ランニング言いたい放題

日本ベアフットランニング協会公認コーチ、Vibram FiveFingers トータルアドバイザー。走るのが好きな人|裸足で走ったりケニアで走ったり|メインテーマは『ケニア人ランナーの動きの再現』です。お問合せ:hadashi.rc@gmail.com。by須合拓也

ファラーのように膝下を前傾して踵を踏む

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11月も末になってようやく冬らしく寒くなってきましたね。

読者のランナーの皆様は寒さに負けずご健脚でいらっしゃるでしょうか。

それとも寒さを避けて室内でゆっくりお過ごしでしょうか。

 

今回はランニングの際の膝下の角度についての考察を書いていきたいと思います。

 

 

以前にも膝下の力を抜くことについて記事を書きましたが、

クロカンを走るケニア人の様に膝下の力を抜くということ その1

クロカンを走るケニア人のように膝下の力を抜くということ その2 実践編

をご参照ください)

この記事はその内容からさらに踏み込んだものです。

 

皆さんは普段走る時に、膝下が地面に対してどんな角度で接地しているか考えたことはあるでしょうか。

 

私は最早職業病の域で、視界内にランナーがいるとそのフォームを見てしまいます。

そしてランナーによってそのフォームは様々ですが、膝下の地面に対する角度もそれぞれ異なります。

そしてそれは足裏の接地や、ひいてはランニングのパフォーマンスにも少なからず影響があると考えています。

 

順に説明します。

 

まず、接地の際の膝下の角度とは何かというと、足が地面についた瞬間に膝下が垂直か、それとも後ろに倒れているか、前に倒れているか、ということです。

大まかに分けると後傾、垂直、前傾の3パターンになります。

 

下の図がわかりやすいでしょう。

f:id:akttsugou:20181124071913j:plain

そして、このうちのどれが最も効率が良いか、つまり長距離を走るにあたってランニングエコノミーが良いかということですが、先に答えを言ってしまうと私は前傾だと考えています。

 

それぞれ解説します。

 

膝下が後傾して接地したとき、メリットとしては膝下が前に出ている分はストライドが伸びるということです。

しかし、その反面、ブレーキが大きく加速しづらいです。

ブレーキが大きい理由は、重心よりも前のほうで接地していると地面からの力、ベクトルの向きが後ろ方向になるからというのもありますが、膝の動きの軌跡に無駄があることにあります。(下図参照)

f:id:akttsugou:20181124082554j:plain

接地時の膝下の角度が後傾でも垂直でも前傾でも、その後最大荷重時から地面と離れるまでに、膝下はより前傾していきます。

後傾接地は垂直になるまでに一度軌跡上を上に動かねばなりません。

これは車でいうなら段差に乗り上げたようなものです。

また、離地するまでの軌跡が長いために、膝関節周りの摩擦も多少大きくなることもあります。

 

結果、加速がしにくいためにかえって最終的なストライドは小さくなることが多いでしょう。

なぜならストライドというのは単純に足を開いた角度で決まるわけではないからです。

歩行の時であれば足全体の開く角度=ストライドになるため、膝から下も前に出したほうがストライドは伸びますが、ランニングは歩行と違い滞空時間もストライドに含まれます。

速度があるということは飛ぶ距離も大きくなるため、効率よく長く走ることを考えるのであれば、ブレーキを少なくして飛翔距離を稼いだほうが有利と考えます。

補足ですが、後傾ですと足裏の接地の位置は足首の可動域の関係から踵になることがほとんどです。

 

次に膝下が前傾している場合ですが、膝から下が後ろにあるため、一見ストライドは短くなるように見えます。

ただし、後傾と膝下が倒れる途中の角度にあるために設置した瞬間から倒れて=加速していきます。

足の接地は足裏全体的か、もしくは前足部からになります。

踵からはまず接地できないと思われますが、決してできないわけではありません。

 

更につま先にかけて加重され、膝下が倒れていることも相まってアキレス腱がよく伸ばされて発生する弾性エネルギー(腱が伸ばされてから縮もうとして発生するエネルギー)も加わるのでより一層加速するでしょう。

 

これは宮本武蔵五輪の書で言及されており、一本歯下駄を使われている方の間でも言われている”踵を踏む”という感覚にあたるのではないかと私は考えています。

(参考リンク:

宮本武蔵五輪書」の技を解説する」http://ncode.syosetu.com/n6168h/5/

一本歯下駄スポーツ工芸ブランドarucuto

 

最後に膝下が垂直に着いた場合ですが、後傾と前傾の中間なので、ブレーキの大きさも加速も中間です。

足裏の接地は踵でも前足部でも可能なため、ほぼ等しく分散すると推測できます。

 

この”膝下を前傾して踵を踏む”という動作はケニア人を始めとしたアフリカ系のランナーにも多く見られました。

 

世界トップレベルの選手で言うとハメド・ファラー(Mohammed Farah)にもこの動きが見られます。

下の動画はファラーの動きを解説している動画ですが、44秒付近のところで膝下の接地の角度について触れています。

youtu.be

(注意:私はお恥ずかしいことに英語はほとんどわからないので、言っていることはなんとなくしかわかっていません。もし的外れでしたらご指摘いただければ幸いです。)

 

もしこれを自分のフォームに取り入れたい場合は靴を脱いで裸足、もしくは限りなく裸足に近いベアフットランニング系のシューズで練習したほうが身につきやすいです。

通常の靴やランニングシューズでは重さで膝下を振り出してしまいやすく、膝下が後傾してしまいます。

踵から接地してもクッションのおかげで痛みを感じないことも膝下の後傾しやすさに拍車をかけます。

 

裸足で、膝下の力を抜きながら、体はゆっくりと前方向に重心移動しつつ自然と前傾した状態で歩くという動き作りをおススメします。

足だけに注目して、足の力で前に不自然に進まないように注意が必要です。

(膝下の力の抜き方についてはクロカンを走るケニア人のように膝下の力を抜くということ その2 実践編

 

それでは今回はこのあたりで。

良きランニングライフの参考にしていただければ幸いです。

 

↓良ければ一押し頂きたいです。

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