ランニング言いたい放題

日本ベアフットランニング協会公認コーチ、Vibram FiveFingers トータルアドバイザー。走るのが好きな人|裸足で走ったりケニアで走ったり|メインテーマは『ケニア人ランナーの動きの再現』です。お問合せ:hadashi.rc@gmail.com。by須合拓也

身に着けたいのはケニア人のように体幹で重心をコントロールする技術

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ケニア人のようになるためのトレーニング方法を当ブログでは載せておりますが(ケニア人に近づくための体幹連動トレーニング - ランニング言いたい放題)、今回の記事ではそのトレーニングで最も身に着けたい技術について説明します。

 

 

ケニア人は体幹部の使い方が日本人とは全く異なり、動いている際に重心をコントロールする能力がずば抜けています。

インターロックトレーニングを通して一番身に着けたいのがこの技術です。

 

別の記事(飛ばないケニア人 - ランニング言いたい放題)でも重心については記載しましたが、重心の位置は普通に立っているときは身長に対して床から56%の位置にあります。

(※日本人の場合。ケニア人はもう少し高くなると推測してます。)

立っている状態から前に進もうとしたとき=走るときはこの重心から進んであげるともっともロスなく楽に進むことが出来ます。

ケニア人と日本人の走る仕組みは全く違う - ランニング言いたい放題を参照)

 

また、走るときは重心は前方水平方向へ移動するだけではありません。

上下にも左右にも動きます。

走っているときの重心の軌跡を目で見ることが出来たなら、おそらくそれは上下左右に波打つように見えるでしょう。

事実、バイオメカニクスでは歩行の際の重心の移動がどうなっているか説明されています。(歩行の重心移動の軌跡図参照)

 

【歩行の重心移動の軌跡図】

http://livedoor.blogimg.jp/sho1425/imgs/1/d/1d76a585.png

歩行のバイオメカニクスpart1 : PTしょーのバイメカblog

 

走るときは、この波を無理やり最小限に抑えるのではなく、うまく”乗る”ことが重要になってきます。

というのも上の図を見て頂ければわかる通り人間は厳密な意味ではまっすぐ進んではいないのです。

歩くときと同様に走るときも上下左右に”波打って”いるのです。

 

走るとき、この波が大きすぎることはもちろん駄目ですが、全くなくすることは人間の構造上不可能です。

人間は前に進む際はどちらかの足に重心を乗せざるを得ないため左右に動きますし、足はタイヤのようになっていないのでどうしても上下にも動きます。

 

むしろ波を押さえつけようとすると、その分筋肉を無駄に使うのでロスが大きくなります。

やろうと思えば出来きなくはないですが、その際に効率は犠牲になるのでお勧めしません。

 

つまり走るときは重心は波打つように動いてしまうので、その軌道に沿って上手く波乗るよう重心を導いて上げるといいということです。

 

少しわかりにくいでしょうから、別の視点から説明してみます。

 

大多数のランナーは前に一直線進むということを意識していると思いますが、それは重心の波の軌道を無視しているので、結構無駄が多いのです。

意識は一直線上に進もうとしていて力もその方向にもっていこうとしますが、人間の構造上重心は波打たざるを得ないので、そのままだとバランスを崩します。

そうすると脳が無意識化でバランスを取ろうとして筋肉に指令を出し、意識している一直線上の動きを実現するように”補助”します。

なので、とりあえず意識している通り一直線走ることは出来ますが、無意識化ではバランスをとるために少なからず力を使っています。

無意識化で行われているがために、本人の自覚はほとんどないため、大抵の人はこれに気が付きません。

 

ようはまっすぐに進むとコースアウトするので脳が勝手に修正してくれているといったところでしょうか。

 

ケニア人の場合も意識の上では恐らく日本人と大して変わらず前に進むことを考えているかもしれませんが、その動きはまったく違います。

彼らは無意識にバランスを保つ際に体幹を使います。

体幹は重心に近いので、重心を動かす際に使う力が少なくて済み、無意識化での補助につかうエネルギーが少なくて済みます。

 

日本人は体幹以外、主に手足で補助しようとしますが、重心から遠いがために補助に必要な力が多くなってしまい、ケニア人に比べてエネルギーのロスが多いです。

 

更にケニア人やアフリカ系のトップクラスランナーともなれば最小限の労力でこの波を先取りするように体幹が動きます。

 

この技術を身に着けるためには体幹が動的にありとあらゆる方向に、立体的に使えなくてはいけません。

その為の練習がインターロックトレーニングになります。

 

インターロック自体は上下前後左右の特定の方向のみの動きになりますが、その動きが無意識に、例えば人と話しながらとか、テレビを見ながら自然に出来るようになれば、走るときにも自然に出来るようになってきます。

 

ケニア人やアフリカンの専売特許ではありません。

英語を学ぶのと一緒です。

時間は確かにかかりますが、日本人でもちゃんとトレーニングすれば習得可能な技術なのです。

 

興味がありましたら是非挑戦してみてください。