ランニング言いたい放題

日本ベアフットランニング協会公認コーチ、Vibram FiveFingers トータルアドバイザー。走るのが好きな人|裸足で走ったりケニアで走ったり|メインテーマは『ケニア人ランナーの動きの再現』です。お問合せ:hadashi.rc@gmail.com。by須合拓也

自分の体を忘れているランナーたち

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自分の体を頭に思い描いた通りに動かすということは簡単なように思えて結構難しいです。

頭の中ではキプチョゲのつもりで動かしても、現実は残念ながら平々凡々なランナーにしか見えません。

 

今回はランナー全体の身体の認識の傾向について思うところを書いていきたいと思います。

 

 

今は健康のためだったり、又は大会のために走る市民ランナーの方は本当に多く、日常的に街中でも多く見ますが、良いフォームの方を見かけることが非常に少ないです。

 

皆さん頑張って走っているのですが、どうしても力任せというか、最適な動きをしているようには感じません。

控えめにいって本当に良いフォームの方は1割もいません。

 

これはレベルを問いません。

テレビに出るような有名で速いランナーでも本当に綺麗なフォームをしている方は少数です。

 

これは私がずっと陸上競技をしていて評価が厳しいというのもあるでしょうが、ランニングというスポーツがもっている特色が関係してくると考えています。

 

ラソン陸上競技長距離種目は走る速さ”のみ”を競うスポーツです。

何がどうあれ速ければいい種目です。

 

その為日本のランナーはプロアマ関わらず、その大多数はとにかく練習すること、心肺機能や筋持久力といった体を鍛えることしかしていません。

そういった練習メニューは豊富ですが、技術的な練習が圧倒的に不足しています。

違う言い方をすると感覚を磨く類のトレーニングが足りません。

 

他のスポーツで言えば、例えば野球選手であれば野手でも投手でも自身のフォームをチェックして調整したり、バットやボールをコントロールする練習を大抵はやります。

 

サッカーであれば正確なパスやシュート、ドリブルの練習を。

テニスなら正確なサーブやリターンの練習を。

正確性を養うための練習が必ずあるのです。

 

しかし、ランナーにはありません。

筋トレ、ストレッチ、JOG、インターバル、ペース走、LSD、ウィンドスプリント…いずれも正確性を重視し、身に着ける練習ではありません。

(しかも、体を鍛えるハードな練習をやればやるほど感覚は雑になりがちです。身体能力は身についてもその分感覚は落ちるので、練習しても強くなりません)

 

更に、高性能のランニングシューズがこれに拍車をかけます。

前の記事(本当は怖い現代人が裸足で走れなくなったワケ - ランニング言いたい放題)でも書いた通り、ランナーによくみられるシューズの紐をきつく絞める行為は、足の感覚がマヒしている証拠です。

しかも性能がいいので、適当に走っても走れてしまうという状態になってしまいます。

そんな状態ではフォームは良くなりにくいでしょう。

 

これらのことから、ランナーは自分の体の動きに鈍い傾向があります。
一言で言うと感覚が悪いです。

 

ある意味仕方がないことです。

条件的に悪くなりやすい要素が揃っています。

走るだけなら正確性は不要で、短期的に見れば綺麗に走れなくても速くは走れます。

必要のない能力は退化するのが必然です。

 

ただし、そのツケは確実に支払わなければいけません。

 

多くの方はそのツケをケガとして支払っています。

当然です。

効率が悪い上に、感覚が鈍っているので取り返しがつかないくらいに患部が悪くならないと認識できないのですから。

ランナーは何にぶつかるわけでなく、ただ走っているだけなのに異常なくらいの頻度でケガをしています。

誰でもほぼ必ず1年に1回はケガしています。

野生動物だったら絶滅しているレベルのヤバさです。

感覚が悪ければ悪いほどケガの確率は高まるでしょう。

 

その他にも競技レベルにも関わってきます。

綺麗なフォームのランナー、つまり感覚の良いランナーとそうでないランナーは伸びしろが全然違います。

感覚の悪いランナーはいくら走る練習をしても効率が悪いためにそれほど速くなりません。

F1カーのエンジンだけを軽トラックに積んでも、F1カーには勝てないのと同じです。

 

だから感覚を養う練習は重要で必要ですが、その重要性をほとんどの方が認識していません。

雑誌でも書籍でも正確な、あるいは厳密な感覚の練習について取り扱っているものは決して多くありません。

またランナー ー特に長距離の分野でー ではそういった練習を取り入れている個人、集団は珍しいと言っても過言ではないでしょう。

 

もしきちんと健全なランニング能力の向上を目指すのであれば、身体の感覚を養う練習をすべきです。

要するに体の使い方、コントロールという他のスポーツであれば当たり前の技術を磨く当然の努力をすべきということです。

身体の単純なスペックに頼った走りは不健全で短絡的です。

 

このような走りをしていると遠からぬうちに後悔する可能性が高いです。

恥を承知で話せば私自身がそうです。

学生時代の時など、もっと早いうちから感覚を大切にしつつトレーニングが出来ていれば、もっと良く走れていたと思うと非常に悔やまれます。

 

感覚を養う練習は様々な方法があります。

このブログでも度々言及しているので、ご参考にしていただければ幸いです。

速く走るために運動神経を向上させる方法について - ランニング言いたい放題

速く走るために運動神経を向上させる方法その2~裸足でのトレーニング~ - ランニング言いたい放題

 

「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」とは孫子の言葉ですが、まずは己を十分に知る必要があるというのが私の失敗を通して至った見解です。

 

凄く説教臭い話となってしまいました。

この辺で終わりにしたいと思います。

お付き合いいただきありがとうございました。

 

 

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