ランニング言いたい放題

日本ベアフットランニング協会公認コーチ、Vibram FiveFingers トータルアドバイザー。走るのが好きな人|裸足で走ったりケニアで走ったり|メインテーマは『ケニア人ランナーの動きの再現』です。お問合せ:hadashi.rc@gmail.com。by須合拓也

ケニア人の骨盤前傾の秘密はハムストリングスにある?

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当ブログではケニア人と日本人を比較して、その相違点からランニングについて考えた記事を度々書いておりますが(ケニア カテゴリーの記事一覧 - ランニング言いたい放題)、今回はケニア人の生活で身につくある特殊能力から考えたことをまとめたいと思います。

 

 

まずケニア人でプロのランナーになる人がどういう人達かというところから始めます。

 

ケニアは日本と比べると発展途上国であり、そのせいか若者の失業率も高いです。

国際労働機関(ILO)で算出された15~24才の失業率でみるとケニアは17%、日本は7.9%となっています。

(2012年、世界・若者の失業率(ILO基準)ランキング - 世界ランキング

特にケニアの農村部の失業率はかなり深刻だそうで、私が滞在したニャフルルでも市街地で昼間からぶらぶらしている失業者らしき若者も多かったです。

 

ケニアでランナーを目指すのはそういう農村部の若者です。

現在、世界でトップクラスのケニア人ランナー、もしくはアフリカ系のランナーも幼少時代は農村部で決して豊かではない生活をしていた選手がほとんどです。

 

アフリカ系のランナーで有名な2世選手は聞いたことがありません。

それは親が成功すると子供は高等教育を受けて普通に就職できるからだとか、そもそも親のお金で十分生活できるので走る必要がなくなるからです。

 

若者の失業率の高さはケニアにとって大きな問題ではありますが、それはここでは取り上げません。

 

つまりケニア人のランナーはほとんどが農家の若者だということです。

 

農家というのは肉体労働者なので、彼らは走るのが速いだけでなく、重いものは担ぐし、マッチの火は指で消すし、とにかく頑丈です。

そんな彼らは学校であることを教わるそうです。

 

それは「腰のかがめ方」です。

ケニアの地方の学校は農家の子供がほとんどなので、恐らくこういうことを習うのでしょう。

その作業姿勢がこちらです。

f:id:akttsugou:20180806185857p:plain

(引用:Kenya: No jobs in the city, so tech-savvy youth head back to the farm (Trust)

 

膝はほとんど伸び、腰をあまり曲げずに作業します。

 

これが日本人の場合だと下の様になりがちです。

f:id:akttsugou:20180806185621j:plain

(引用:ケニア人の作業姿勢: 月輪のブログ

 

腰の部分、背骨の腰椎がかなり強く湾曲しています。

そして骨盤は後傾気味です。

 

ケニア人と日本人の作業姿勢の違いは実は骨盤とハムストリングス(大腿裏側の筋肉)にあります。

 

ほとんどの日本人はハムストが硬いため、骨盤が前傾できず、その分を腰椎を湾曲させることによって前かがみの姿勢を取ります。

これが原因となって腰痛になる人も多いでしょう。

 

一方、ケニア人はハムストの動的柔軟性が高いので、ハムストで上半身を支えることができます。

そのため腰を曲げる必要が無く、骨盤から前傾することが出来るのです。

これは単にハムストが「柔らかい」ということではなく、伸び縮みをちゃんとコントロール出来て、かつ上半身をある程度支えられる力があるからこそできる姿勢です。

 

日本人のハムストが「硬い=使えていない」ということが推測できます。

 

これはランニングの時にも関係してくると考えています。

ハムストが硬い場合は骨盤前傾は出来ないため、ランニングの際もケニア人のような骨盤前傾を含んだランニングフォームは出来ないでしょう。

ランニングフォームは様々な要素・要件があって実現されているので、一つでも要素を満たさないと違うものになってしまうでしょう。

 

また、骨盤前傾が出来ていないということはハムストが十分に伸びず、その能力が十分に発揮されていない可能性が高いです。

一つ一つの筋肉は縮む方向にしか力を出せない”部品”です。

その筋肉が十分に伸びないということは力を発揮しにくいということになります。

 

ハムストが硬いことによるメリットはあまり考えられないので、ハムストの動的柔軟性はある程度高い方がいいでしょう。

 

そしてこれは日本人にはできない、というわけではありません。

 

ケニア人の作業姿勢: 月輪のブログ』の記事ではこう書かれています。

それぞれ作業の内容も違うので一概に比較できませんが、ケニア・マサイ族の腰の使い方は彼らの専売ではないようです。

(中略)

腰の使い方は学習された文化だとは思われますが、前掲写真を比較してみるとアフリカ系の人たちの股関節の曲がり方は見事ですので、体型体質の遺伝的要素も無視できないのかもしれません(生活習慣全般の問題かもしれませんが)。

ケニア・アフリカ系の民族の遺伝的要素は確かにあると思いますが、決して彼らだけにしかできないわけでなく、世界中の民族で多数見られる姿勢ということです。

(詳しくは参照元をご覧ください)

 

実際に日本人で腰を曲げずに骨盤・上半身を前傾させることができる人は存在します。

特にダンス経験のある方には多いようです。

 

ケニア人もダンスは達者ですし、やはりダンスはランニングにおいて有効である可能性が高いのかもしれません。

 

ハムストを動的に使えるようになるためのトレーニングは調べればいろいろとありますので、是非挑戦してみてはいかがでしょうか。

 

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