足裏の接地の触感・皮膚感覚を起点とする、というのが今回の結論ですが、この感覚をトレーニングする際は当然裸足のほうが有利です。

 

シューズではソールにクッションがあるために足裏の感覚が鈍りやすく、かつ接地の衝撃が足に伝わるまでにほんの僅かな時間ですがロスが生じます。

反応時間は感覚への刺激が強いほうが短くなります。

そのためこのロスは確実に足を引くタイミングを遅くし、結果接地時間が長くなり、本来発揮できるはずの速度よりも遅い動きを学習してしまいます。

 

これは長距離であっても短距離であっても無視できない差になるのではないかと思います。

 

現代のランナーはほとんど大多数の選手がシューズを日常的に使っているためあまり考える必要はないかと思われがちですが、裸足でそういった感覚を身に着けているアスリートとそうでないアスリートが同じシューズでレースに出た場合は話が違います。

 

事実、現在の世界記録クラスのランナーは短距離でも長距離でも幼少期に裸足で生活していた選手が散見されます。

 

もしより足を速く引く、つまり速くなることを考えたら裸足で動きを学ぶというトレーニングは必要なのではないかと思われます。

 

もう少し足を引くことについて説明することがありますが、また長くなるので今回はこれでお終いにします。

 また次回をお楽しみください。

 

↓次回記事です。

足を引く③~ケニア人ランナーはスーパーボール!?~ - ランニング言いたい放題

 

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NHK時代ドラマ「アシガールSP」にて走り指導に携わりました

NHKの土曜時代ドラマ「アシガール」にて走り指導のコーチとして撮影協力しました。
ヒロインの走りが本当に見事ですので、興味のある方は12月24日(月)の21時から是非ご覧ください。

NHK時代ドラマ「アシガールSP」に撮影協力しました!! | メディア紹介 | 日本ベアフット・ランニング協会

www.nhk.or.jp

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アシガール | NHK 特集ドラマ – NHKオンライン



走る時に足を”引き上げる”ということ

普段道端で遭遇するランナーの方たちを見ていると本当にいろいろなフォームをしています。

同じ走る動作でも人によって体の使い方が全然違うなと思う次第です。

 

今回は走る時の足の効率的な動かし方について考察してみました。 

 

さて皆さんは走る時にどのように足を使っているでしょうか。

恐らくほとんどの方は具体的かつ明確に説明できないと思います。

 

私が見る限りでよく見るパターンとしては二つあります。

一つは足を前に振り出そう、または上げようとする使い方です。

もう一つは足で地面を強く蹴りだす、後ろの方向に力を入れる形です。

 

この両方とも私は無駄が多いと思っています。

 

まず前に振り出す、または上げる場合から説明します。

 

足を前に振り出す場合、力の向き(ベクトル)は体の重心のあたりを中心とした弧の軌道に近いものになります。

 

図1

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ちょうど野球のバットを振っているのと同じです。

 

そうやって足を前に振り出すのはかなり労力を要します。

何故なら体の重心から遠いところで、モーメントが大きい状態で動かしているからです。

上り坂や階段を走る時などは特にこのようになっている人が多いです。

つまり、重心から離れたところで足を上げたくなるのです。

 

これがどのくらいきついかというと、重いものを両手で持ち、肘を伸ばしたまま胸の高さまで上げるようなものです。

 

もう一つは足で地面を強く蹴る場合もベクトルが後ろ向きになるだけで、基本的には同じです。

どちらも重心から離れたところで力を出そうとしているので、非効率です。

 

ではどうやって足を動かせば効率的でしょうか。

 

これは、体の重心に向かって足を”引き上げる”ことだと私は考えています。

言葉だけで説明するのは難しいので、ここからは図に沿って説明します。

 

図2.足を引き付ける場合の足の動き

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走っているとき、慣性の法則によって体及び重心は一定の速度で進みますが(赤い矢印)、地面についている足(1)の速度(絶対速度)は0になります。

重心から見ると地面についている足は重心が進む速度と同じ速度で後ろに進んでいるとも言えます。(青い矢印。赤い矢印の速度=青い矢印の速度)

足が地面から離れると今度は足も体に引っ張られて重心の進む速度(赤い矢印)と同じ速度で進み始めます。(緑の矢印)

合わせて足の後ろ向きの動き(青い矢印)は足が最大限後ろに言った時点で消失します。(図中(4)のあたりから)

 

足が地面から離れるあたり(2)から足を重心に向かって引き付けるように動かす(黄色い矢印)のですが、足の軌跡は青い矢印や緑の矢印の動きが加わることにより円を描くようになります。

 

これの何が効率的かというと、まず筋力を能動的に使っているところが黄色い矢印だけである点です。

重心に向かって動かすのは先に書いた重心から離れたところで動かすことに比べたら段違いに楽です。

 

嘘だと思ったらその場でもも上げをしてみてください。

右足はももを水平まで上げて膝の角度が90度になるように10回、次に左足は踵を垂直に上げる動きを同じく10回です。

恐らく左足のほうが断然楽だと思います。

 

また、足がたたまれている点にも注目したいです。

図の(4)から(6)にかけて重心の進む力(赤い矢印)と同じ力(緑の矢印)が足にかかりますが、膝が曲がって足全体の長さが半分近く短くなるためにモーメントが小さくなり、足が前に出る速度が速くなります。

ちょうどフィギアスケートの選手が氷上で回転するときに、伸ばしていた腕を縮めると回転速度が急に上がるのと原理は同じです。

赤い矢印と緑の矢印は前に進む力は同じですが、足が畳まれてモーメントが小さくなった分だけ急加速するのです。

 

このおかげで足は体が進むよりも遥かに高速で前に勝手に出されるわけです。

ただ足を重心の方向に引いただけで。

 

こうすることによって最小限の力で足を加速し、しかもストライドも長くなるというおまけつきです

 

日本代表レベルのランナーでも世界トップクラスのランナーでも、速い選手は皆、踵がお尻につきそうなくらいまで足が畳まれています。

逆にあまり速度が速くない市民ランナーは膝が少し曲がったくらいで筋力を使って頑張って足を前に出している方が非常に多く見受けられます。

 

足が畳まれているか、そうではないかで速度と効率の良さは見た感じで多少分かります。

ただし、本当に効率が良い選手はおそらく足をうまく引き付けるだけしか力を使っていないでしょう。

 

形だけ先ほどの図2のようにはなっているものの、筋力で形だけ再現しているが故に効率的ではなく、結局すぐに減速してしまうランナーも少なくありません。

 

重要なのは頭の中でこれをきちんと理解して、実際に走る時に再現できているかどうかです。

なので、出来ていない方であればしっかりと理論を学んで動き作りを行ったほうがいいです。

 

この引き上げる動きは単に引き上げればいいわけではなく、引き上げる向きとタイミングが重要ですが、それはまた次回の記事にしたいと思います。

 

お付き合いいただきありがとうございました。 

 

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足を引く②~足がついた瞬間から引き始める~ - ランニング言いたい放題

 

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ファラーのように膝下を前傾して踵を踏む

11月も末になってようやく冬らしく寒くなってきましたね。

読者のランナーの皆様は寒さに負けずご健脚でいらっしゃるでしょうか。

それとも寒さを避けて室内でゆっくりお過ごしでしょうか。

 

今回はランニングの際の膝下の角度についての考察を書いていきたいと思います。

 

以前にも膝下の力を抜くことについて記事を書きましたが、

クロカンを走るケニア人の様に膝下の力を抜くということ その1

クロカンを走るケニア人のように膝下の力を抜くということ その2 実践編

をご参照ください)

この記事はその内容からさらに踏み込んだものです。

 

皆さんは普段走る時に、膝下が地面に対してどんな角度で接地しているか考えたことはあるでしょうか。

 

私は最早職業病の域で、視界内にランナーがいるとそのフォームを見てしまいます。

そしてランナーによってそのフォームは様々ですが、膝下の地面に対する角度もそれぞれ異なります。

そしてそれは足裏の接地や、ひいてはランニングのパフォーマンスにも少なからず影響があると考えています。

 

順に説明します。

 

まず、接地の際の膝下の角度とは何かというと、足が地面についた瞬間に膝下が垂直か、それとも後ろに倒れているか、前に倒れているか、ということです。

大まかに分けると後傾、垂直、前傾の3パターンになります。

 

下の図がわかりやすいでしょう。

f:id:akttsugou:20181124071913j:plain

そして、このうちのどれが最も効率が良いか、つまり長距離を走るにあたってランニングエコノミーが良いかということですが、先に答えを言ってしまうと私は前傾だと考えています。

 

それぞれ解説します。

 

膝下が後傾して接地したとき、メリットとしては膝下が前に出ている分はストライドが伸びるということです。

しかし、その反面、ブレーキが大きく加速しづらいです。

ブレーキが大きい理由は、重心よりも前のほうで接地していると地面からの力、ベクトルの向きが後ろ方向になるからというのもありますが、膝の動きの軌跡に無駄があることにあります。(下図参照)

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接地時の膝下の角度が後傾でも垂直でも前傾でも、その後最大荷重時から地面と離れるまでに、膝下はより前傾していきます。

後傾接地は垂直になるまでに一度軌跡上を上に動かねばなりません。

これは車でいうなら段差に乗り上げたようなものです。

また、離地するまでの軌跡が長いために、膝関節周りの摩擦も多少大きくなることもあります。

 

結果、加速がしにくいためにかえって最終的なストライドは小さくなることが多いでしょう。

なぜならストライドというのは単純に足を開いた角度で決まるわけではないからです。

歩行の時であれば足全体の開く角度=ストライドになるため、膝から下も前に出したほうがストライドは伸びますが、ランニングは歩行と違い滞空時間もストライドに含まれます。

速度があるということは飛ぶ距離も大きくなるため、効率よく長く走ることを考えるのであれば、ブレーキを少なくして飛翔距離を稼いだほうが有利と考えます。

補足ですが、後傾ですと足裏の接地の位置は足首の可動域の関係から踵になることがほとんどです。

 

次に膝下が前傾している場合ですが、膝から下が後ろにあるため、一見ストライドは短くなるように見えます。

ただし、後傾と膝下が倒れる途中の角度にあるために設置した瞬間から倒れて=加速していきます。

足の接地は足裏全体的か、もしくは前足部からになります。

踵からはまず接地できないと思われますが、決してできないわけではありません。

 

更につま先にかけて加重され、膝下が倒れていることも相まってアキレス腱がよく伸ばされて発生する弾性エネルギー(腱が伸ばされてから縮もうとして発生するエネルギー)も加わるのでより一層加速するでしょう。

 

これは宮本武蔵五輪の書で言及されており、一本歯下駄を使われている方の間でも言われている”踵を踏む”という感覚にあたるのではないかと私は考えています。

(参考リンク:

宮本武蔵五輪書」の技を解説する」http://ncode.syosetu.com/n6168h/5/

一本歯下駄スポーツ工芸ブランドarucuto

 

最後に膝下が垂直に着いた場合ですが、後傾と前傾の中間なので、ブレーキの大きさも加速も中間です。

足裏の接地は踵でも前足部でも可能なため、ほぼ等しく分散すると推測できます。

 

この”膝下を前傾して踵を踏む”という動作はケニア人を始めとしたアフリカ系のランナーにも多く見られました。

 

世界トップレベルの選手で言うとハメド・ファラー(Mohammed Farah)にもこの動きが見られます。

下の動画はファラーの動きを解説している動画ですが、44秒付近のところで膝下の接地の角度について触れています。

youtu.be

(注意:私はお恥ずかしいことに英語はほとんどわからないので、言っていることはなんとなくしかわかっていません。もし的外れでしたらご指摘いただければ幸いです。)

 

もしこれを自分のフォームに取り入れたい場合は靴を脱いで裸足、もしくは限りなく裸足に近いベアフットランニング系のシューズで練習したほうが身につきやすいです。

通常の靴やランニングシューズでは重さで膝下を振り出してしまいやすく、膝下が後傾してしまいます。

踵から接地してもクッションのおかげで痛みを感じないことも膝下の後傾しやすさに拍車をかけます。

 

裸足で、膝下の力を抜きながら、体はゆっくりと前方向に重心移動しつつ自然と前傾した状態で歩くという動き作りをおススメします。

足だけに注目して、足の力で前に不自然に進まないように注意が必要です。

(膝下の力の抜き方についてはクロカンを走るケニア人のように膝下の力を抜くということ その2 実践編

 

それでは今回はこのあたりで。

良きランニングライフの参考にしていただければ幸いです。

 

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ケニア人とベアフットランニング

この記事を読まれている皆さんは裸足で外を歩いたことはありますか。

あるいは走ったことはありますか。

 

私は4・5年前からベアフットランニングを初めて、何度も外を裸足で走ったことがありますが、あれですよ、痛いですよ。

理論的歴史的には裸足が正しいはずですが、現実はとても厳しいです。

 

今回はケニア人とベアフットランニングについて書いていきたいと思います。

 

ケニア人ランナーが足が速い理由の一つに「子供のころに裸足で学校に走って通っていたり、裸足で練習していたから」ということがよく言われています。

(参考リンク:

なぜ、ケニア人はとてつもなく速いのか (2ページ目):日経ビジネスオンライン

デービッド・ルディシャ:「走るのはとても刺激的だ!」: 中長距離情報

 

ケニアの道は私が行ったニャフルルもそうでしたが、基本的にクロスカントリー・不整地です。

生活に使われる道路も崩れないように自然にある大きな石を敷き詰めた、ごつごつした道か、硬い土であることがほとんどです。

 

そんな環境の中で生まれた時から裸足で過ごしてきたわけですから、身体能力や技術は推して知るべし、です。

ケニア人は「Born to Run」ではなく「Bone to Run Barefoot」であったわけです。

(適当に書きましたが英語の表現はあっているでしょうか?)

 

ただし、現代のケニア人は状況が異なります。

以前の記事(ケニア人はもう裸足で走ってない - ランニング言いたい放題)でも書いた通り、今のケニア人は裸足で生活していません。

人口3万人程度の田舎であるニャフルルでも、子供もみんな靴を履いてますし、ランナーも裸足で走っている人はいませんでした。

 

ただ、それでもランナーたちを裸足でクロスカントリーを走らせると10kmを30分ほどで走れてしまいます。

全く裸足で走ったことが無いにも関わらず、です。

 

もちろん彼らも痛いとは言っていましたし、血豆ができていた選手もいました。

しかし、これがもし日本人だったら、いきなり裸足で整地されていない荒地を走れるランナーが一体どれくらい居るのか考えると、やっぱりケニア人は凄いです。

 

ケニア人が何故このようなことができてしまうのか、私なりに考察しました。

 

ケニア人のランナーの中には子供のころ裸足で育った選手もまだ存在します。

30代以上のランナーは子供の時は裸足で育っていて、まだ現役で走っている人もいるのです。

(参考リンクのデービッド・ルディシャ:「走るのはとても刺激的だ!」: 中長距離情報では800m世界記録保持者も「裸足でトレーニングしていた」とあります)

 

そしてその裸足で育った選手と今の若い選手が一緒に練習するということもあるわけです。

そうすると何が起きるのかというと裸足で育った選手のフォームに若い選手が影響を受けるのです。

 

私は便宜的にこの現象を「ランニングフォームの継承」と勝手に呼んでいます。

同文化圏内の集団はお互いに影響を受けるために、ある程度似たランニングフォームに収束します。

難しい言葉になってしまいましたが、簡単にすると一緒に走っているとフォームが似てきますよ、ということです。

 

つまり、今のケニア人ランナー達のランニングフォームは”まだ”生きているベアフットランニングフォームの一つなのです。

失われていない技術なのです。

 

日本人の場合だと、私は沢山のベアフットランナーと知っていますが、その中に子供の時、裸足で生活していた方はいません。

しかもケニアのような不整地で、という条件も加えるとおそらく大正か昭和初期生まれの方しか該当しないでしょう。

日本人が裸足でなくなってから、すでに三世代・四世代に入っているのです。

日本のベアフットランナー多くは私も含め、普段の練習に裸足を取り入れることによって裸足の技術を取り戻そうとしている方がほとんどです。

大多数の日本人からは裸足の文化および運動の技術がほぼ失われつつあります。

 

話が少しそれますが、ナンバ歩き、あるいはナンバ走りはご存知でしょうか。

日本ではまずまず有名なワードですが、私は全く信じていません。

なぜならナンバの技術は一度完全に”失伝”してしまっているからです。

技術は一度失伝してしまうと再現するのが非常に困難です。

 

裸足の技術は日本では絶滅寸前、ケニアでも今のうちにきちんと分析しないと10年後には無くなっているかもしれません。

 

だから私はケニア人の動きに注目しています。

そしてベアフットランニングの技術は残す意味のある重要なものだとも考えています。

なぜなら裸足でないと、シューズを履くと人間は退化するからです。

 

これは生物・自然の摂理ですので、誰にも覆しがたい事実です。

高機能のシューズを履けば、足の能力、ひいては身体能力は退化します。

 

私は一人のアスリートとして、身体能力が退化する選択肢をなるべく取りたくはないのです。

現代日本に生きている限り、ささやかな抵抗かもしれませんが)

 

ケニア人ランナーもほとんどがシューズを履いて走っているので、今後緩やかに弱くなってしまうのではないか、と私は予測しています。

現にケニアのコーチが「最近の選手はケガが多い」と言っていたと話には聞きました。

 

どんな高性能なシューズを作ったところで、シューズは走りません。

走るのはあくまでも人です。

アスリートであるならば、自身の身体能力を磨いて競技に挑むことが大切なのではないでしょうか。

 

少し熱がこもってしまいました。

今回はこの辺にしたいと思います。

 

お付き合いいただきありがとうございました。

 

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意識してもランニングフォームが変わらない理由

皆さんはご自身のランニングフォームについてお悩みでしょうか。

ランナーであればランニングフォームを気にされる方が多いと思います。

 

今回の記事はランニングフォームを変えることについて考察したいと思います。

 

私はこれまでのランニング経験から”ランニングフォームは走っているときに意識しても変わることはない”と考えています。

まずはそこから話していきたいと思います。

 

学生時代は毎日朝夕練習があり、合計20km程走っていました。

当然ランニングフォームのことを走る時もずっと考えながら、つまり「意識」しながら走っていました。

それは何も私だけに限った話ではありません。

 

私が所属していた陸上部では練習前に部員全員が『今日は○○を意識した走りたい』みたいなことを話してから練習をしていました。

要は周りの陸上部員も程度や方法の差はあれど、全員が何らかの意識をしながら走っていたということです。

 

その頃はこれだけ意識して走っているのだから、フォームは当然良いものになっているだろうと、自己評価は高まっていました。

頭の中ではきれいに走れている自分を想像していたのです。

 

そうやっている中で大会などで走っているところを映像で取られ、客観的にみる機会がありましたが、その時はショックでした。

想像していたフォームと映像のフォームがあまりにも違うのです。

 

次の日からまたいろいろと意識して練習し始めました。

そしてまた何かの機会に撮影されたフォームを見て、その時も何も変わってなくてガッカリしました。

同じく次の日から模索の日々です。

 

これを高校と大学通して学生時代7年間、社会人になってから3年以上も繰り返しました。

合わせて10年間、私のフォームはほとんど変わらなかったのです。

 

これは何も私だけに限った話ではありません。

 

学生時代に周りの部員も意識して走っていたと書きましたが、その中でフォームが良い方向に変わった部員は一人もいません。

合宿で毎年見てきた他校の陸上部員も含めて数百人のランナーの中でゼロです。

中には箱根駅伝に出場した選手が何人もいて、その走りを正月にテレビで見ていましたが、ほとんど変わっていませんでした。

(ただし、元々フォームが良くて変える必要の少ないランナーにとってはフォームが変わらないほうがいいので、上記に書いている誰もフォームが変わらないという経験談の中にはそういう選手も少なからずいるのですが。)

 

あまりフォームの良くはなく、おそらく本人も良い方向に変えようとしていたランナーも変化はありませんでした。

 

何故フォームを変えようと意識してもランニングフォームが変わらないのかは、一つ考えた仮説があります。

 

原因は脳にあると考えます。

人間の脳は生きていくために様々な働きを常にしており、その機能についてはまだまだ謎が多いですが、脳の構造の仮説の一つにポール・マクリーン博士の『三位一体脳モデル』があります。(脳の三層構造、など表現はいろいろとあるようです)

 

このモデルは脳の構造を以下のように捉えています。

ヒトの脳を3層で考え、一番内側は爬虫類から継承して反射をコントロールする脳、その外側に哺乳類から受け継いだ「情動脳」、一番外側の新皮質が人間が獲得した「理性脳」で構成され、相互作用で働くという説

ただし仮説としては古く、近年専門家の間では細かな部分は否定されていたりもするようですが、脳の構造を考えるにあたっては便利です。

つまり、脳は各部位ごとに機能が分化していて、それぞれ連動しながら働いているという点においては大きく間違えてはいないだろう、とした上で話を進めていきます。

 

これはつまり人が話しているときや物事を考えるとき、あるいは私が文章を書いているときも脳は働いていますが、それは私が走っているときに使われている領域とは違うということです。

 

さらに「意識」という言葉も厄介です。

 

意識する、とは言ったものの、実際に脳の中でどのように「意識」しているのかは全く分かりません。

ですが、仮に頭の中で「こうこうこう言う風にして体のあの部分を動かそう」と意識しているのであれば、ランニングフォームを変えるのは難しいでしょう。

 

なぜなら脳の領域、担当が違うからです。

 

人が論理的に言葉で思考ができるのは主に前頭前野のおかげだそうです。

前頭前野 - 脳科学辞典

つまり人は前頭前野含む外側の新皮質が発達しているから物事を考えて実行に移せるわけです。

 

しかし、ランニングは違います。

 

走るという行為は非常に原初的なものです。

なので幼い子供でも歩き、走ることはできるわけです。

脳であてはめても運動を司るのは原初の部分にあたる脳幹に近い小脳と言われています。

小脳 - 脳科学辞典

 

なので、意識のレベルの違いがランニングフォームを変えられるかどうかに影響するのではないか、と考えられます。

つまり、前頭前野でフォームを変えようと考えても、運動自体は小脳が担当しているので、小脳で変えるように働きかけないと意味が無いのではないかということです。

 

例えるなら騎手と馬です。

 

考えるのは騎手で、方向を指示したり、加減速を調整することはできます。

しかし騎手は馬のフォームを変えることはできません。

 

例えに従って、もし馬のランニングフォームを変えたいとするのであれば、騎手が馬から降り、馬の一挙手一投足を見て、手とり足とり細かく指示して動きを刷り込んでいく必要があるのではないかと私は考えます。

 

また、おそらく運動神経のよい一握りの優秀な選手たちの頭の中は、このようなことを運動している最中でも出来ているのだろうと思います。

正に人馬一体というものです。

 

しかし、大多数のランナーは馬が走っているときに馬のランニングフォームを変えることは不可能でしょう。

私も10年やって無理だったので諦めました。

 

今は手とり足とり方式で、少なくとも自分がガッカリしないくらいに良いフォームにはなりました。

 

今回のお話はこのくらいで。

 

長々とお付き合いいただきありがとうございました。

 

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ケニア人がフォアフット走法でも足を痛めない理由 その2 ~吸収局面と加速局面~

runner-takuya-sugo.hatenablog.com

こちらの記事の続きとなります。

 

前回、ケニア人がフォアフット走法でも足を痛めない理由について書きましたが、実はこれはまだ半分です。

この記事では残りのもう半分の要素を書いていきたいと思います。

 

ケニア人ランナーの走りを見ていると非常に軽やかです。

そして、物理的にも日本人より軽いのではないかと私は考えています。

体重身長が同じであれば、進むのに必要なエネルギーも本来は同じになるだろうと推測できるでしょうが、それでも日本人よりもケニア人の方が物理的に軽く進むことが出来るために、軽やかに見えるのです。

つまり、”質量は一緒でもケニア人の方が軽く進むことが出来る”という一見矛盾したようなことを言っているのですが、矛盾ではないことをきちんと説明していきたいと思います。

 

前の記事、ケニア人がフォアフット走法でも足を痛めない理由で書いた通り、ケニア人は前足部から接地していても全身を上手く使って衝撃を吸収しているので、足を痛めにくい、と書きました。

その時の姿勢は”椅子に座るときのように上半身を前に倒し、骨盤は前傾で、臀部やハムストが伸ばされて速度を調整する”という動きになります。

もう少し詳しくすると

上半身はリラックスして背骨の真ん中あたり(胸椎12番)から曲がるようにしてやや背中は丸くなり、かつ骨盤が前傾しているため、背中からお尻、裏腿、膝裏にかけて伸ばされた状態

となります。

 

つまり背中から膝裏までの長さの大きなゴムが伸びることによって衝撃を吸収しているともいえるわけです。

そしてゴムというのは伸ばされると弾性エネルギーが大きくなります。

 

ケニア人たちはこの弾性エネルギーを加速局面でタイミングよく開放して運動エネルギーに変えているために、日本人よりも軽々と進むことが出来ているのです。

 

さて、より詳しく説明していきます。

 

ランニングの際、足が地面に接地してから離れるまでの間を二つの局面に分けることが出来ます。

それは衝撃を吸収する局面と加速していく局面です。

 

まず地面に接地すると足に衝撃(荷重)がかかり始めます。

その衝撃は速度やその人の体重によって大きさは違いますが、接地してから急激に上がっていき、最大値に近くなると緩やかになる形となります。

その衝撃は最大で体重の2~3倍ほどです。

(なお、ベアフットランニングをしているランナーは2倍前後と低くなる傾向にあるそうです)

 

衝撃が最大値を過ぎると今度は急激に下がっていき、ゼロになると同時に足が地面から離れます。

 

私は便宜的に接地してから衝撃が最大値に達するまでを”吸収局面”、最大値からゼロになるまでを”加速局面”と分けています。

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※なお、シューズを使用している日本人ランナーはこのようななめらかな曲線にならないことが多いです。踵から接地するために吸収局面の途中でこぶのような山が一つつくような曲線となります。詳しくは【研究】裸足で走る技術をデータ化したのがこれ! | 吉野剛の裸足ランニング裸足ラン研究、やはり一般ランナーとは全く違う? | 吉野剛の裸足ランニングをご参照ください。

 

この図にそって説明すると吸収局面では衝撃を体幹を含め、体全体のゴムを伸ばすようにして衝撃を吸収しつつ弾性エネルギーを貯め、加速局面に入ったタイミングに合わせて背中から膝裏にかけて蓄えられた弾性エネルギーを開放し、更に筋力も加えて大きな運動エネルギーに変換して前に進んでいるということです。

 

これが日本人の場合だと、まず吸収局面は踵接地なために一度止まってしまい、かつその衝撃を下半身で受け止めがちです。

筋力を使って少し減速もしています。

前ももが疲れやすい、筋肉痛になりやすいのはそれが原因です。

 

加速局面でも下半身に頼りがちになります。

しかも減速した分も加速しなければいけないので、ケニア人の進み方に比べるとかなり足の筋力を使うことになります。

しかも重心はへそのあたりにあるにもかかわらず、重心より下の足で進むということはベクトルが上にずれやすく、そうならないように主にふくらはぎを使って微調整を強いられます。

日本人のふくらはぎが太くなるわけです。

だから重く見えますし、実際に足にかかる労力を見ると重いのです。

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上半身と下半身が連動してタイミングよく力を発揮できるケニア人は、下半身中心になりがちな日本人に比べると出力からして段違いで、仮に同じ身体条件・能力だったとしても上半身と下半身の両方でエネルギーを発揮できるケニア人のベクトルの大きさは日本人の単純に倍違うことになります。

(現実には日本人は下半身に頼る分下半身が発達してそれなりに推進力を出し、上半身と下半身の両方使うケニア人は下半身の推進力だけ見れば日本人より弱くなると推測しています)

 

しかも衝撃を弾性エネルギーに変え、その弾性エネルギーを運動エネルギーに変換するというすさまじい効率性も兼ね備えています。

 

まとめますとケニア人は吸収局面だけでなく加速局面においても足ばかりに頼っていないために負担が少なく足を痛めにくい、ということです。

 

今回は以上になります。

長々と仮説にお付き合いいただき、ありがとうございました。

 

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ケニア人がフォアフット走法でも足を痛めない理由

ケニア人を始めとしてアフリカ系ランナーと言えばフォアフット走法で有名で、実際私も昨年現地のランナーと一緒に走らせてもらうと多くのランナーが足の外側前方の、小指の付け根のあたり(小指球)から着地しているランナーが多かったです。

(そうでないランナーももちろんいましたが)

 また、世界選手権やオリンピックなどの動画で見ている限り、トップレベルのアフリカ系ランナーはほとんどフォアフット走法となっているように見えます。

 

さて、今回はケニア人にフォアフット走法が多いということを前提に、ケニア人がフォアフット走法でも足を痛めない理由について私なりの仮説をまとめていきたいと思います。

 

まずフォアフット走法、小指球あたりから着地する方法ですが、裸足かベアフット系シューズを使って走ると自然となるランナーが多いです。

(この辺りはケニア人がフォアフット走法になる理由日本人ランナーが踵接地になりやすい2つの条件に詳しく書いています)

何故かと言うと恐らくですが、単純に踵から着地すると痛いからでしょう。

 

そのためベアフットランナーはやや強制的に小指球着地するようになりますが、その時のフォームはいびつになりやすいです。

全身の動きはほとんど変わらず、着地だけ変わったのですから当然の結果です。

そうするとどうなるかというと足、特に足部やふくらはぎを痛める方が本当に多いです。

 

少なくとも踵から着地するよりも小指球から着地するほうが、足のアーチに関係する細かい多くの腱やふくらはぎにあるアキレス腱が伸びることによって衝撃を吸収してくれたり、前足部は踵に比べて面積が広いので圧力も少なかったりしますので、衝撃が少ないことは少ないのですが。

また、小指球から着地すると膝も伸びていないため、膝へ直接衝撃がかかりにくいということもあるのですが。

 

それでも今までシューズで過ごしてきて筋肉や腱が相応に発達しなかったために足、特に足部やふくらはぎを痛めてしまいがちです。

今まで全く筋力トレーニングしてこなかった人が、いきなり100kgベンチプレスをやるようなものですね。

 

つまり原因の一つ目は”やってこなかったから体が発達していない”ということです。

これはある程度時間をかけてもらうしかないです。

鍛えるときは裸足、もしくはベアフット系シューズでトレーニングすることが望ましいでしょう。

 

筋肉や腱が相応に発達するまでに時間はかかりますが、例え十分に時間を費やしてからも人によっては痛めやすいことがあります。

 

先ほどベアフットランニングを始めたばかりの頃はフォームもいびつになりがち、と書きましたが、痛める理由はここにあります。

 

日本人はケニア人と比較すると傾向として下半身を動力として走るランナーが多いです。

(参照:ケニア人と日本人の走る仕組みは全く違う, 歴史と食から見る日本人の武器は「超長距離」

決して一概に悪いことではないのですが、フォアフット走法をする上ではデメリットがあると考えます。

 

それは”衝撃を全身で上手く吸収できない”という点です。

 

上半身をあまり動かさず、骨盤が前傾にもなりにくい日本人ランナーはハムストや臀部、背骨の周りを上手く使って衝撃を吸収することが苦手なのではないか、ということです。

(参照:ケニア人の骨盤前傾の秘密はハムストリングスにある?

 

詳しく解説します。

 

小指球から着地した際に骨盤が前傾であればハムストや臀部が伸びることによって衝撃を吸収することが出来ます。

また上半身が脱力していて、背骨がS字になっていると、ちょうどスプリングのように働いて、ここでも衝撃を吸収できます。

 

これが骨盤後傾の場合はハムストは伸びず、大腿四頭筋などの太ももの前あたり筋肉が使われて膝から下で衝撃を吸収することになります。

上半身は固定している傾向にあるため、衝撃吸収にはなりません。

(下図参照)

f:id:akttsugou:20181011233940j:plain

 

また骨盤前傾の場合は上半身や重心の位置も着地した点の真上近くになるので、地面からの衝撃の向きが真上に近くなり、ブレーキになりづらくなります。

 

骨盤後傾ですと重心よりも前で着地しがちで膝下のスイングで突っ張るように地面と当たるため、地面からの衝撃の向きが斜め後ろ方向になり、大きなブレーキとなりやすいのです。

 

(走っているときのケニア人の衝撃吸収の仕組みは、場面が変われば強力な推進力ともなるものではありますが、その辺りは別の記事にまとめたいと思います)

 

これが原因その2、”体の使い方が違うから体が耐えられない”ということです。

 

ただ、この体の使い方は日本人にとって決して難しいわけではありません。

日常的にこの体勢に似た動きを誰でもしています。

 

それは”イスに座るとき”です。

 

イスに座るときは誰でも上半身を前に倒し、骨盤は前傾で、臀部やハムストが伸ばされて速度を調整するという動きをしています。

先ほどの図と一緒です。

 

日本人なら誰でも毎日一回はやっているごく普通の動作にケニア人の走りと同じ動きがあるのはなんだか不思議ではないでしょうか。

 

逆に考えるとケニア人のランナーはもしかしたら走っているときも高いイスに腰かけているような感覚なのかもしれません。

実際、これが出来きたとき、私はそのような感覚を覚えました。

 

ただ、普段イスに座るという動作でやっているからと言って、ランニングの時にそれが出来るかというと、決してそうではありません。

 

「座る」と「走る」では速さも衝撃も各関節の角度もかなりかけ離れています。

感覚や形は似てはいますが、一足飛びに実現できるほど距離は近くないということです。

 

座る感覚を走るときに出すためには、走っていても上半身から脱力していることや、上半身から自然に重心を導くことが出来ないと難しいでしょう。

その辺りは別記事身に着けたいのはケニア人のように体幹で重心をコントロールする技術ケニア人に近づくための体幹連動トレーニングをご覧ください。

 

結論を述べますと日本人であってもケニア人のように筋肉や腱が相応に鍛えられて、体全体を使って衝撃を吸収できるようになれば、フォアフット走法でも足を痛めることなく走れるようになる可能性が高いのではないか、ということです。

 

次の記事→ケニア人がフォアフット走法でも足を痛めない理由 その2 ~吸収局面と加速局面~ - ランニング言いたい放題

 

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