クロカンを走るケニア人のように膝下の力を抜くということ その2 実践編
クロカンを走るケニア人の様に膝下の力を抜くということ その1 の続きです。
前回は膝下の力を抜いて走れるとクロカンに限らず、ロードやトラックでも有利だという話をしました。
今回のその2ではその実践的なトレーニングについて書いていきたいと思います。
まず膝下の力が抜けていないというのはどういう状態か、そして何故か、というところからです。
公園などで走っている市民ランナーの方を見ていますと、感覚的にほぼ8割以上の方は接地の時に大きな足音がしていて膝下の力が抜けていないように見えます。
特に地面を擦るような「ザッ、ザッ」という足音の人は確実に膝下の力が抜けていません。
膝から下の力が上手く抜けている人は足音が大きくないので、ここは一つの目安になります。
(ただし、必ずしも足音がしないからと言って力が抜けているとは限りらないので注意が必要です)
何故膝から下の力が抜けない方が多いのかというと、それはシューズが主な原因ではないかと考えています。
一つはシューズだと足を地面に叩きつけようが擦り付けようが痛くないため、そのような体に悪い動きが身につきやすいということがあげられます。
裸足で同じようなことをした時を想像してみてください。
足つぼマッサージを受けた時のような激痛が走るか、足裏の皮がずる剥けるかになるでしょう。
(因みに私はどちらも体験済みです)
また一つはシューズが重いことにあります。
裸足であれば自身の足の重さの分持ち上げるだけで済みますが、シューズを履いているとその分も持ち上げなければいけません。
シューズは足首より下にあるため、足首を動かす筋肉に刺激が入りやすいです。
そしてその筋肉のある場所はふくらはぎ、膝より下です。
つまり膝下に余分に力を必要とする、力みやすい条件であると言えます。
その為、本来足を持ち上げるのに不要な膝下にまで力が入ってしまうのです。
以上が”何故か”という説明でしたが、これからは”ではどうしたらよいか”です。
走っているときに膝下の力が抜けないので、走っているときに膝下の力を抜くように意識する、という対応は下策です。
これは右手で習字をしながら、左手でスマホをいじるようなものです。
(そんなことが出来る器用な人は、膝下の力を抜くことも簡単にできるので、そもそもアドバイスを必要としないでしょう。)
もっとレベルを下げたところから積み上げるのが定石です。
人は通常、立っているときにできないことは走っているときも出来ません。
例えば立っている状態から前宙(前方宙返り)ができない人が、走りながら前宙に挑むことは無謀と言えるでしょう。
なのでもし走りながら前宙したいなら、まずは立っている状態で前宙できないといけません。
だいぶ難易度は違いますが、膝下の力を抜くことも同じです。
まずは立っている状態でやることです。
それで立っている状態から膝下の力を抜くことですが、動作としたは単純にもも上げになります。
ただ、この時点でもほとんどの方は膝下に無意識に力が入っているでしょう。
太腿を水平に上げた時に膝の角度が90度であったり、ふくらはぎを太腿に引き付けているのはアウトです。
どちらも太腿を上げるのに必要のない膝下まで力が入っています。
人間の膝から下はL字の形をしているので、重心の位置はすねの前になります。
その重心が膝の垂直下に自然と来ていると膝の力が抜けている状態になります。
つまり、ふくらはぎの骨が垂直にはならず、わずかに斜めになります。
また足首とふくらはぎの角度も90度以上に開いて下がるでしょう。
これが膝下の力が抜けている状態です。
この状態を作ることが膝下の力を抜く練習の一つになります。
練習方法としては手すりなどにつかまりながら右、もしくは左の腿を上げて、ふくらはぎの力を抜きます。
あと、この練習は裸足必須です。
シューズが無い方が出来ているかどうかがはっきりわかりやすいです。
(あえてシューズを重り代わりとして揺れる感覚を出す手段もありますが)
抜けているかどうかはふくらはぎを手で揺らした時に、振り子やブランコのように揺れるかどうかで判別できます。
揺れない時は力が入っています。
また、カクカク揺れるときは筋肉で振り子の動きを真似して揺らしているだけなので、これも駄目です。
力を入れずに振り子のように揺らすのです。
自分の手でふくらはぎを押して揺らすか、他の人に協力してもらうとよりやりやすいでしょう。
練習の時は何かわかりやすいイメージをした方がいいですが、イメージ例としては釣り竿とかのれんですね。
太腿が竿で膝から下は糸であるとイメージして動かしたり、或いは膝から下がのれんで、手で押されたらそれに逆らわずにブラブラさせる感じです。
イメージは他にもヌンチャクだとか鞭だとかいろいろあると思うので、自分に合ったイメージで練習するといいでしょう。
膝下の力を抜く練習は他にもいくつかパターンはありますが、上記の方法が最もシンプルに走りに直結していると思います。
ケニア人ランナーが歩きを見ていると、この動きがちゃんとできています。
膝から下が振り子のように自然に流れて地面につくので、ゆったりとしていて無駄な力を使っていません。
足首も膝も不自然な、作為的な力が入っていないので、あのようなほっそりとした足つきになるのでしょう。
ケニア人ランナーの所作は厳しくも雄大な自然環境から来るものでしょうが、本当に無駄がありません。
そういったケニア人を思い浮かべながら練習する方が、より刺激になって効果的かもしれませんね。
↓良ければ一押し頂きたいです。