ランニング言いたい放題

日本ベアフットランニング協会公認コーチ、Vibram FiveFingers トータルアドバイザー。走るのが好きな人|裸足で走ったりケニアで走ったり|メインテーマは『ケニア人ランナーの動きの再現』です。お問合せ:hadashi.rc@gmail.com。by須合拓也

”ルディシャの振り子”

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 皆さんは800m世界記録保持者のDavid Lekuta Rudisha(デイヴィッド・レクタ・ルディシャ)をご存知でしょうか。

 

ケニア人で2012年のロンドンオリンピックで800mの世界記録を樹立、金メダルを獲得しました。

 

その時の動画がこちら。

 

見て頂けるとわかると思いますがストライドは長いし、それでいて力強いし、まさに異次元の走りをしています。

しかもこのフォームがゴールするまで崩れないで走り切っています。

 

今回は彼の動きについて話したいと思います。

 

ちょうど動画の4分30秒あたりから2周目バックストレートを正面から撮っているシーンになりますが、Rudisha選手の頭の動きを見てください。

 

顎が振り子のように左右に振れています。

 

何故こんな動きをしているのか。

もしこの走り方に無駄があるとしたら、世界記録が出るのも、フォームが崩れないのもありえないと思います。

 

現実は彼が世界で最も速い800mの選手です。

 

それではその現実に沿ってなるべく矛盾の少ない私の仮説を書いていきます。

 

何故顎が動いているのかというと体幹部分が左右に動くことによってバランスを取っているからだと考えています。

例えば左足が地面について体を支えているときに体幹、特に胸のあたりを左側に移動させることでバランスを保っているということになります。

 

詳しく説明します。

左足で体を支えているとき、骨盤は左側が上がり右側が下がります。

骨盤が右に倒れるのに従って背骨も倒れますが、バランスを取ろうとして胸は左側に移動。

背骨は前から見てS字を描き、胸が左側に移動した反動で頭は右に振れるために、最終的に顎が振り子のように動いて見えます。

 

体で最も重さがある体幹が支点である左足の上方に乗ってくるので、バランスを崩すことが無いでしょう。

日本人によくありがちな下半身、特にふくらはぎの筋肉でバランスをとる必要がありません。

胸を左右に動かすのは、ふくらはぎで上半身のバランスをとることに比べると、ほとんど労力を必要としないため疲れにくく、効率的とも言えます。

 

図で表すと下のようになります。(手書きですみません)

f:id:akttsugou:20180423143822j:plain

 

この動きによって、ストライドが大きくてもバランスを崩すこともなく重心の軌道が安定します。

(重心の軌道については身に着けたいのはケニア人のように体幹で重心をコントロールする技術 - ランニング言いたい放題参照)

 

こうした動きが出来るのは800mのトップスピードで走っている中でも体幹が良く動くことに加え、頭の先までリラックスしていて連動しているからでしょう。

体幹が、背骨がまっすぐなまま動かない人にはできませんし、例え体幹が動かせたとしても、猛スピードで疾走中に力が抜けていないとこの動きは実現できません。

 

加速と脱力。

一見して相反する要素がうまく調和しています。

 

芸術的にも見える彼の動きに敬意を表して、私は勝手に”ルディシャの振り子”と呼んでいます。

 

この”振り子”の動きをしているのは彼だけではありません。

ケネニサ・ベケレ、モハメド・ファラー、エリウド・キプチョゲ、バーナード・ラガト…などなどの世界でもトップクラスの選手には大なり小なり見られます。

 

ベケレ、キプチョゲ、ラガト(6分10秒あたりから、ベケレがわかりやすいです)

www.youtube.com

 

ファラー(14分23秒あたりから)

www.youtube.com

 

彼らはこの”振り子”を持っているために、他の選手よりも一つ飛びぬけていられるのかもしれません。

 

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