ランニング言いたい放題

日本ベアフットランニング協会公認コーチ、Vibram FiveFingers トータルアドバイザー。走るのが好きな人|裸足で走ったりケニアで走ったり|メインテーマは『ケニア人ランナーの動きの再現』です。お問合せ:hadashi.rc@gmail.com。by須合拓也

ケニア人とララムリに学ぶ、ランニングの原点

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ランニングと聞いて何を思い浮かべるかは人それぞれだと思います。

例えばスポーツだとか、健康だとか、ダイエットだとか、はたまた修行だとか。

 

今回はケニア人やララムリなど調べているうちに気が付いた、ランニングの原点について書いていきたいと思います。

 

 

一般的であれプロであれ、ランナーは皆さんそれぞれ違った目標・目的をもってランニングをしていると思います。

なので「あなたにとってランニングとは何か?」という質問への答えは十人十色でしょう。

ただし、そのさまざまな答えの中には今回のテーマである「ランニングの原点」と重なる回答は恐らくないと思います。

そしてこれは、題名で上げたケニア人とララムリ(タラフマラ族) は両者とも共通している要素でもあります。

 

勿体ぶってもしょうがないので、先に答えを言ってしまうとケニア人とララムリに共通するランニングの原点とは「移動手段」であるということです。

 

ケニア人もララムリも交通網が発達していなかったり、経済的な事情から日常の大部分について、移動手段が自分の足であることがあげられます。

歩いたり、走ったりすることが彼らにとって主要な交通手段ということです。

 

比べて日本人は移動手段として歩くことはありますが、それは1日数分や長くて数十分程度の非常に短い時間です。

特にランニングになると私たち日本人にとっては”非”日常なのです。

 

移動手段に求められる要素としては快適であること、信頼性が高いこと、効率的であること、なるべく速いことなどがあげられると思います。

上記の条件で見ると、日本人のランニングは移動手段に足りえないのです。

 

まず、走る時に自分を追い込むことはしていても、快適に、言い換えると不快に思わない、全く疲れを感じない速度で走る人はかなり少数でしょう。

移動するだけなのに肉体的にだけでなく精神的にも苦痛であれば日常的な移動手段となりません。

 

効率的かどうかもそうです。

日本人のランニングはとにかく速いことばかりに目が向けられているので、効率的かどうかをそこまで重視されていません。

 

信頼性、という点に至ってはほとんどの日本人が脱落するでしょう。

移動している途中で足が痛くなって動けなくなっては移動になりません。

年中移動したいとき、その距離だけいつでも動けることが重要です。

 

これらを満たしたうえでなるべく速く移動するとなると、歩くよりはほんの少し速いペースで走ることになります。

これが本来、ランニングにおいて基本のペース・走り方なのではないかと私は考えます。

 

例えば私がケニアでのトレーニングで、特にきつい練習ではない”抜き”の練習の日のJOGに同行させてもらったときは、JOGのペースの遅さに驚きました。

あまりにも遅くて時計を見たらペースはキロ8分になっていました。

私は今も昔もキロ8分ペースで走ることは例えLSDLong Slow Distance、危ない薬じゃないよ)でもなかったので、私より速いランナーがこのペースで走るのが不思議でなりませんでした。

今思えば、こういったゆったりとしたペースは彼らが日常でちょっと急ぎたいときにこんなペースで走っていたのでしょう。

 

ケニアのニャフルルでは車やバイクではなく、歩いて移動する人が多かったです。

特にランナーになるような裕福ではない農家であればなおさらです。

毎日1時間や2時間以上アスファルトではない不整地を移動するのは珍しくないのです。

 

そしてララムリの場合ですが、調べた限りだと彼らは特にランニングの練習をするわけではありません。

ララヒッパリという伝統行事で走る以外は、山の上で日常生活を過ごしているだけで世界が注目するほど走れるようになるのです。

 

下のリンクの動画に出演しているララムリのアルヌルフォ・キマーレは子供のころから水くみで急斜面を往復したり、100キロのレースに出るために2日間夜通しで移動したりしています。

 

つまり、両者に共通することしては足・体を一つの道具、移動手段として使う点です。

 

移動手段として足を使うのと、非日常的にスポーツとしてランニングするのでは体の使い方が絶妙に違ってくると私は考えています。

そして体の使い方が異なるのであれば、体のつくり、筋肉とか腱、骨、心肺機能の発達具合も違ってくると想像できます。

 

なので、非日常的な走り方しかできないランナーよりも、あくまで移動手段として長時間・疲労しない・ケガしないレベルで体を使うという、本来あるべき段階を踏んできたランナーのほうが優れているのはある種当然のことではないでしょうか。

 

子供の時からそういった経験の少ない日本人が一足飛びにスポーツとして走るのは、何らかの不具合が生じてもおかしくないのではないでしょうか。

 

もちろん原点を通っていなくとも原点の要素を自然と身に着けているランナーもいます。

ただ、それはかなり少数で、少なくとも1年の間で1回以上ケガ(外傷を除く)をしている人は身についてないと言えます。

 

現代の日本人にとって、この条件をクリアすることは非常に厳しいと思います。

先に挙げた移動手段としての条件である快適性・信頼性・効率性・速さで考えるなら車や電車、自転車など優れた移動手段が沢山あるからです。

 

ただ、ケガで悩んであるのであれば、こういった体の使い方を身に着けるようなトレーニングを取り入れてみるのはアリだと思います。

 

長い時間、できれば不整地で決して疲れないレベルのゆっくりなペースで走るのです。

あくまでただ移動するためのように走るので、例えば車を運転しているかのように。

ランニング初心者はもちろんのこと、上級者であっても有効な練習になると考えています。

この練習には特別な道具もコツも必要ありません。

 

興味がありましたら試してみてはいかがでしょうか。

 

 

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