飛ばないケニア人
runner-takuya-sugo.hatenablog.com
上のページの続きです。
ケニア人と一緒に練習すると彼らが立っているときは足が長く、腰の位置も高いにもかかわらず、走るときは腰の高さが同じように感じる要因を考察してみました。
まず日本人の走り方の特徴です。
日本人はケニア人に比べて明らかに足が太い=足の筋肉が発達しています。
特に膝から下のふくらはぎはケニア人と比べて明らかに太いです。
(実際に下腿の重さは日本人の方が短いが、ケニア人より僅かに重いという研究結果があります。ページ下部の参考文献:ケニア人長距離選手の生理学的・バイオメカニクス的特徴の究明 を参照ください)
そのため下半身を動力の中心として走っていると推測できます。
そうなると物理的に考えて、下の図のように進んでいると想像できます。
【下半身メインで進む場合の力の向き】
人間の重心の位置は立っている姿勢ですと床から56%の位置にあるそうです。
170cmの人だと約95cm。
へその数センチ下になります。
(重心の位置は個人差があります。また走るときは肘を曲げるため、数センチ上に上がると考えられます)
先に書いたように日本人は足を使って進んでいるので作用点は大転子、太ももの付け根となります。
つまり図の黄色い矢印のように力が発揮されますが、作用点が重心の位置とずれているために最終的には赤い矢印の方向へ力が働くことになります。
見て頂ければわかる通り、上にずれてますね。
ではケニア人の場合ですが、ケニア人は日本人と比較してふくらはぎは細く長く、その分太ももや上肢(肩から手にかけて)が発達しています。
また、体幹部の筋肉も日本人よりも発達しています。
特に大腰筋が大きいというデータが出ています。
(ページ下部の参考文献:ケニア人長距離選手の生理学的・バイオメカニクス的特徴の究明 を参照ください)
つまり太ももや上半身をうまく使って進んでいると推測しますが、それを図で表すと下のようになります。
【太もも+上半身を使って進む場合の力の向き】
(注:重心の位置は床から56%と書きましたが、ケニア人の場合は日本人と体つきが異なるので、日本人よりも重心の位置は高くなります)
太ももから上半身にかけての部分をうまく使って前に進むということは作用点が体幹のあたりに位置することになり、ちょうど重心の位置がほぼ一致するので、ほとんど上向きの力が発生しません。
日本人の私は走るときに前に進もうとすると上向きの力も強いがために腰の位置が浮いて高くなってしまい、上向きの力が発生しにくいケニア人の腰の高さと一致してしまうということです。
(ケニア人が決して上向きに力が発生しないというわけではありません。日本人の場合も同様です。そういう傾向があるのではないか、という話です。)
一応これで走っているときに、日本人の私がケニア人と腰の高さが同じくらいになってしまう原因について仮説を説明できたかと思います。
ただ上半身を使って進むとは何なのか、下半身で走るとは何なのか説明がかなり大雑把なので、詳しい内容はまた別の記事であげます。
参考文献
(重心の位置について記載)
〇ケニア人長距離選手の生理学的・バイオメカニクス的特徴の究明/榎本靖士
(ケニア人と日本人の体格差について記載あり)