続・すべらない裸足 ~裸足ランニングのシューズ使用時の有用性~
以前の記事のすべらない裸足 - ランニング言いたい放題の続きになります。
まさかの続編です。
私は4年前くらいからベアフットランニングを行っていますが、奇をてらっているわけではなく、狙いがあってやっています。
今回は裸足で走ることの意義について書いていきたいと思います。
前の記事のすべらない裸足で裸足で脱力した方が滑りにくいという話をしました。
そして少しだけシューズを履いた時も同じようなことが考えられると書きました。
話をおさらいするとそもそも摩擦力というのは物理学上、物体同士の接地面積には比例しません。
もっと言うと床面に押し付ける力が強いほど摩擦力は強くなります。
ここでいう押し付ける力とは体重です。
いくら足の指を曲げて踏ん張ろうが体重は変わらないので、摩擦力は強くなりません。
勢いよく地面に押し付けるようにして足を振り落とせば瞬間的に摩擦力が強くはなりますが、そんなことしたらどうなるかなんて詳しく話さなくてもわかると思いますので割愛します。
例外はゴムです。
ゴムはしなやかに変形するので、接する地面の形に合わせてその表面の凹凸の形が変わります。
同じ面積で接しても他の物体と比べ大きな摩擦力が、しかも接する面積に比例して大きくなります。
なので、足の裏を脱力させ、まるでゴムのようにふるまうことが出来れば摩擦力は強くなるというお話でした。
このスキルはシューズを履いていても活きてきます。
まず前提としてシューズはどんなにサイズが合っていようが、紐をきつく締めようが、足に完全にフィットすることはありません。
レオナルド・ダ・ヴィンチは「足は人間工学上の最高傑作である」と言ったそうですが、残念ながら足は画一的な工業製品ではないので、個人であっても左右で長さや高さ・幅が違っていたり、その日の体調や或いは時間帯によっても変化したりします。
そんな足に完全に一致するシューズなんて作れるとは考えられません。
なので、シューズと足の間には必ず”隙間”があり、シューズと足がずれてぶつかる・擦ることによってさまざまなトラブルが起こることが多いです。
私自身、長年陸上部を続けていて、有名どころのシューズは大体履き潰していますが、どんなシューズでも多かれ少なかれ水膨れや血マメ、靴擦れ、足底筋膜炎などのトラブルに必ず遭いました。
例えそれがオーダーメイドシューズであっても、です。
シューズが悪いと言っているわけではないです。
悪いのは自身のスキルの無さです。
シューズを履いて足にトラブルが起きるのも足の裏が固まっていて、地面に踏ん張るか叩きつけるようにしてしか走れないからシューズと足の”隙間”を激しく行ったり来たりして、自分で自分を傷つけているのです。
ちゃんと裸足でも上手く走れるスキルがあれば、シューズを履いた時も中で足が暴れることなく、シューズのポテンシャルをも有効に発揮できるでしょう。
シューズはあくまで道具なので、何使うも使わないも自由だとは思いますが、道具の性能に頼ってはいけないと思います。
今話題のナイキ ズーム ヴェイパーフライ 4%もすごい道具だとは思いますが、それを履いてもケニア人には近づけません。
何故ならケニア人も同様にナイキ ズーム ヴェイパーフライ 4%を履くことができるからです。
同じ道具を使った場合は結局ポテンシャルの分、差が出るだけです。
日本人だけがうまく使えるとも考えにくいので、差は変わらないです。
これは私がケニアで裸足のクロスカントリーレースで思い知ってから、特に強く感じていることです。
体の使い方が上手く、かつ速いケニア人は人生で初めて裸足でクロスカントリー走っても速いのです。
速くない私が工夫もせず、ただ単に数年間裸足で走って備えていても全然かなわないのです。
ランナーには単純に走るという練習の他にも、体をうまく使う”工夫”が必要なのです。
これは何も競技志向のランナーだけでなく、ファンランナーがもっと楽しく走りたい時にも有効です。
裸足でのトレーニングはその工夫の一つです。
そしてまだまだもっと上手く走りたい私とって欠かせないトレーニングだと思っています。
世の中には他にも様々な工夫があるので、皆さんも自身にあったトレーニングを探してみてはいかがでしょうか。